第5回

2018/02/20掲載

5.夏を越えて訪れる変化

「夏の陣」が終わる9月下旬ごろになると本科生は真っ黒に日焼けし、見違えるように精悍になります。全員身体が引き締まり(体重100kg近い生徒は必ず80kgまで減少します)体力が付き、朝礼後駆け足の移動でも専攻生にぴったりと張り付いて遅れる者は皆無となります。さらに、実習でも専攻生と肩を並べるまでに成長してくる本科生もいて、専攻生たちは春のころに比べて一瞬たりとも気が抜けない状態になるのです。

夏を過ぎれば専攻生についていける体力が身についている(1984年)
夏を過ぎれば専攻生についていける体力が身についている(1984年)

そうして一皮むけた本科生の中には、専攻科への進学を意識しだすものも現れます。そうした生徒は、実習への取組みにも積極性が表れ、傍目からみても明らかにその変化が読み取れます。こうしたタイミングで我々も「専攻科への進学を希望するなら、場員の目に止まるくらい実習で目立たないと残れないぞ」とモチベーションを高めて更なる成長のきっかけを与えるのです。

真剣なまなざしで農機具実習に臨む生徒たち(1982年)
真剣なまなざしで農機具実習に臨む生徒たち(1982年)

入学当初は毎日逃げ出すことばかり考えていたような彼等も、「夏の陣」を乗越えると肉体面以上に精神面でも大きく成長してきます。卒業後は就農という共通した目標を持った多くの仲間と切磋琢磨する日々で、自分の現在地を実感できるからだと思います。そこから今まで漠然としていた将来を具体的に思い描けるようになるようです。彼らは1日単位で自信をつけ、人間的にも次第に大きく成長してきます。

寮で夕食を囲んでの楽しいひと時(1977年)
寮で夕食を囲んでの楽しいひと時(1977年)
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