Web連載

Web連載

2022/7/20掲載

マンガ de わかる これからの農業 スマート農業基本のキ 第6話 もっと広がる! 農業のミライ

ロボット技術やICTを活用して省力・高品質化などを実現する新たな農業「スマート農業」。
名前は聞いたことがあるけど、どんなものか分からない…。そんな農家の方々に向けて、
マンガで分かりやすく「スマート農業」をお伝えする連載企画です。

登場人物
  • 息子:里山 未来(30歳)

    息子:里山 未来(30歳)
    里山家の次男。大学の農学部を卒業し、都内のIT関連企業に勤めていたが、26歳のとき父の後を継ぎ、就農。せっかくなら新しい農業にチャレンジしたいと思っている。

  • 妻:里山 千果

    妻:里山 千果(30歳)
    未来の妻。料理が得意なしっかり者。ネットショッピング好きの一面も。

  • 指導員:橋本 哲弥

    指導員:橋本 哲弥
    農業技術の指導や経営の相談に応じ、農業の楽しさを広めている。

  • 父・母:里山 匠、菜々美

    父・母:里山 匠(67歳)、菜々美(61歳)
    就農30年以上のベテラン農家。夫婦二人三脚で頑張ってきた。最近は息子夫婦に農業を任せ、のんびりする時間も増えた模様。

前回までのあらすじ

トマトの養液栽培が軌道に乗り、これからもどんどん新しいものを取り入れていきたいと意欲的に農業に取り組む未来。久しぶりに里山農園を訪れた指導員の橋本さんから、ECサイトでの販売をすすめられ、早速、準備を始めることに。そんな中、橋本さんからある提案が…。

農業の「6次産業化」って?

農林漁業者(1次産業)が、農畜産物や水産物の生産・捕獲だけでなく、食品加工(2次産業)と流通・販売(3次産業)を一貫して行う経営形態のことです。1次×2次×3次の掛け算で「6次」としており、生産物の価値を引き上げて事業の活性化を目指すほか、地域ぐるみで取り組むことで農山漁村の経済を豊かにしていくねらいもあります。

6次産業化することで得られる
3つのメリット

① 所得が向上、安定化する

生産物だけでなく、それを原料とした加工品や料理などを販売できます。中間業者が入らないので、自らの手で価格を決められ、所得の向上が期待できます。加工や流通部門が軌道に乗れば、農閑期の雇用も可能になり、1年を通して安定した売り上げを得られます。

所得が向上、安定化する

② 余剰分や訳あり品も活用できる

通常なら廃棄になる余剰分の農作物や規格外品を商品化できるようになります。お買い得品として販売するだけでなく、加工品や料理の材料として有効利用が可能です。天候次第で収入の増減が起きやすい農業の弱みを、強みや個性に変えることができます。

余剰分や訳あり品も活用できる

③ ブランド化できる

加工品の開発、廃棄ロス削減、雇用創出などは、生産者があまり行っていない取り組みです。地域の特性を生かした加工品ならば、販売を通じて同じ地域の事業者とつながる機会も増えるでしょう。この一連の取り組みをうまく発信すればブランド化につながります。

ブランド化できる

6次産業化を支援する補助金はありますが、いきなり高額の設備投資をするのは危険です。自分のできる範囲で試作したり、周囲の人の感想を聞くなど、まずはお金をかけず小さく始めてみましょう。

幅広い取り組みを支える充実のサポート

まずは農林水産省のホームページで取り組み事例をチェック!

「興味はあるが具体的なイメージが浮かばない」という方は、各地の取り組みを参考にしましょう。優良事例の表彰や取組事例集を確認することができます。その他、国の支援や戦略の立て方など参考資料も充実しており、6次産業化の基本的な知識を得られます。

気になることは、その道のプロに相談

実際に事業を始める場合、資格の取得や自治体の許認可など事前に準備しなければならないことが多く、法律関係など煩雑な部分はプロに相談したほうが確実です。各地域の6次産業化サポートセンターや地域のJA、商工会に問い合わせてみてください。

気になることは、その道のプロに相談

監修:橋本 哲弥さん
農家、農業・園芸分野のライター。東京農業大学、茨城大学卒業後、園芸店勤務を経て農家に。農業の傍ら農業・園芸関連の実用書などで執筆活動を行う。

「マンガde わかる これからの農業 スマート農業基本のキ」は、
今回が最終回になります。
長い間ご愛読 ありがとうございました 。(編集部)