第3回

2017/02/20掲載

2.専門学校生との出会い

入社2年目の私は、子持ちキャベツとホウレンソウの育種担当になりましたが、子持ちキャベツは既にタキイの交配種「Jade Cross」が欧米を席巻し、当時研究農場内にあった原種採種網室はこの品種の両親系の採種で埋まっていました。この時期の海外からの来客は、米国、オランダ、英国から子持ちキャベツ関係者の来場も多く、育種担当だった私は、度々圃場案内の機会を得ることができました。その折、オランダの種苗会社の方から、米国カリフォルニア州のハーフムーンベイが子持ちキャベツの大産地だと教えていただき、現地の営農指導員の方を紹介してもらうことができました。営農指導員であるルバツキー氏とは手紙のやり取りで米国のキャベツ、ブロッコリー、ホウレンソウなどの情報や研究者を紹介してもらい、情報収集を開始したのです。こうしたやり取りは英語で手紙を書いたわけですが、後に米国出張でようやくルバツキー氏本人と面会できた際には、すぐに打ち解けレタスのブリーダーを紹介してくれました。これが縁でタキイ育成「シスコ」レタスの育種に繋がることになりました。インターネットが普及していない時代ですから、海外との連絡手段はもっぱら手紙のみという状況です。返事がくるのは半月先と、今では考えられない時代でしたが、海外の栽培情報、研究者、遺伝資源の詳細を把握するには英語と人脈が欠かせないということに気付いたのです。特に「英語」は自分の知らない世界を知ることが出来る欠かせないツールだとようやく悟りました。

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