Web連載

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2022/7/20掲載

売れる!売場コーディネート術 第4回 インショップの売り場はこうつくる!!

監修:渋谷 祐輔
東京農業活性化ベンチャー、(株)エマリコくにたち副社長。農家窓口や小売店を担当。一橋大在学中に地域活性化活動をしていた仲間と2011年に創業。地元農産物の直売所と、地元野菜を活用した飲食店を計5店舗展開。スーパーへの東京野菜卸売のほか、直売所やアンテナショップへの助言・コンサルティング等も行う。

直売の方法は、イベント出店や共同直売所への出荷だけではありません。最近では、スーパーなどの小売店も競争が激しく、お店の「ウリ」になる要素として産直野菜や地元野菜の売り場(インショップ)を用意することも多くなっています。地元の農家が委託販売をするインショップは、他の直売とは違うメリットや課題が存在します。

直売所とインショップはどう違う?

直売所とインショップの一番の違いは、地場野菜の「量」です。地元農家の野菜がメインになる直売所に対して、インショップの場合、店舗全体の主な売上はさまざまな食品であり市場流通の野菜です。そのためインショップの売り場スペースは限られ、出荷者の数も少ないことが多いです。店舗はインショップに対して、売上への期待ももちろんあるでしょうが、それ以上に通常の売り場とは違う、付加価値が高く、集客力のある商品が並ぶことを期待しています。

インショップのメリット

  • 品質が高ければ、一般的な野菜と比較してもらえる
  • 店舗自体の集客力があるので、流動人口が多く、集客の苦労が少ない
  • 定番野菜は売り場にあるので、なんでもそろっている必要はない

インショップのデメリット

  • 一般的な野菜と品質、値段を容易に比較される
  • 売り場スペースが限られ、情報発信の余地が多くない
  • 接客は期待できない
  • 売り場のイメージコントロールが難しいことがある

インショップの売り場づくりで意識すること

■のぼりや看板で直売をアピール

直売の最大のウリは「鮮度」です。一般的な野菜と違って、農家がとれたてを持ってきていること、こだわりがあることを印象付けるためにのぼりや看板を設置しましょう。

ポイント
  • どういう売り場かがわかる説明を掲示する
  • 農家の名前や写真を掲示して、農家が直接持ってきていることを印象付ける
  • 新鮮な野菜であるとアピールする
のぼりや看板で直売をアピール

■鮮度管理をしっかりと

鮮度がウリのインショップは、お客様もそれを期待して購入されます。そのため、鮮度の落ちた野菜が並んでいると、マイナスのイメージも大きくなります。鮮度管理は徹底しましょう。

ポイント
  • 毎日鮮度をチェックする
  • 店舗スタッフと、値引きや店頭から下げるルールを決めておく
  • 出荷者間でも鮮度管理についての共通認識を作っておく
鮮度管理をしっかりと

■野菜のラインアップを調整して見栄えよく

地場野菜はどうしても同じ野菜がたくさん出てしまいますが、それでは魅力的に見えません。カラフルな野菜があったり、少し珍しい野菜が並んでいたりと、店舗内の通常の売り場とは違うと感じてもらえるようにラインアップを調整しましょう。

ポイント
  • インショップ内である程度のラインアップを確保する
  • モノトーンにならないように、カラフルな売り場を意識する
  • 朝どりの野菜、少し珍しい野菜など、キャッチとなる野菜を用意する
野菜のラインアップ調整して見栄えよく

■POPで商品の背景や価値を伝える

直売の魅力のひとつは、その野菜の背景や価値がわかっていることです。それらをアピールすることがインショップの魅力になり、店舗全体にとってもよい売り場となります。簡単でよいので、積極的にPOPをつけましょう。キレイに作るよりも、出荷者自らが情報を発信することが重要です。

ポイント
  • 野菜の食べ方を紹介する
  • 栽培上のこだわりポイントを伝える
  • 品種特性をアピール
POPで商品の背景や価値を伝える

インショップの売場の質を保つには

インショップは店舗の一部スペースを間借りしているため、専従スタッフがいません。店舗全体から見ると、たくさんある売り場のひとつです。そのため、野菜が減ってきたら直売と関係ない野菜を店舗スタッフが並べてしまう、といったことがよく起こります。ですが、それは売り場のイメージや正当性、信頼性を毀損する行為です。事前に店舗と相談して、売り場スペースの管理方法を決めておきましょう。

■実録!魅せる売り場■

豊泉農園

オリジナルの加工品など品ぞろえに工夫アリ

地元の人々がひっきりなしに買い物に来る軒下直売所。新鮮な切り花が大人気なほか、自分で栽培していない野菜は周辺農家から仕入れて販売。栽培している赤シソを使ったシロップなど、オリジナル商品も並びます。