Web連載

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2022/2/21掲載

売れる!売場コーディネート術 第3回 陳列の基本を押さえて集客アップ!

監修:渋谷 祐輔
東京農業活性化ベンチャー、(株)エマリコくにたち副社長。農家窓口や小売店を担当。一橋大在学中に地域活性化活動をしていた仲間と2011年に創業。地元農産物の直売所と、地元野菜を活用した飲食店を計5店舗展開。スーパーへの東京野菜卸売のほか、直売所やアンテナショップへの助言・コンサルティング等も行う。

売り場のイメージを左右する大きな要素が陳列です。どんなに上手に売り場を飾っても、商品の並びが悪ければ、売り場に魅力は生まれません。野菜の品質がよくても、気づいてもらえなければ手に取ってもらえません。
また、人の視野は意外と狭いもの。同じ売り場でも目立つ場所とそうでもない場所があったりします。陳列に気を遣うことで、集客力を高めましょう。

陳列前に決めること

前回の売り場づくりのポイントでも説明した通り、まず大前提は、売り場の顧客ターゲットやセールスポイントを明確にすることです。さらに、販売する野菜は時期によって違うので、その日に売りたい野菜や目玉となる野菜は何かを考えておくことも重要です。

どんな店を作りたいのか 販売する場所や時期、想定されるお客様、販売する野菜の特徴などを考えながら、どんな店や売り場を作りたいかを明確にします。例えば、ゆっくりといろいろな野菜を見て買ってもらうか、おすすめ野菜を1つでも買ってもらえばよいかにより、陳列の方針は変わります。

今売りたい野菜はどれか その日、特におすすめしたい野菜、ラインアップとして用意している野菜など、陳列する野菜それぞれに位置付けがあると思います。それをハッキリさせておけば、それぞれをどのように陳列するかが決まります。

押さえておきたい陳列のコツ

お客様から売り場がどう見えるかを常に意識して、いくつかのポイントを押さえれば、売り場はすごく魅力的になります。

■ボリューム陳列

野菜はボリューム陳列が基本。少量を上品に置いても、おしゃれっぽくはなりますがシズル感は出ません。

ポイント

ボリューム陳列は雑に行うと、野菜が大事に扱われていない感じが出てしまいます。ていねいに、でもたくさん並べましょう。

ボリューム陳列

■カラーコントロール

遠くから見ても、目立つように、おいしそうに見えるように、売り場の色を意識しましょう。

ポイント

葉物ばかりで緑一色などにならないように、赤や黄色の野菜を意識的に並べましょう。カラフルな売場はお客様の目を引きます。直売中心の農家さんは、売り場をイメージして必要な色の野菜を栽培してもよいと思います。

カラーコントロール

■意味のある並び順・セット陳列

葉菜類や根菜など同じカテゴリのものは隣に並べる、サラダで食べる野菜やカレーセットなどレシピに合わせて並べるなど、意図を持って並べると売場が雑然としません。

ポイント

何らかの意図のある陳列に、お客様は無意識的にまとまりを感じます。お客様をイメージしながら、どうやって並んでいると買い物しやすいか、楽しく買い物してもらえるかを考えて陳列しましょう。

意味のある並び順・セット陳列

■小物装飾

布やフラッグガーランド、ショップカードなど、ちょっとした小物を少し用意するだけで楽しい雰囲気が演出できます。

ポイント

イメージカラーや演出したい雰囲気などを意識して、一貫性を持たせることが大事です。特に、布は安価で簡単に雰囲気を出せるのでおすすめ。

小物装飾

陳列は 並べたら終わり じゃない!

陳列は、がんばって並べたら終わりではありません。繁盛する売り場ほど、お客様が野菜を手に取るので、時間の経過とともに売り場が乱れます。また、販売がうまくいかないこともあります。並べた後は、以下を意識しましょう。

  • 補充をしっかりする
  • 整然と並べる
  • 売れない場合は売り場を変化させる
  • 野菜が減ってきたら、寄せる・まとめる

常に補充をするよう売り場に気を配り、なるべく整然と並べます。乱れた売り場は野菜の鮮度劣化を想起させるので気をつけましょう。また、売れない場合は、陳列を変えてみることも大事です。目先を変えると売れることもあります。また、野菜が減ってきたら、寄せてまとめていきましょう。閑散とした売り場では売れ残り感が出て野菜は魅力的に見えません。

折りたたみコンテナの野菜にボリュームがなく、棚にもすきまができています。
補充とともに陳列場所を変え、トマトを追加してカラーコントロールも意識。

■実録!魅せる売り場■

国分寺・清水農園直売所

会話を楽しみながら新鮮な野菜を!

畑の横にあるかわいい直売所。木製の看板が目印。その日に畑でとれた、新鮮な野菜が並びます。見た目や形が少し悪い野菜はお得な価格で販売。話をしながら買い物ができるので、野菜をおいしく食べる方法を楽しく得られる機会にもなり、近くの住民やレストランのシェフもたくさん訪れます。野菜が足りなくなったら目の前の畑から収穫して売ってくれたり、畑の端に咲いている花を切って分けてくれたり。ただ野菜を買うだけでない価値を提供しています。