第4回
2017/07/20掲載
2.1年の成長を確認できる入学式
4月1日、若葉寮の桜が開花するころ、タキイ園芸専門学校の入学式を迎えます。新入生は入学前日の夕刻までに全員受付手続きを終了し入寮を済ませます。この時初めて専攻生の部屋長から、1年間を共に過ごす相棒の部屋員を紹介され、お互い緊張した若葉寮の第1夜を過ごします。
入学式当日の午前中は、まず校医による健康診断後、個人面接に進みます。この面接で本人の入学意思の決意を最終確認します。
面接後、本科生の代表となる総代1名、副総代2名と実習班の班長候補を選出するのですが、総代に選ばれると、晴れの入学式で宣誓の役目を負います。その後、昼食をはさみ教科書、実習服、長靴、剪定鋏など必要品を購入し学業準備を整えます。
午後1時、大勢の御父兄参加のもと、タキイ社長、来賓の先生方が列席し入学式が始まるわけですが、新入生と専攻生の差が歴然と現れるのが、この入学式です。名前を呼ばれ頼りない返事をする新入生に対し、腹の底から自信に満ちた声で応える専攻生。この声を聞いた瞬間、新入生は身が引き締まると同時に、本能的にこの学校で学ぶことの本質を予感するのです(甘く見ていた生徒は嫌な予感を感じるようです)。こうして私がタキイの門をくぐった50年近く前にも見た、繰り返される光景。ひ弱な新入生と1年間で逞しく成長を遂げた専攻生。たった1年でここまで成長するものかと感激する一方、新入生をここまで成長させてあげなければならないと、その責任の重さをひしひし感じるのがこの入学式です。
式終了後はオリエンテーションを受け、父兄とつかの間の名残を惜しみ、帰寮します。夕食後は専攻生主催の歓迎会に臨み、自己紹介などをはじめとするいつの時代も変わらない寮ならではの「伝統行事」に突入します。こうしてようやく長い1日が終わり、本科生の多くがベッドの中でそれぞれ明日への思いにふけりながら二日目の夜が更けていきます。
その後も寮では、寮歌と校歌暗唱指導が続き、毎朝実習前に場員の大半も参加して行うラジオ体操合格を目指して練習が続きます(朝礼前のラジオ体操は生徒の代表が交代で前で実演します)。このように4月は寮に帰ってもずっと気の抜けない緊張の日々が続きます。
4月は公式な歓迎行事も目白押しで、「歓迎マラソン大会」、「歓迎夕食会」、「春季レクレーション」、「全員座談会」、「面接」と学校生活に一日でも早く慣れるための行事が目白押しです。5月の連休で一息入れたあとは果菜類の定植、ウリ科作物の交配実習と続き6月中ごろには寮生活・実習にもほぼ慣れ、生徒たちは少しずつ個性を発揮するまで成長しています。この時期までは、何としてもリタイアする生徒が出ないよう社員が指導し、専攻生は一丸で彼らを引っ張ります。こうして本科生は次に控える「夏の陣」を乗り越える精神力と体力の準備を整えます。「夏の陣」については次回「夏の風景」でご紹介しましょう。