2020/02/20掲載
時代は下って、和食中心から洋食へと食生活が変化し、煮物に向く粘質系からホクホク感の強い粉質系カボチャの需要がさらに高まってきました。消費のニーズに応えタキイでは2000年に高粉質で甘い「ほっこり133」を発表します。本種はデンプン含有量が高く、舌ざわりはなめらかでキメが細かく、貯蔵することでデンプンの糖化が進み栗のように甘くなる品種です。
一般的に粉質系は果実が肥大しにくく「えびす」ほど収量が上がりません。しかし、「ほっこり133」は果重1.7〜1.9kg程度と「えびす」並の大玉と収量性を兼ね備え、その栽培性が評価されて産地に広く普及しました。
近年、直売所の増加やネットでの産直など販売形態の多様化に伴い、定番品種以外にも目新しく差別化販売に向く品種も望まれるようになってきました。タキイではその多様なニーズに応え、色、形、大きさで差異の出せるユニークな品種を生み出しました。2003年には果重700gと食べきりサイズで、食味は粉質で甘みも強いミニカボチャ「ほっこり姫」を発表。2009年には一層食味に特化した粉質かつなめらかで甘みが際立ち、ユニークなラグビーボール型の「ロロン」、加えて、高粉質で貯蔵性の高い白皮種「夢味」を開発しました。いずれも「えびす」の収量性をベースにして、多様なニーズに応えた品種です。
タキイでは今後とも「作りやすくて多収」を育種のコンセプトとして貫いていきます。
異常が当たり前となりつつある昨今の気候では、作りやすさはより重要となるはずです。また、カボチャは単位面積当たりの収益率がそれほど高くないため、「多収」という要素は不可欠です。そのうえで、食味のよさ、加工適性、栄養素の強化、果実形質の向上などを積み上げ、皆さまに喜んでいただける品種を目指します。
「えびす」が生まれたのは東京でオリンピックが開催された1964年。それから56年……二度目の東京でのオリンピック開催の佳節に新たな品種が登場します。近年産地で問題となっているうどんこ病に耐病性をもち、食味のよさと収量性の高さを併せ持つまさに「えびす」の進化版というべき品種です。乞うご期待ください。
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