切り花の新市場を創出した革新的ひまわり「サンリッチ」

2017/07/20掲載

第三章 進化しつづける「サンリッチ」

2016年発表の「サンリッチバレンシア50」。「オレンジ」より一段濃い橙色をもつ。

ビタミンカラーのラインアップが続々登場

「サンリッチ」は1991年に発売された「サンリッチレモン」を皮切りに、92年に「サンリッチオレンジ」を発表、以来25年の間に14品種が発表されています(※表「サンリッチひまわり」25年の歩み参照)。
2001年には「レモン」より透明感のある「サマーサンリッチパイン45」、近年では2014年に世界初の営利栽培向きバイカラー品種「サンリッチバナナ50」を発売するなど、オレンジ、レモン、パイン、バナナと果物の名を冠したさわやかなビタミンカラーのラインアップにも注目が集まっており、花を飾る立場のフローリストからの高い評価を得ています。
「京都の暮らしに溶け込んだパリスタイル」を確立し、その独自のスタイルで多くの支持を集める京都を代表するフラワーコーディネーターのプーゼ代表浦沢美奈さんは、『タキイ最前線2014年春号』にて「サンリッチバナナ」についてこんなコメントをされています。

「『ひまわりの顔が上の方を見てくれていて、首のつけ根がしっかりしていれば、もっとひまわりを積極的に使えるのにね』とフローリスト達の間でよく話題になります。それが叶ったわけです。加えて花弁の中心部は、まさしく向日葵色と呼びたいような濃い黄色、そして先端は菜の花やレモンのような明るい黄色になっていて、花弁が美しく立体的に感じられるのも魅力です」

浦沢美奈さんによる「サンリッチバナナ」のアレンジメント。
父の日のプレゼントをイメージ。

「サンリッチひまわり」25年の歩み

※発表年は日本国内での発売開始年を元にしています。

「サンリッチひまわり」の花色は8種類

世界初のべと病抵抗性品種を発売

生産拡大に伴う病害問題の顕在化に対応し、ひまわりの最重要病害であるべと病の耐病性育種を進め、2014年(日本国内では2015年)、世界初のべと病抵抗性品種「DMRサンリッチオレンジ」の販売を開始しました。「DMRサンリッチオレンジ」はべと病の複数レースに対して耐病性をもっており、開発にあたりタキイがオランダのべと病多発圃場で従来品種との生育比較試験を実施したところ、べと病の感染症状が一切現れませんでした。

べと病多発圃場

べと病多発圃場での試験

世界で活躍する「サンリッチ」 ゴッホ美術館に選ばれたひまわり

タキイは1995年に欧州にて「サンリッチオレンジ」の推進を開始。生産者・市場・流通業者・消費者のすべてから高い評価を得ました。従来種とはまったく異なるひまわりの市場でのインパクトは強く、「サンリッチ」を育成した草花種子会社として「タキイ」の名は欧州内に広く知られるようになりました。
その品種への信頼度の高さから、2015年にオランダのゴッホ美術館より花材の提供を求められ、美術館のエントランスホールを取り囲む巨大迷路を約12万5,000本の「サンリッチ」が彩ることとなりました。これは、フィンセント・ファン・ゴッホ没後125年を記念した行事の一環として、新エントランスホールのオープニングイベントの目玉としてつくられたものでした。

ゴッホ美術館エントランスに設置された「サンリッチオレンジ」12万5,000本を使って作られた高さ2mの巨大迷路。すべてオランダの生産者が栽培した切り花を使用している。

オランダ、アムステルダムのゴッホ美術館。1973年設立され、年間の平均来館者数は160万人以上。

これを機に同年8月にタキイとゴッホ美術館はパートナーシップ契約を締結。「ひまわりの画家になりたい」と語っていたというゴッホ、そのゴッホの作品を擁するゴッホ美術館と、世界で一番たくさん作られているひまわり「サンリッチ」を開発し、ひまわりに熱い情熱を捧げるタキイとのコラボレーションが実現しました。
タキイは「サンリッチ」をとおして、ゴッホ美術館およびオランダにおけるさまざまな活動に協賛し、世界中に切り花ひまわり「サンリッチ」の魅力を広めていきます。

世界の切り花市場に従来なかった「ひまわり」という新しい市場を創出した「サンリッチ」。
今なお人気に陰りが見られることなく、世界で育成された幾多の草花品種のなかでもロングセラー商品として揺るぎない地位を確立しています。
タキイはこれからもさらなるひまわり育種の可能性を追求していきます。