産地ルポ

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2026/7/21掲載

JA岩井
高温条件下で結球が安定しやすい「ヒートガイ」の導入で
初秋の安定出荷を目指す

高温条件下で結球が安定しやすい「ヒートガイ」の導入で初秋の安定出荷を目指す

JA岩井 古矢 拓也  2025年10月22日取材

地域概況

茨城県県西地域に位置する坂東市(旧岩井市)は、首都圏から50q圏内にある平坦で広大な農地、温和な気候など自然環境に恵まれ、これらの有利な条件を生かした都市近郊農業が盛んな地域です。
その地域を拠点にJA岩井・岩井農協園芸部は、昭和43年(1968年)に発足。発足以来、生産された野菜は「JA岩井・岩井農協園芸部」の商標でご愛顧いただいております。部会員は、現在3 1 0 戸在籍し、ネギ3 1 0 ha、春・秋レタス3 3 0haを作付けし、年間販売額75億円を目指しています。その販売額の87%をネギとレタスの2品目が占めている産地です。

JA岩井

土づくりからこだわった「惚(ほ)レタス」

JA岩井のレタスは、「こだわり惚レタス」と称して販売しています。その内容は、生産者全員が緑肥作物の作付けや堆肥施用、高有機含有肥料(有機70%)を用いるなど、土づくりにこだわったレタス栽培を実践しています。
年間の出荷量は約1.2万t(120万ケース/10s箱)で、京浜市場を中心に北海道・東北・信越・中京・関西市場に出荷しています。

集荷場に搬入された玉レタスは品種、生産者別での検品が行われる。問題がなければ予冷され、その日のうちに市場へ出荷される。また、箱詰めがきれいな方のレタスは、見本となるよう検査場に飾られる。

集荷場に搬入された玉レタスは品種、生産者別での検品が行われる。問題がなければ予冷され、その日のうちに市場へ出荷される。また、箱詰めがきれいな方のレタスは、見本となるよう検査場に飾られる。

(左)検品では箱への詰め方も重視。見本として並べられた「ヒートガイ」。
(右)「こだわりの逸品!!」と「JA岩井・岩井農協園芸部」のマークが目を引くJA岩井の販促ポスター。

(左)検品では箱への詰め方も重視。見本として並べられた「ヒートガイ」。
(右)「こだわりの逸品!!」と「JA岩井・岩井農協園芸部」のマークが目を引くJA岩井の販促ポスター。

耐暑性にすぐれる「ヒートガイ」

当地の秋冬レタスは、10〜11月を中心に、12月まで出荷しています。しかし、レタスは野菜の中でも天候の影響を受けやすい作物です。ここ近年は温暖化の影響で、夏は最高気温が35 ℃を超える日が多く、特に10月どりのレタスは生育期間となる8月、9月は酷暑の中での生育となります。このような厳しい自然環境下では、従来の品種は高温障害(不結球、分球、抽苔)の発生が多くなり、出荷量が大幅に低下することが問題となっています。
そこで、タキイ種苗から提案のあった「ヒートガイ」を、園芸部員、青年部員の協力のもと、2023年から2024年にかけて、10月どりの作型で試験栽培を行いました。
初年度となる2023年は小規模で試験を実施し、従来品種との比較を行いました。その結果、生産者からは「高温期でも不結球株や分球株の発生が少なかった」「玉の肥大は旺盛だが、芯は上がってこない」と結球性や晩抽性の高さを評価していただきました。
翌年の2024年は拡大試験栽培を実施し、高温期栽培での結球性と晩抽性の再現性、および収穫期幅を確認し、2025年産から本格導入しております。

本格導入となった2025年産は、不結球や抽苔株が少なく、玉肥大が旺盛でした。「ヒートガイ」は、耐暑性が高く、高温期でも結球と形状が安定し、抽苔するリスクが少なく10月どりにマッチした品種です。
一方、肥大性にすぐれ、多肥栽培や肥料分が残存する圃場には不向きであるため、施肥量には注意が必要です。

8月20日まき、9月14日定植で収穫をまつ「ヒートガイ」。100 m畝に株間27p ×条間30p(中条は33p)で4条栽培される。

8月20日まき、9月14日定植で収穫をまつ「ヒートガイ」。100 m畝に株間27p ×条間30p(中条は33p)で4条栽培される。

「ヒートガイ」の玉じまりを確認する筆者(左)と生産者の平田誠さん。10月10〜27日収穫分で「ヒートガイ」を使用。

「ヒートガイ」の玉じまりを確認する筆者(左)と生産者の平田誠さん。10月10〜27日収穫分で「ヒートガイ」を使用。

「惚レタス」のこれから

8〜9月の厳しい暑さの中での生育を強いられる10月どりのレタス栽培において、「ヒートガイ」は「こだわり惚レタス」の安定生産・安定出荷の一役を担う重要なアイテムです。試験導入初年度で明るみに出た課題に対処しながら、管内全域へ普及拡大を進めたいと考えています。
温暖化が進み厳しさが増す暑さの中でも安定して生育、収穫ができる栽培技術が求められる中、昨今の環境に適応できる「ヒートガイ」の開発は、産地にとって救世主ともいえる存在です。今後も気候変動に対応した品種開発を期待しています。

収穫後ラッピング、1日約180箱を出荷する。

収穫後ラッピング、1日約180箱を出荷する。

「ヒートガイ」を導入した平田さん一家。

「ヒートガイ」を導入した平田さん一家。

JA岩井のヒートガイの作型

JA岩井のヒートガイの作型

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