Web連載
2021/2/22掲載
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2021/2/22掲載
近年、農業や野菜への興味・関心が高まっています。都心を中心に農家が販売するマルシェや、インターネットを通じて生産者から購入できるネット産直サービスの人気が伸びています。全国の農産物直売所は2万店舗以上あり、その売上は1兆円規模となるなど、直売が盛んになってきているのは明らかです。
では、なぜここまで直売が盛んになっているのでしょうか。市場流通と比較すると、生産者・消費者それぞれにとってメリットがあります。
生産者にとっては、まず「自分で価格を決められる」というのが最大の魅力でしょう。もちろん売れる価格の範囲内にはなりますが、栽培した作物の商品価値に合わせて価格を設定できます。次に、「差別化がしやすい」のも大きなメリットです。野菜は見た目だけではその価値が伝わりにくいもの。説明しながら販売することで、その野菜のこだわりのポイントを伝えることができます。最後に、中間マージンが少なくなるため「手取り単価が上がりやすい」のも良い点です。
一方、消費者にとってもメリットがあります。まず、「生産者の顔がはっきり見える」ことで、安心感につながります。また、鮮度が良いものが手に入りやすいうえ、さまざまな品種の野菜と出会えるのも魅力の一つです。
直売といっても形態はさまざま。代表される5つの形態をご紹介するので、メリット・デメリットをしっかり見極めて、自分に合った方法でトライしてみましょう。
直売所周辺の農家や農協・JAなどが設置した、地元の農産物を販売する施設のこと。道の駅などもこれに分類される。
自ら生産した農作物、水産物、畜産物および加工品、工芸品などを持ち寄って販売する市場のこと。市や町主催の定期的なものから、個人で不定期に開催しているものまで形態はさまざま。
特定の店舗を持たずに、車で移動しながら商品を販売する形態。商品や顧客ターゲットに応じて、自由に販売場所を変えることができる。
インターネットにて野菜を販売すること。自社サイトで販売する方法のほかに、大手サイトへの委託販売などさまざまな方法があり、近年注目が集まっている。
自宅の庭などの空きスペースで野菜を販売する方法。無人と有人があり、自販機を活用することもできる。
デパートやショッピングセンターなどの大型店の売場に、比較的小規模の独立した店舗形態の売場を設置すること。
このように、「直売」とひと言に言ってもさまざまな方法があるのです。
販路の多様化に伴い、青果販売自体の競争はますます激しくなっています。
そのなかで、自分たちの野菜を選んでもらうには、さまざまな工夫が必要です。もちろん、最も大事なことは野菜の品質。新鮮でおいしい野菜を栽培することが、消費者に支持されることは大前提です。
ただし、それだけでは買ってもらえないのも事実。手に取ってもらうこと、楽しい買い物をしてもらうこと、おいしく食べてもらうことなど、考えることはたくさんあります。
小売店は販売のプロ。直売するということは、そのプロと競争することになります。そのためには、ただ野菜を並べるだけでなく、自社の商品をより魅力的に見せるための売り場づくりが必要となってきます。次回以降では、そんな「魅せる売り場コーディネート」について考えていきましょう。
明るい色の看板を設置して、目を引く売り場を演出。
各野菜のPOPを用意するだけでなく、一部野菜には農家紹介POPを付けることで、農家との距離が近くなり身近に感じてもらえます。
さらに、整然とボリュームを持たせた陳列にすることで、スーパーで通常販売している野菜とは違う「マルシェ感」を演出しています。
2024年
秋種特集号 vol.58
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春種特集号 vol.57