2017/02/20掲載
「フルティカ」は2005年の新発表以来10年以上にわたり皆様に親しまれ、トマトの消費拡大に貢献してきました。その理由は何といっても中玉品種最高レベルの“甘さ”と後半まで草勢が強く、病気や裂果に強い“作りやすさ”にあります。それらの特性をさらに生かすための栽培注意点を再確認し、「もっとおいしく、もっと目を引く」トマトを目指してみてはいかがでしょうか。
「フルティカ」にはショルダーグリーン(SG)があり、チッソ過多での生育や乾燥条件下で濃くなる傾向にあり、SGが濃くなると着色するまでに時間がかかります。
高温期において果実への直射日光で果皮温度が35℃以上となると、赤い色素であるリコピンが生成されなくなることなどが原因で色ムラになることがあります。
「フルティカ」は初期草勢が強くなりがちですが、強勢時や高温期に分化した花芽は多くなりやすく、通常8〜12程度の花数が20花程度になることがあります。その場合花房先端の果実は肥大が劣り15〜20g程度にしかなりませんので摘果が必要となります。
一般に3〜4段花房開花時期に吸肥力が最大化し、その時期に分化した6〜7段花房の花数が増加します。
3〜4段花房開花時期までは潅水量を抑えることで草勢を調節します。その後潅水量を増やし、追肥を始めることで草勢を維持していく追肥主体の栽培管理がよいでしょう。
また、7〜8月の高温時期の栽培には、ハウス内温度を下げるために遮光資材や換気を効果的に行う必要があります。
異常主茎(メガネ症状)も草勢が強くなり過ぎた時に起こりやすい症状です。特に3〜4段花房開花時期に、チッソ過多の状態になると主茎が太くなり節間が詰まります。
茎の中央部が縦に裂け、望遠鏡のように向こう側が見える状態のことを「メガネ症状」といい、この症状が出ると急速に草勢が落ち、極端な場合には芯止まりとなることもあります。
「フルティカ」は裂果に強い品種ですが、過湿や寒暖差により裂果が起こることがあります。特に春秋期の寒暖差の大きな季節には被覆材などによる保温が遅れ、低夜温となり果実表面が結露することで裂果しやすくなります。
冷え込みが予想される日の前日は、夕方早めの保温と朝方遅めの換気がポイントとなります。また一度に多量の潅水は禁物です。明け方葉水(はみず)が出ている場合には、潅水を控えるとともに日中の換気をしっかり行いハウス内の乾燥に努めましょう。
通路や畝の上面などに敷きわらをすると湿度調節に効果がありおすすめです。
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