2018年秋種特集号WEB版 品種ピックアップ

シャキッとした歯ごたえで人気のロメインレタス。タキイ育成「晩抽ロマリア」タキイ育成「ロマリア」失敗しない栽培のポイントとは?

タキイ長野研究農場 岡田 有平 (おかだ ゆうへい)

「夢ごろも」と「夢舞妓」

2018/07/20掲載

播種

レタスは全般的に高温で抽苔(トウ立ち)する性質があります。作型表よりも温度の高い時期に播種することは禁物です。まずは各品種に示されている作型表の播種時期を守ります。

温度の低い時期に関しては肥大不足になるおそれがありますが、これはトンネル等で保温することにより、ある程度の対応が可能です。

播種
「晩抽ロマリア」適期表
■「ロマリア」適期表

育苗は6cm程度のポットを使い、1ポットに5粒程度播種します。レタスのタネは好光性種子ですから覆土を薄くして、発芽までは土の表面が乾かないように注意してください。また気温が25℃以上になると、種子が休眠して発芽が悪くなります。気温が高い時期には、風通しのよい日陰にポットを置きます。

少しでも芽が見えてきたら、徒長を防ぐために日当たり、風通しのよい場所にポットを移動させます。

定植までに適宜間引きをしてポットにそれぞれ苗1本にしていきます。

ポット育苗

施肥量と畝立て

施肥量

レタス類は肥料と温度に敏感な作物なので、栽培時期に応じて施肥量を調節する必要があります。
10m²当たりのチッソ成分量で考えると、1〜3月どりは250〜350g、4〜6月どりは100〜180g、7〜10月どりは100〜120g、11〜12月どりは150〜200g程度を目安に施します。

生育が早いため、基本は全量元肥で速効性の肥料を主体にします。ただし、冬どりで生育が長期にわたる場合は、緩効性肥料の使用や追肥も検討してください。

施肥量は栽培時期に合わせて調節

収穫時期 10m²当たりのチッソ成分量
1〜3月どり 250〜350g
4〜6月どり 100〜180g
7〜10月どり 100〜120g
11〜12月どり 150〜200g

畝立て

畝幅は80〜120cm程度で、幅に合わせて2〜4条栽培とします。土壌水分や肥効の急激な変化を防ぐため、マルチ栽培をおすすめします。12〜5月どりでは地温を確保するために黒のポリマルチ、それ以外の作型では地温の上昇を防ぐために白のポリマルチを使用します。マルチングによって、雑草や病害を抑制する効果もあります。

畝幅にあわせて2〜4条植え
黒のポリマルチ
白のポリマルチ

ロメインレタスにはマルチ栽培がおすすめです。
作型によって黒のポリマルチ、白のポリマルチを上手に使い分けるのも失敗しないための重要なポイントです。

定植と栽培管理

本葉4〜5枚程度が定植時期の目安です。条間・株間は共に25〜30cm程度で、胚軸が隠れる程度の深さで定植し、直後に活着を促すために潅水します。

生育期は、肥効を高めて生育を促すために意識的に潅水をしてください。自然降水も含めて、高温期は週1回、低温期は2週間に1回はしっかりと水が入るように管理しましょう。

霜が降りるような低温期には、ベタ掛けやトンネルなどの被覆が必要です。収穫間際であればベタ掛けでも十分ですが、積極的に生育を促すにはトンネルが必要です。レタス類の中でもロメインレタスは特に寒さ、傷みに弱いので、早めの対応を心掛けてください。

「晩抽ロマリア」のトンネル掛け。
「晩抽ロマリア」のトンネル掛け。

病害虫防除

ロメインレタスは玉レタスと同様、害虫の発生が比較的少ない品目です。しかし、アブラムシ、オオタバコガ、スリップスなどが高温期を中心に発生しますので、登録のある農薬を適宜散布してください。生育初期の防除には、根から吸収する粒剤が散布しやすくておすすめです。

収穫

定植から収穫までは、気温の高い時期で定植後40〜45日程度。低温期ほど日数は長くなり、最も寒い2月どりは90日程度かかります。

ロメインレタスの頭が閉じてきたころが収穫開始の合図です。それ以降は球内部が徐々に詰まり、おいしい結球葉が増えるのですが、同時にチップバーン(葉先枯れ)や腐敗も発生しやすくなります。高温期ほどそうした障害が出やすいので、早めの収穫を心掛けてください。

収穫適期の幅は、気温の高い時期で概ね5日前後、低い時期は1週間〜10日程度が目安です。播種や定植を少しずつずらして、連続的においしいロメインレタスを収穫してください。

ロメインレタスの頭部の葉が閉じて500円玉ぐらいの大きさまできたら収穫開始の合図です。
ロメインレタスの頭部の葉が閉じて500円玉ぐらいの大きさまできたら収穫開始の合図です。
ローストするだけで簡単、ロメインレタスの「シーザーグリル」
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