
産地ルポ
2026/7/21掲載

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2026/7/21掲載

稲垣さんの「アイスルージュ」。鮮やかな紅色で発色がよい。
編集部 2025年12月16日取材
JA 茨城むつみ管内(猿島郡境町、五霞町、古河市、坂東市猿島地区)は関東平野のほぼ中央、茨城県の西部に位置します。南西部を利根川が流れており、北側は栃木県、西側は埼玉県、南部は千葉県に接しています。利根川流域の肥沃な沖積地帯と猿島台地に広がる耕地、太平洋側の気候で冬季の降雪は少なく日照に恵まれているため、京浜地区への生鮮野菜の供給産地となっています。平成27年3月の圏央道境古河ICが開通後、首都圏内へのアクセスが容易となり、近郊農業地帯の産地として重要度が高まっています。


左からJA茨城むつみ営農経済部門の新井皓大さんと「アイスルージュ」を栽培する株式会社大越青果の大越裕貴さん。
レッドリーフ系レタスは、各社から発色がよく、作業性にすぐれた品種が数多く発表されていますが、低温期の栽培では肋のねじれ、結球、さび症などの問題が指摘されています。「アイスルージュ」はそのような低温期の生理障害が少なく、作業性のよりよい品種として開発育成されました。今回は茨城県JA茨城むつみでの評価を営農経済部門の新井皓大(あらいこうだい)さん、野菜生産部会青年部所属でリーフレタスを主力に栽培しておられる生産者の方2名にお聞きしました。
茨城県は全国第2位の生産量を誇るレタスの一大産地です。特に県西地区のJA(JA茨城むつみ・JA岩井・JA北つくば・JA常総ひかり)で盛んに栽培され、「惚(ほ)レタス」ブランド(ほれぼれするほど新鮮でおいしい)として、京浜市場を中心に広く流通しています。
その中でJA茨城むつみ管内の境町地区は、「茨城レタス栽培発祥の地」として知られています。昭和30年代に栽培が始まり、その後食生活の洋風化によるサラダの需要が高まると共に着実に栽培面積を増やし、昭和59(1984)年には茨城県青果物銘柄産地の指定を受けてレタス産地として発展しました。
現在は約90名が野菜生産部会としてレタス、ネギ、カリフラワー、ナス、トマトなど多彩な野菜生産に励んでおり、そのうちレタスの栽培は約半数を占めます。出荷期間は10月中旬から12月末(最盛期は10月下旬〜11月末)、2月中旬から5月初旬(最盛期は3月中旬〜4月)で、それぞれ約80haで栽培されています。中でもリーフ系は約50%ですが、出荷作業の手間がかからないこと、需要が安定していることから増加傾向にあります。
大越さんは家族と従業員約10名でレタス、カリフラワー、ナスを栽培しています。レタスは、なるべく出荷時の手間を省いて作業効率を上げたい、との経営方針からリーフ系のみ(一部ロメイン)としており、出荷時期は9月初旬から翌5月中旬まで、栽培面積は約13ha(レッド:グリーンの比率はほぼ1:1)に上ります。
「アイスルージュ」は2年前に試作して以来、今では冬のレッドリーフの主力となっています。今回取材した圃場は12月16日から収穫を始めた作型(9月21日まき、10月18日定植、11月2日トンネル設置、途中でベタがけを使用)でしたが、異株、育ち遅れがなく、収穫から箱詰めまでスムーズに進むことが印象的とのことでした。
大越さんからは導入の理由として
❶立性で収穫作業がしやすい
❷低温でも葉長が確保でき、1株重が重くボリュームが確保できる
❸低温期に問題となる葉柄基部の亀裂褐変(さび症)や肋のアントシアンの発生が少ない
❹肋はしなやかでねじれが少なく、出荷時の外葉の調製にほとんど手間がかからない
❺苗のそろいが良好
を挙げられており、大越さんの目指す「効率のよい栽培」に合致している品種とのことでした。

順化中の「アイスルージュ」の苗。ハウス内で播種し初期生育をそろえた後、ハウス外で順化させる。

出荷箱に詰められた「アイスルージュ」(大越さんの作業場にて)。立性でよくそろい、発色よく、さび症なく、ボリューム感があった。
稲垣さんのレタス栽培は、すべてリーフ系で9月上旬から翌5月中旬にかけて出荷しています。夏ネギ、カリフラワーとの組み合わせで、家族と研修生約10名で経営されています。
リーフ系のみにしている理由は、玉レタスと比べて収穫適期の幅が広く、生育状況や天候によって作業計画を柔軟に組み立てられるためです。「アイスルージュ」は少量の試作から始め3年目とのことでしたが、現在は低温時期の出荷はほとんど「アイスルージュ」にしています。「アイスルージュ」について伺うと、低温期に問題となるさび症、肋のねじれもほとんど見られず、1株重が出ており、ボリューム感が出る点を評価。
また、作業性の面で葉が立性で下葉が汚れにくく、収穫、調製時に外葉整理の手間がほぼかからないこともメリットと感じておられました。「アイスルージュ」の収穫終わりは、晩抽性や上昇気温下の生育の様子から4月下旬までと設定しています。

低温期の出荷で「アイスルージュ」を導入された稲垣さん。


12月16日から収穫が始まった稲垣さんの「アイスルージュ」。9月20日まき(200穴セルトレイ)、10月下旬定植、28p株間×30p条間4条機械植え。さび症の発生と肋のねじれがなく、葉が立性なため収穫作業もしやすいとのこと。
今回取材に伺ったお二人とも、厳寒期でも生理障害が出ず、ボリューム感があり、作業性にすぐれた点が「アイスルージュ」のよさと評価いただいていました。
今後の課題としては「アイスルージュ」をなるべく長期間使用するため、抽苔や草丈が出すぎる秋の早まき、春の遅まきのリスクを回避しつつ、「アイスルージュ」の特性を最大限生かせる作型を見極めることです。高温期向け品種との組み合わせで、周年での安定出荷を図っていただけたら幸いです。
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