Web連載
2022/7/20掲載
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直売の方法は、イベント出店や共同直売所への出荷だけではありません。最近では、スーパーなどの小売店も競争が激しく、お店の「ウリ」になる要素として産直野菜や地元野菜の売り場(インショップ)を用意することも多くなっています。地元の農家が委託販売をするインショップは、他の直売とは違うメリットや課題が存在します。
直売所とインショップの一番の違いは、地場野菜の「量」です。地元農家の野菜がメインになる直売所に対して、インショップの場合、店舗全体の主な売上はさまざまな食品であり市場流通の野菜です。そのためインショップの売り場スペースは限られ、出荷者の数も少ないことが多いです。店舗はインショップに対して、売上への期待ももちろんあるでしょうが、それ以上に通常の売り場とは違う、付加価値が高く、集客力のある商品が並ぶことを期待しています。
直売の最大のウリは「鮮度」です。一般的な野菜と違って、農家がとれたてを持ってきていること、こだわりがあることを印象付けるためにのぼりや看板を設置しましょう。
鮮度がウリのインショップは、お客様もそれを期待して購入されます。そのため、鮮度の落ちた野菜が並んでいると、マイナスのイメージも大きくなります。鮮度管理は徹底しましょう。
地場野菜はどうしても同じ野菜がたくさん出てしまいますが、それでは魅力的に見えません。カラフルな野菜があったり、少し珍しい野菜が並んでいたりと、店舗内の通常の売り場とは違うと感じてもらえるようにラインアップを調整しましょう。
直売の魅力のひとつは、その野菜の背景や価値がわかっていることです。それらをアピールすることがインショップの魅力になり、店舗全体にとってもよい売り場となります。簡単でよいので、積極的にPOPをつけましょう。キレイに作るよりも、出荷者自らが情報を発信することが重要です。
インショップは店舗の一部スペースを間借りしているため、専従スタッフがいません。店舗全体から見ると、たくさんある売り場のひとつです。そのため、野菜が減ってきたら直売と関係ない野菜を店舗スタッフが並べてしまう、といったことがよく起こります。ですが、それは売り場のイメージや正当性、信頼性を毀損する行為です。事前に店舗と相談して、売り場スペースの管理方法を決めておきましょう。
地元の人々がひっきりなしに買い物に来る軒下直売所。新鮮な切り花が大人気なほか、自分で栽培していない野菜は周辺農家から仕入れて販売。栽培している赤シソを使ったシロップなど、オリジナル商品も並びます。
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秋種特集号 vol.58
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