誕生から55年! ナスの代名詞となったタキイ交配「千両」「千両二号」誕生から55年! ナスの代名詞となったタキイ交配「千両」「千両二号」

2018/02/20掲載

国内初のトゲなし品種
「とげなし千両二号」を開発!

時代のニーズに合わせた品種を求めて

「千両」ナスの普及により、早出しから周年出荷へと作型が広がるとともに、さらなる大幅な増産が求められるようになりました。しかし、1990年代になると、後継者不足や産地の高齢化による労働力不足が問題となりはじめ、作業効率のよい品種が求められるようになりました。

そこで、1994年(平成6年)から育種を始めたのがトゲのない品種です。ナスのトゲは輸送中のスレで果皮を傷つけ、商品価値を落とし、刺さると先端が折れて皮膚の中に残り、痛みはいつまでも続きます。ナスの生産や流通に携わる人々のトゲの問題を解決できたら、作業性の効率につながると考えました。

2007年発売の「とげなし千両二号」。千両ナスの長所を受け継ぎ、ヘタや茎葉のトゲをなくした画期的品種。
2007年発売の「とげなし千両二号」。千両ナスの長所を受け継ぎ、ヘタや茎葉のトゲをなくした画期的品種。
左「とげなし千両二号」、右「千両二号」。
左「とげなし千両二号」、右「千両二号」。
ヘタだけでなく植物体全体にトゲがない。

そうして、2007年(平成19年)に発売を開始したのが「とげなし千両二号」です。千両ナスの長所をそのまま受け継ぎ、ヘタや茎葉のトゲをなくした革新的な品種で、これらは国内で育成された最初のトゲなし品種となりました。

トゲがないことで、収穫や袋詰めの作業効率が上がり、輸送時の傷果を減少することができます。生産者をはじめ、加工、流通関係者、菜園用途でも高い評価を得て、タキイのトゲなし品種は普及しつつあります。

発売当初から「千両二号」を作り続けるJA京都中央管内で「とげなし千両二号」を導入。管内で生産されたナスは「京都茄子」として、京都や神戸などの市場に出荷されている。(2008年JA京都中央管内)。
発売当初から「千両二号」を作り続けるJA京都中央管内で「とげなし千両二号」を導入。管内で生産されたナスは「京都茄子」として、京都や神戸などの市場に出荷されている。(2008年JA京都中央管内)。
集荷場に並ぶ「京都茄子」
集荷場に並ぶ「京都茄子」

「千両」の発売より55年、以来、早生の「千両」はハウスに、品質と収量が一層すぐれた「千両二号」はトンネル、夏秋用として使い分けられ、日本のナスを代表する主力品種としてロングセラーを続けています。

変わらぬおいしさと品質で、日本の食卓を彩る紫紺のナス。「千両」「千両二号」はこれからも日本のナスの代名詞として活躍します。

進化は止まらない

2017年に発売された単為結果でトゲなしの長ナス「PC筑陽(ぴーしーちくよう)」は、タキイ初の単為結果性ナスでした。ホルモン処理不要の省力性は産地からも喜びの声が届いています。「筑陽」タイプに続く「千両」タイプの単為結果性ナスの育成も進んでおり、その登場も遠くないでしょう。