タキイ研究農場 大北 克久 (おおきた かつひさ)
2017/07/20掲載
生活スタイルの変化にともなって、日本国内の野菜の購入形態は大きく変わり、キャベツの50%は加工・業務用に利用されています。キャベツの加工・業務用には、周年安定供給、各用途に適する形態、歩どまり、品質が求められます。周年供給では産地間のリレー出荷が進み、加工・業務に向く品種の選定や栽培方法の検討が重要視されています。
栽培が難しい春どりの端境期を含め、タキイでは周年栽培ができる品種ラインアップをそろえました。形状は扁円、芯は短くて玉しまりがよく、歩どまりを高めました。葉肉は秋冬どりだけでなく、初夏〜初秋どりでも水分含量を抑えて寒玉系のかたい質に仕上がり、結球葉の6〜7枚は鮮やかな緑となる高い品質を目指しました。
今回は、リレー栽培が可能な、年内〜早春どりの長期間出荷できる「夢ごろも」と、端境期の4〜5月出荷に適する「夢舞妓」の栽培ポイントを解説します。
播種期 | 収穫期 | |||||||||||||||
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12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | ||||||||||||
夢ごろも | 7月下旬〜8月中旬播種 | |||||||||||||||
夢舞妓 | 7月下旬〜8月中旬播種 |
播種期 | 収穫期 | |||||||||||||||
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12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | ||||||||||||
夢ごろも | 7月下旬〜8月下旬播種 | |||||||||||||||
夢舞妓 | 8月上旬〜8月下旬播種 |
極端な早まき、密植を避け、本種の特長を生かして栽培しましょう。
気温の高い時期の栽培であり、外葉を作りすぎないことがポイントです。7月27〜31日に播種します。早まきほど育苗に日数をかけてかたい苗に仕上げ、元肥を抑え追肥で玉を仕上げます。生育初期〜中期の水管理に十分注意ください。根張りが確保できずに乾燥が続くと、石灰欠乏症の懸念があります。まずは小面積での栽培から始めてください。
7〜8分結球で年を越すことがポイントです。8月5〜10日に播種します。肥沃で肥効が持続する圃場、保水・排水性がよい圃場を選定してください。早どり・冬〜早春どりともに、追肥は9月20日ごろ条間に、11月上旬に通路へ施します。
やはり気温の高い時期の栽培であり、外葉を作りすぎないことがポイントです。7月30日〜8月5日に播種します。早まきほどかたい苗、早まきほど元肥を抑え、追肥で玉を仕上げます。定植は必ず8月25日以降に行ってください。追肥のタイミングは9月20日ごろ条間に、11月上旬に通路へ施します。生育初期〜中期の水管理に十分注意ください。根張りが確保できず乾燥が続くと、石灰欠乏症の懸念があります。まずは小面積での栽培から始めてください。
6〜8分結球で年を越すことがポイントです。8月10〜25日の播種。肥沃で肥効が持続する保水性、排水性のよい圃場を選定してください。追肥は9月中旬〜10月中旬ごろ条間に、12月〜厳寒期に随時通路へ施します。
厳寒期に生育を止めることがポイントです。8月20〜25日の播種。追肥のタイミングが重要で、10月上中旬ごろ条間へ、そして12月〜厳寒期の追肥は止め、2月上中旬に通路へ施します。
中間地 | ||
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作型 | 栽培のポイント | 施肥 |
早まき年内どり 播種 7月27〜31日 |
早まきほど育苗に日数をかけてかたい苗に仕上げる。 生育初期〜中期の水管理に十分注意。 気温の高い時期の栽培では、外葉を作りすぎない。 |
9月20日ごろ:条間 11月上旬:通路 |
冬〜早春どり 播種 8月5〜10日 |
7〜8分結球で年を越す。 | 9月20日ごろ:条間 11月上旬:通路 |
暖地 | ||
作型 | 栽培のポイント | 施肥 |
早まき年内どり 播種 7月30日〜8月5日 |
早まきほど育苗に日数をかけてかたい苗に仕上げる。 定植は必ず8月25日以降に行う。 生育初期〜中期の水管理に十分注意。 気温の高い時期の栽培では、外葉を作りすぎない。 |
9月20日ごろ:条間 11月上旬:通路 |
冬〜3月どり 播種 8月10〜25日 |
6〜8分結球で年を越す。 | 9月中旬〜10月中旬ごろ:条間 12月〜厳寒期:随時通路へ |
4月上旬どり 播種 8月20〜25日 |
厳寒期に生育を止める。 | 10月上中旬ごろ:条間 12月〜厳寒期の追肥は止める 2月上中旬:通路 |
極濃緑で特にかたい葉肉で生育がゆっくりしていることを理解して栽培しましょう。
生育がじっくりするので冬場生育が進まないため、播種が遅れると玉のかぶりとしまりが不足し、重量が乗らないだけでなく、芯の上りが発生します。必ず盆前播種で年内の根張り、株張りを確保します。8月10日前後に播種します。育苗に日数をかけ、かたい苗に仕上げます。肥沃で肥効が持続し、保水・排水性がよい圃場を選定してください。追肥は9月下旬に条間に、11月上旬と2月上旬に通路へ施します。
継続的に生育を進めることがポイントです。8月10〜20日に播種します。やはり、肥沃で肥効が持続し、保水・排水性がよい圃場を選定してください。追肥は9月中旬〜10月上旬ごろ条間に、12月〜厳寒期に随時通路へ施します。
播種日の設定と追肥回数・量の見極めと生育を止めないことがポイントです。8月15〜25日に播種。追肥は9月中旬〜10月上旬ごろ条間に、12月〜厳寒期に随時通路へ施し、2月上旬以降は株張りと出荷の時期を考えて追肥のタイミングと量を判断します。
中間地 | ||
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作型 | 栽培のポイント | 施肥 |
4〜5月どり 播種 8月10日前後 |
必ず盆前播種で年内の根張り、株張りを確保。 育苗に日数をかけてかたい苗に仕上げる。 |
9月下旬:条間 11月上旬:通路 2月上旬:通路 |
暖地 | ||
作型 | 栽培のポイント | 施肥 |
3月下旬〜4月上旬どり 青果出荷・ 冷蔵貯蔵5月出荷 播種 8月10〜20日 |
継続的に生育を進める。 | 9月中旬〜10月上旬ごろ:条間 12月〜厳寒期:随時通路へ |
4月どり 播種 8月15〜25日 |
播種日を設定し、追肥回数・量を見極める。 生育を止めない。 |
9月中旬〜10月上旬ごろ:条間 12月〜厳寒期:随時通路へ 2月上旬以降:株張り、出荷時期を見て判断 |
2024年
秋種特集号 vol.58
2024年
春種特集号 vol.57