切り花の新市場を創出した革新的ひまわり「サンリッチ」

2017/07/20掲載

第二章 世界に切り花の新市場をつくりだす

世界中で栽培される切り花ひまわりに

「サンリッチ」は1991年に発表されて以来、その栽培適応性の高さから、営利生産に適した切り花品種として急速に普及しました。この品種の出現が、国内外においてほとんどなかったひまわりの切り花市場を創出したのです。現在、国内の切り花ひまわりで7割、ヨーロッパの切り花需要を支えるオランダの花卉市場では、ひまわり全体の取扱数量の8割を占めるほどの主力品種となっています。

世界最大の花市場オランダのアールスメール市場でのひまわり。

世界が「サンリッチ」を認めた3つの理由

切り花としての魅力的な形質と営利生産に適した高い栽培性を併せ持つ。

【切り花としての魅力】
切り花にして夏場でも1週間ほどはもつという「花もちのよさ」、さらに花粉が出ないので、花の芯が黒く、花弁の黄色とのコントラストが美しいということ。さらに花形、茎の強さ、花もちなどトータルバランスがよく切り花として非常にすぐれた品質をもっています。

【すぐれた栽培性】
日照時間が短くても一定の温度があれば咲くので3〜11月ごろまで出荷できる(栽培期間の目安は60日程度)ことなどから、世界のさまざまな気候の中ですぐれた栽培性を発揮します。

【種子の安定大量供給】
世界中で使われる大量のタネを必要な時に必要なだけ安定供給できることも、世界的に普及するには大きな要素です。

『タキイ最前線2013年冬春号』の中で、日比谷花壇株式会社のマーチャンダイジングディレクターの小野瀬氏(当時)は「サンリッチ」の登場が日本の花卉市場を変えたとコメントされています。
「『サンリッチ』以前のひまわりといえば、茎が太かったりベントネックしたりと、アレンジに向かない花材でした。それが『サンリッチ』の登場で、一般の贈答用のアレンジにも活用されるようになりました。『サンリッチ』は無花粉で花もちがよく、茎の部分も細く引き締まり、花の大きさも2cm刻みで出荷されている産地もあるので、ミニサイズから大きなものまで対応できる。アレンジも販売もしやすい。ひまわりがご自宅で気軽に楽しんでいただける花になりました」
また、生産者からも栽培性や市場での評価の高さなどから支持を受けています。国内最大級のひまわり生産者である千葉県の有限会社折原園芸の折原利明社長は、『タキイ最前線2016年秋種特集号』の中で「サンリッチ」について以下のように評価いただいています。
「『サンリッチ』は丈が出て茎がかたくなり、花弁の整いがよく花の日もちもよい。市場から求められるのは、アレンジのしやすい茎がかたくて挿しやすいひまわり。その点で『サンリッチ』は最適。仕入先からも「サンリッチがほしい」と品種を指定されるほどです」

2012年に行われた日比谷花壇×タキイの「ひまわりフェア」ディスプレイの様子(東京、日比谷花壇本店)。