HOTニュース 滋賀県タキイ研究農場 2018年秋期農場研修会レポート

2018/07/20掲載

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11月20、21日の2日間、滋賀県のタキイ研究農場で種苗店様や営農指導担当者、市場関係者の方々を招待して秋期農場研修会を開催しました。ホウレンソウやダイコンなどの葉根菜を中心に新品種・推奨品種の紹介や、資材の実演、展示などお客様に見て・感じて・味わっていただく展示会となりました。周囲の山々も色づき秋も深まる中、ハウスや圃場では熱心にメモを取ったり、ブリーダーと話し込む姿も。熱気溢れる研修会の様子をご紹介します。

トマト

注目は「桃太郎ネクスト」。強勢でスタミナにすぐれ硬玉の大玉・多収タイプ、冬春用栽培品種の中ではトップクラスの草勢で、環境制御ハウスでの栽培にもおすすめです。長期どりOK、秀品率UP、関東冬春トマト最大の出荷量を誇る千葉県の生産地でも高い評価をいただいています。

タキイ種苗が自信をもっておすすめするファイトリッチシリーズのミニトマト「TY千果」、中玉トマトの「フルティカ」。「フルティカ」はリコピンだけでなく、アミノ酸の一種「GABA」が豊富に含まれていることでも、注目を集めています。

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「TY千果」。

「フルティカ」。

トマト台木の「TTM-127」は現在育成中の青枯病耐病性台木。
従来品種「Bバリア」より強い耐病性をもち、暑さに強く青枯病激発地での効果が期待されています。2020年以降の発売予定です。

ナス

ナスの栽培において、その作業の1/4を占める着果処理が不要の「PC筑陽」。大幅な省力化を実現する品種です。曲がりもなく、秀品率が高くトゲがないため、作業性も向上しています。市場では果色のテリのよさ、肉質がトロっと柔らかい点が高く評価されています。2015年から九州のナス産地で試作を実施、高い評価を得て福岡や佐賀、熊本で産地拡大中です。

キュウリ

複合耐病性品種育成は順調!
定番品種の「Vシャイン」「Vアーチ」「VR夏すずみ」と並んで展示されていたのが「TCU-093」。うどんこ病、べと病、ウイルス病だけでなく、褐斑病にも強い耐病性があり、これまでの常識を覆す品種で発売が待望されています。

「TCU-093」。

ニンジン

2019年発売予定の「TCH-755」を含む2品種をピックアップ。北海道などで春どり品種として注目されています。「TCH-755」はしみ腐病に強く、草姿コンパクトで安定した晩抽性をもつ春どり早生種。「TCH-756」は裂根が少なく秀品率が高い多収の春どり中生種です。

しみ腐病に強い「TCH-755」。

ダイコン・カブ

「神楽」シリーズの全4品種が勢ぞろいしました。中でも新発売の「冬神楽」は 秀品率の高い冬どりダイコンとして注目を集めています。曲がりが少なく、そろい性にすぐれ青首部の緑色も薄めで青果、加工・業務用どちらにも対応できる品種です。
家庭菜園で赤丸人気上昇中の「紅三太」は、三季どり可能のミニ赤ダイコンでサラダや酢漬けに最適。プランターでお手軽に栽培できるのも嬉しいですね。
そして今回の展示で特に注目されたカブは「TKA-780」。実はただのカブではありません。よく見ると…葉が…ミズナ!?カブとミズナが一度に楽しめるユニーク品種で、2019年秋ダネで衝撃のデビューです。

セルトレイで栽培した「ニューコメット」。

ミズナ葉をもつカブ
「TKA-780」。

ネギ

「初夏一文字」「名月一文字」の一文字シリーズは葉折れに強く、在圃性にすぐれています。新品種の「名月一文字」は夏秋どりのコンパクトでどっしりとした草姿。夏場のゲリラ豪雨や台風などの強風を受けても倒れにくい品種です。葉身を短く小葉立性にし、倒伏や耐暑性にすぐれた品種を開発しました。北海道から九州まで幅広い産地で導入が検討されています。

イチおし資材「ヨーゲンアクセル」

チッソ、リン、カリをバランスよく配合した葉面散布剤。草勢の回復に効果的です。

異常気象やゲリラ豪雨による被害が急増しています。冠水時には速やかな処置が必要です。資材を有効利用し、作物の早期回復に役立ててください。イザという時に役立つ資材を提案させていただきました。

異常気象対策の資材をご紹介。

ホウレンソウ

新品種の「福兵衛」は秋・春どり、「伸兵衛」は冬どり、「タフスカイ」は夏どりに適した生育の早い品種です。これら3品種を組み合わせることで夏〜春までの作付けを収量性と作業性を兼ね備えた品種でカバーすることができます。3品種とも立性で葉柄が折れにくく出荷調製作業が容易、しかも!高次元のべと病抵抗性をもつ品種です。

イチおし資材「オキソパワー5」

夏場の暑い時期に播種するホウレンソウ。ゲリラ豪雨や台風の影響が心配です。この「オキソパワー5」は約5カ月間、持続的に土壌へ酸素供給を行います。水はけの悪い圃場の土壌改良に、また元肥としてすき込んでおくとイザという時に効果を発揮してくれる今イチおしの資材です。

キャベツ

端境期の4月に収穫できる加工業務向けの夏まき寒玉晩生種の「夢舞妓」。収穫後の冷蔵貯蔵でも退色やしおれが遅く、貯蔵後の品質にもすぐれます。これまで4月出荷のキャベツは3月末に収穫したものを冷蔵貯蔵することで対応してきた産地も「夢舞妓」導入で、高品質なキャベツを出荷できると導入が進んでいます。

年内冬どりの「TCA-540」。

レタス

暖地向け・冬春どり「TLE-547」はべと病に強く、ビッグベイン病にも耐病性を示し、低温期の結球性がよく形状安定性にもすぐれます。尻部のまとまりよく、秀品率が高い2019年発売予定品種です。

ハクサイ

「オレンジクイン」は発売以来、年々人気を高めています。結球内部が色鮮やかなオレンジ色のハクサイでシスリコピンを多く含み、歯切れがよく浅漬け、サラダに最適です。「黄ごころ85」は生理障害の発生が少なく、肉質はやわらかく甘みがあり品質良好。播種期の幅が広く、年内〜冬どり栽培に適します。どちらも直売所で人気のハクサイです。

タキイ特製豚汁「オレンジクイン」が彩りを添える一品。

緑肥作物

新品種の「なつマルチ(晩生)」は春まき専用品種で雑草・地温抑制や乾燥、土壌流出防止などの効果を発揮。耐暑性にすぐれるため、マルチ効果が長持ちします。「TMT-2」は発芽、初期生育、枯れ上がりが早く、枯れた後は緑肥としてすき込んで利用できます。畝間に生やすことでアザミウマやチョウ、ガなどの虫害対策にも効果を発揮します。

「なつマルチ(晩生)」。

花き

タキイが自信をもっておすすめするハボタン、ビオラ、パンジー、ペチュニア、観賞用とうがらしなど、色とりどりの花が会場を飾りました。今回の注目はハボタン。新品種の「F1恋姿」、「F1フレアローズ」が仲間入りしました。フレア系のホワイト、ローズは染色剤を用いたカラーリングでひと工夫。従来のハボタンにはない華やかな展示になりました。
観賞用とうがらしの「オニキスレッド」はA.A.S.(全米品種審査会)受賞品種で海外でも高く評価されています。分枝性がありコンパクトな株型で単品でも寄せ植えとしても楽しめます。株姿が乱れず観賞期間が長いため、黒から緑、そして赤に変身する様子を観察できます。まだ日本では馴染みのない品種なので、注目されること間違いなしです。

試食・アンケートコーナー

今回はホウレンソウ「福兵衛」のナムル、マフィン、ネギ「名月一文字」のヌタ、ニンジン「京くれない」の炊き込みごはんが登場しました。今が旬の秋春どり「福兵衛」は葉柄が太く、葉肉が厚いので味が濃く食べ応えがあります。「名月一文字」のヌタは白味噌の上品な味付けで、肉質はやわらかく、トロっとしたネギの甘みも味わえる一品です。ニンジン「京くれない」の炊き込みごはんはニンジンをサッと油で炒めてから炊き込みます。加熱することで「リコピン」の吸収量アップ!コクと甘みもアップして美味しく、ヘルシーな炊き込みごはんができました。

見学の最後は、野菜たっぷりの特製豚汁を味わいながら、アンケートにご協力頂きました。徳島からお越しのナス生産者様は「筑陽」と「PC筑陽」の視察に、直売所出荷されているお客様はミズナ葉をもつカブ「TKA-780」に興味津々のご様子、ハクサイ「CRお黄にいり」にチャレンジしたいと楽しそうにお話いただきました。次回も素晴らしい品種をご用意して…皆様のご来場を、心よりお待ちしております。