2017/02/20掲載
岐阜県高山市に代々続く山蔵農園さんは、山蔵真輔氏が36歳の4代目。兄弟3人がそれぞれが長所を生かして販売や栽培を担当し、真輔氏は主に企画を担当する。
こだわりの有機栽培を開始したのは父の代から。ここ岐阜県高山市は準高冷地の気候を生かしたトマトやホウレンソウ等の栽培どころだが、父の代からただ作物を量産することに疑問を抱いたという。そうした思いから有機栽培を志し、岐阜県独自の有機認証第2号に登録された。
やがて有機JASに移行し現在は有機農業推進協会認定有機農産物生産行程管理者となって特栽の先頭を走っている。
お父さんが力を入れたのがカラーピーマンやパプリカのペッパー系。今の時代「安心・安全」「有機栽培」「おいしい」も当たり前。次に着目したのが「彩り」だと真輔氏は言う。
野菜の「色」には機能性成分を含んでいる。そうしたことにいち早く取り組んだタキイの「ファイトリッチ」シリーズには高い関心を持っていたそう。特に注目したのが「こどもピーマン」。とにかく嫌いな人にとってネガティブなイメージの「ピーマン」を「こどもピーマン」なら払拭できると取り組み、思いのほか高く売れたのだとか。これをきっかけに「フル―ピー」シリーズや「ホルン」シリーズなどをあわせて量産するようになった。
さらには「フルティカ」や「オレンジ千果」「クックゴールド」など彩り豊かなファイトリッチシリーズのトマト栽培にも取り込んだ。
「ファイトリッチ」は「彩り」に科学的根拠を与えてくれると喜ぶ真輔氏。すでにタキイのホームページから「ファイトリッチ」ロゴ使用の申請を済ませ、自家製シールやPOPを作成済みだ。
「クックゴールド」は加熱調理すれば量も食べられる。ホールトマトとしての使用なら冷凍保管すれば年間販売も可能だ。真輔氏は自身で考案したレシピで料理を実際に作成し、写真を撮ってバイヤーを回る。課題は冬場も出荷できるもので売り場を確保すること。「苦労して売り場においてもらっても商品が途切れると、次のシーズンにバイヤーさんが変わった場合、一からの説明になる。年間、品を変えても出荷を継続して売り場を確保したい」と真輔氏。そのため拠点拡大のため分場の開設も視野に入れている。
「量販店でもなく高級店でもなく、自分たちの生産物に価値を見出してくれるいわば質販店と自分は呼んでいる売り場を増やしていければ面白い」
山蔵農園さんのポリシーに「ファイトリッチ」はしっかりフィットしているようだ。
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