2016/07/20掲載
暖地の早春どり良質キャベツは菌核病の発生が多く、収量低下の主な原因になっています。近年の暖冬傾向や多雨の影響により、被害はさらに進んでおり、早春どりの大産地では大きな問題になっています。また、早春どりは、厳寒期を経て三寒四温と言われる春先の変化の激しい気候のもとで収穫時期を迎えるため、栽培が難しい作型です。
こうした早春どりに対し、千葉・神奈川・熊本・鹿児島などの産地では試作と数年間の経済栽培において、従来品種と比べ菌核病被害に明確な差があったため、「春のかほり」の栽培が急速に拡大しています。
「春のかほり」は耐病性だけでなく、肥大が安定し、耐寒性に強く、抽苔や裂球も遅いため、安定して多収が期待できます。和歌山・兵庫や福岡など暖地良質キャベツ産地にも2月下旬〜3月どり作型でおすすめしたい品種です。
菌核病など腐敗性病害に対し従来品種より強く、裂球も比較的遅い特性で、早春どりの作型でも安心して栽培ができます。
低温下でも生育が旺盛で根張りがよく、玉肥大がすぐれます。形状の乱れやすい時期ですが、球形状は甲高偏円で安定します。
球内抽苔が起こりやすい早春どりでも、晩抽性にすぐれ、安心して栽培できます。
葉は肉厚でみずみずしく歯切れのよい食感で、食味にすぐれます。
「春のかほり」は2月下旬〜3月どりで最も特性を発揮します。極端な早まき栽培で厳寒期に結球を進めすぎると、寒さ傷みの原因となります。
また、4月どり以降の作型では、結球適温を超えて玉じまりが低下します。遅まきや植え遅れしないよう、適期の播種・定植を心掛けてください。
草勢が旺盛なので、肥沃地では大柄になり、収穫適性サイズを超えることがあります。
元肥を控え、追肥で草勢をコントロールし、収穫期まで安定した肥効を保ちます。
菌核病など腐敗性病害に比較的強い品種ですが、通常の防除は不可欠です。菌核病は多湿で発生しやすくなるので、排水の悪い圃場では高畝にするなどの対策が必要です。気温が15〜20℃の10〜11月ごろに株元より病害が侵入するので、この時期に株元へしっかりと薬液が行きわたるように薬剤散布することが予防防除のポイントです。土壌中の菌は条件によって複数年生存します。発病株を鋤き込むと被害が拡大するため、発病株は抜きとります。
べと病の発生も懸念される作型なので、排水対策・予防的な薬剤散布を菌核病と同様に行ってください。過熟になると球表面にもべと病が発生しやすくなります。収穫遅れのないように心掛けてください。
2024年
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