品種ピックアップ
2021/2/22掲載
品種ピックアップ
2021/2/22掲載
スイートコーンは、近年はより甘く、よりやわらかく改良された品種が大半を占めるようになりました。しかし、高品質性ばかりでなく、生産が安定するすぐれた栽培性を兼ね備えた品種の開発が、生産側および消費側双方にとって重要と考えています。
また、イエロー種一辺倒の市場状況にあって消費者の選択肢の幅を広げ、消費を活発化することも大切です。
これらを実現できる可能性をもっているのが、近年徐々に認知度を上昇させ、北海道以外でも産地化の取り組みを見るようになったホワイト種です。
タキイ種苗では、高品質性を十分確保したうえで、従来のホワイト種よりも発芽が安定し、頑丈な草姿を特長とした、イエロー種と同等の高い栽培性を有するものの選抜を進めてまいりました。2017年より北海道の主要なホワイト種産地で試作を重ね、良好な結果が得られましたので、この度「ホイップコーン」と命名し、発表いたします。プレミアムなスイートの味わいをぜひご堪能ください。
タキイ研究農場 瀬野 晃好
「ホイップコーン」は、安心して栽培に取り組める栽培性が大きな魅力です。また、ホワイト種のもつ高品質性をさらに高め、糖度20度をねらえるような、際立つ甘さをもっています。
本種は極良質系のスイートコーンとしては比較的高い低温発芽力をもっており、初期生育がそろいます。草丈は1 7 0 p程度で草勢は強め。分けつが多く根張りがよいため倒伏に強く栽培性は良好です。
極めて甘みが強いホワイト種です。条件によっては、糖度が20度に達することもあります。粒皮は極良質でやわらかく光沢がありしなびにくく、ゆで上がり後の色のくすみもありません。
「ホイップコーン」の粒皮は光沢があり、やわらかくしなびにくい。
穂重は苞葉付きで4 2 0 g程度。穂形は砲弾型でボリュームがあります。穂の先端までよく着粒し、苞葉のかぶりも良好で鳥害にも強いです。
熟期は中生。中間地のマルチ栽培では、播種後約88日で収穫できます。
「ホイップコーン」は中生種ですので、マルチ・露地栽培に最も適します。暖地の4月上旬〜5月上旬まき、中間地の4月中旬〜5月中旬まき、冷涼地の5月上旬〜6月上旬まきが最適です。
中生ホワイト種「ホイップコーン」
暖地の3月上旬〜4月上旬まき、中間地の3月中旬〜4月中旬まきに適します。
根張りをよくするために堆肥などの有機質を多用し、保水・排水性のよい土づくりに努めます。元肥は、10a当たりのチッソ・リン酸・カリの成分量でそれぞれ20〜25kgを目安とします。
10a当たりの栽植株数は、4500株植えを基準とします。5月中旬以降の露地栽培や、冷涼地での栽培では草丈が高めになるので、いくぶん疎植の4000〜4300株植えとします。
本種は極良質系のスイートコーンとしては比較的高い低温発芽力をもっています。しかし、栽培の安定のためには無理な早まきは避け、最低地温14℃以上を確保のうえ播種を行います。欠株を防ぐため1穴に2〜3粒まきとします。間引きは本葉3〜4枚のときにハサミで株元から切り取ってください。
追肥は、本葉6〜8枚ごろと雄穂出穂期の2回、それぞれ各成分量で10a当たり4〜5kgを速効性肥料で施します。
潅水量は株の生育に合わせて徐々に増やしていきます。本種は、1回目の追肥のころから生育速度が速くなるので、潅水量を多くします。
スイートコーン栽培の鉄則ですが、開花期以降収穫までは乾燥させないよう適湿に保ちます。
無除けつ栽培を基本とします。分けつを残すことで葉面積が確保され増収が期待できるとともに、倒伏の防止と作業労力の軽減にもつながります。
ホワイト種はイエロー種と比べ収穫適期の判断にやや熟練を要します。おおよその収穫の目安は絹糸抽出後25日ごろですが、先端部の粒の張り具合と食味を確認したうえで収穫のタイミングを判断します。
2025年
春種特集号 vol.59
2024年
秋種特集号 vol.58