岩手県JA新いわて 南部営農経済センター管内雫石町の根深ネギは「ホワイトスター」「ホワイトソード」から「名月一文字」の時代へ

JA新いわて、旧雫石支所がある南部営農経済センターエリアは岩手山の南側に位置しています。雫石町は、ネギ栽培のほか稲作、トマト、畜産が盛んな地域です。

JA新いわて

「ホワイトスター」と「ホワイトソード」

雫石町でのネギ栽培は、減反が続く中、土地利用型作物として、平成2年から栽培がスタートいたしました。タキイ品種が本格的に栽培されたのは平成15年ごろの「ホワイトスター」からで、ブランド名である「やわら香」を体現するようなやわらかくておいしいネギであったことや皮がむきやすい特性も好まれて中心品種となりました。その後、「ホワイトタイガー」を経て現在主力になっている「ホワイトソード」は、伸びが早く、黒ボク土壌の雫石では霜が降りる前に収穫できるといった利点もあり、引き続き多く作付けいただいています。

90p畝幅で3粒9p株間で栽培される笹田さん圃場の「名月一文字」。地上部が短く風の被害を受けにくい。

90p畝幅で3粒9p株間で栽培される笹田さん圃場の「名月一文字」。地上部が短く風の被害を受けにくい。

「名月一文字」で台風を乗り切る

平成30年8月末に襲来した大型の台風21号と9月に襲来し農作物に塩害をもたらせた台風24号の被害は各地でみられましたが、新品種「名月一文字」を栽培した笹田利明さんは、ネギの倒伏や曲りの被害がほとんどなかったと感心されていました。「ホワイトソード」は21号で倒伏し、直した後に通過した24号は吹き返しの西風で逆に倒伏。倒伏するたび5日がかりで倒れたネギを起こされましたが、どうしても曲りが残ってS字気味の草姿です。その点、「名月一文字」の草姿は地上部が短く、どっしりとして全く倒れませんでした。

「名月一文字」を栽培する管内生産者の笹田利明さんとご家族。収穫は晴れ間を見て機械収穫。

「名月一文字」を栽培する管内生産者の笹田利明さんとご家族。収穫は晴れ間を見て機械収穫。

「名月一文字」は根が強くていいと笹田さん。

「名月一文字」は根が強くていいと笹田さん。

「名月一文字」は軟白部30pの確保も問題なし。ばらけにくく首太に仕上がる。

「名月一文字」は軟白部30pの確保も問題なし。ばらけにくく首太に仕上がる。

当地では、お盆が過ぎて気温が下降気味になれば「ホワイトソード」の伸長性が役立つ。

当地では、お盆が過ぎて気温が下降気味になれば「ホワイトソード」の伸長性が役立つ。笹田さんは積雪するまで収穫を続ける。昨年はクリスマスまで収穫したとか。

「名月一文字」で面積を拡大

さらに、「名月一文字」は「ソード」以上にばらけにくく、皮がむきやすいという作業性のよさも特筆できる長所だと喜んでおられます。
また、「ホワイトソード」は伸びがいい反面、早く収穫しないと伸びすぎてしまいます。「名月一文字」は在圃性が高くて収穫期間が伸ばせることも重宝されていました。
来年はネギの作付け面積を2.5ha増やす予定の笹田さんですが、増やした分の調製作業をJAでお願いしようと考えておられます。今後の調製作業はJAさんに任せて、収穫までの管理に専念することで増産を狙います。

「名月一文字」と「ホワイトソード」は3月に入って播種され、最終まで収穫される。

「名月一文字」と「ホワイトソード」は3月に入って播種され、最終まで収穫される。「名月一文字」は高温期でも緩やかに生育する一方、秋冬どりの播種期で栽培すると軟白長が足らなくなるため、5月末までを定植限界に栽培するという。

安定した価格の根深ネギは魅力いっぱい

現在管内のネギ作付面積は27haで売り上げは1億4000万程度になります。ネギの生産者は43軒くらいですが、面積は微増しているといいます。その理由は「価格が安定していることにある」というのは南部営農経済センター長の斉藤和弘さんです。今後の課題は効率よく箱数を増やすために「結束作業をなくしたい」との思いから、通いコンテナでの出荷が可能か模索中です。

南部営農経済センター長の斉藤和弘さん(右)は、ネギの効率的な出荷を目指す。

南部営農経済センター長の斉藤和弘さん(右)は、ネギの効率的な出荷を目指す。

太さによって読み取る選果機。
2Lで30本、Lサイズで45本で箱詰めされる。「名月一文字」の2L、Lサイズ率は80%程度。

太さによって読み取る選果機。2Lで30本、Lサイズで45本で箱詰めされる。「名月一文字」の2L、Lサイズ率は80%程度。

夏場の出荷量が欲しいというのはネギ産地共通の課題ですが、「夏場は出荷が低下するのでパートさんの仕事がすぐに終わるのが問題ですね」と、出来高的にも労働力確保の意味でも安定した出荷が求められています。パートさんを集めるのも難しい時代。夏場に強い品種の登場で周年安定生産への期待がかかります。

夕方集荷場の予冷庫に入れられ翌朝出荷。出荷先は東京の多摩青果さんがメイン。

夕方集荷場の予冷庫に入れられ翌朝出荷。出荷先は東京の多摩青果さんがメイン。

7月20日から出荷が始まり11月初めがピークで1日800ケースを出荷。

7月20日から出荷が始まり11月初めがピークで1日1,000ケースを出荷。