根深ネギ栽培における土寄せのポイント

2016/02/22掲載

土寄せのタイミング

土寄せのタイミング産地では夏場の出荷は軟白部25cm以上、それ以外の時期は30cm以上を目安としている場合が多くなります。その長さを確保するために、通常4〜5回程度に分けて土寄せします。土寄せの時期は生育日数で判断するのではなく、ネギの生育状況に応じて行います。特に夏場の高温時期は生育が緩慢になるため、土寄せを行うと病害が発生しやすくなります。
また、最終土寄せから収穫までの日数が短いと、葉と軟白部の境が薄緑色となり商品価値が下がります。葉の縁と軟白部の白がきれいなコントラストを描くようにするには、夏場では3週間程度、冬場では1カ月以上の日数を要します。

では、それぞれのステージに合わせた土寄せについてみてみましょう。

ネギの出荷基準

関東:5kg箱 関西:3kg箱
段ボール長さ:58〜60cm
夏場(軟白確保難):25cm それ以外:30cm 太さで規格分け
ネギの出荷基準

土寄せの手順

定植

定植耕土層により異なりますが定植前に15cm前後の溝を掘り、そこにネギの苗を定植します。その際、活着をスムーズにさせるために亜リン酸肥料を施す産地が増えています。タキイの「ホスベジ10」などの液体亜リン酸肥料を、定植前に苗床で2〜3回施すとよいでしょう。また、チェーンポットで定植する場合は、紙筒が地表面に出ているとそこから乾燥して活着が悪くなるため、紙筒をしっかり地中に埋める必要があります。さらに高温時期の定植では、茎盤部が地表面近くになり直接高温の影響を受けないよう、やや深植えにすることもポイントです。
栽培に不慣れな場合は何cm土寄せしたかを確認できるよう、定植時に目安棒を置くのもよいでしょう。

削り込み・埋め戻し

削り込み・埋め戻し定植後、活着したら埋め戻し作業を行います。茎盤を安定した地中に位置させることで、ストレスをできる限り最小限に抑えます。
ただ分岐部には寄せすぎないよう、2回程度に分けて軽く削り込みます。その際、通路は凹みますが、V字にさせずM字型にすることがポイントです。

土寄せ

削り込みでできたM字をキープしながら土寄せします。土がかかった葉は枯れていきます。葉は光合成を司る部位であるため、生葉(土がかからない葉)が多ければ多いほど栄養が作られ太ります。したがって土寄せの際は、生葉を必ず4〜5枚残します。
生育適温下では1枚の葉が伸長するのに7〜10日を要します。土寄せ後、葉がプラス2〜3枚展開すればまた土寄せするといった感じで、2〜3週間を一つの目安として土寄せを行います。

土寄せ

最終土寄せ

最終土寄せ夏場に最終土寄せする場合は、軟腐(なんぷ)病などの発生時期でもありますので、首元より3cm程度下までで抑えます。それ以外の時期は首元近くまでしっかり寄せます。ただし首元を埋めるほど土寄せを行うと、首部に土が入り調製作業に手間が掛かるので、注意しましょう。
収穫までの目安は前述の通りなので、収穫時期から逆算して土寄せを行ってください。収穫が遅れると緑と白のコントラストの美しさが薄れますので、適宜収穫を心掛けます。

具体的な土寄せを行った畑

具体的な土寄せを行った畑

常に削り込みでできたM字をキープしながら土寄せする