根深ネギ栽培における土寄せのポイント

2016/02/22掲載

土寄せのポイント

高温時期の土寄せ

高温期の土寄せはネギにはストレスとなり、さまざまな障害が発生します。したがって夏場は涼しい日や時間帯を選ぶようにします。またストレスを軽減するために通路を一つ飛ばしで土寄せし、左右両側の根が一気に断根されるのを防ぎます。
秋口からスムーズな栽培に移れるよう、発根を強化させておく必要があります。定植時でも説明しましたが、亜リン酸肥料を施すと効果的です。「ホスベジ10」の場合は、葉面散布で夏場に3〜4回施すとよいでしょう。

土寄せ時の薬剤散布

土寄せを行うとネギ自体に傷がつき、そこから病原菌が侵入するので傷口をよく消毒する必要があります。特に台風時は、倒伏を防ぐため土寄せをしっかり行いますが、台風が通り過ぎた後はさらに傷口が広がっているので、できる限り早めに消毒します。
また、土壌病害がみられる圃場では、土寄せ前に薬剤散布が必要です。土寄せ前の消毒を怠ると、病原菌をそのままネギの株元に引き寄せることになってしまうので、登録のとれた薬剤をしっかり散布してから土寄せしましょう。

品種による土寄せの違い

土寄せを行うとネギは縦方向に伸びます。したがって伸びやすい品種は、さらに伸びて軟白部が長く細いネギになる場合があります。品種特性を理解した土寄せが必要です。

ホワイトスター
ホワイトスター

早生品種である「ホワイトスター」は、伸びながら太る品種です。土寄せのタイミングを調整することで早期出荷も通常出荷も可能です。また、軟白部も十分30cmは取れるので、扱いやすい品種といえます。

ホワイトソード
ホワイトソード

ホワイトソード」は伸長性にすぐれますが、肥大は涼しくなった秋ごろから本格的にスタートします。そのため早め早めに土寄せを行うと細く長いネギになるため、できる限り土寄せを遅らせることがポイントになります。あるいは、1回分土寄せを行わず、最後にしっかり寄せても十分軟白部の長さは確保できます。

タキイの根深ネギについてご紹介

ホワイトシリーズ

「ホワイトスター」「ホワイトタイガー」「ホワイトソード」

北海道長沼研究農場で育成 ⇒適温下で素直に生育⇒冷涼地
  ⇒秋口から一気に仕上げる中間地
  ⇒食味重視産地、直売、菜園

特長 伸長性・肥大性にすぐれる
  食味にすぐれる(やわらかくておいしい)
  皮が剥きやすい

タキイ品種の使い分け

  播種 収穫 品種
中間地     ホワイトシリーズ
夏秋どり 11月〜2月 7〜10月 スター(1〜2月まきの7〜10月どり)
秋冬どり 3〜5月 11月〜2月 スター(11月どり)ソード(1月どり)
冷涼地      
夏どり 2〜3月 8月 スター
秋どり 3〜4月 9〜11月 スター、タイガー、ソード
ホワイトスター ⇒早生肥大性を生かした冷涼地の7〜8月出荷が最適。
 中間地では夏秋どり、年内どり。
ホワイトタイガー ⇒べと病が問題になりやすい冷涼地の9月後半〜11月出荷に最適。
ホワイトソード ⇒秋口から気温下降期の生育が旺盛。特に冷涼地の10〜11月出荷が最適。
 中間地の場合は、12月〜1月どりを中心とした秋冬どりに適する。

ホワイトスター

特長
  • 肥大性にすぐれる
  • やわらかく、辛みが少ない
  • 生育が旺盛である
栽培ポイント

(1)やわらかい
⇒病気になりやすい(さび・べと病)ので早期薬剤散布を心掛ける。
⇒寒さ傷みが早いので年内出荷。収穫遅れに注意。

(2)生育が旺盛
⇒根張りが強い反面、肥料に敏感な特性をもつ。
 多肥で軟腐病、分けつが起こりやすいので注意。

(3)葉色が淡いが肥料が少ないわけではない(多肥厳禁)

ホワイトスター

ホワイトソード

特長
  • 伸長性にすぐれる
  • 首のしまりにすぐれ、
    ばらけにくい 
  • 葉色濃く、見た目が美しい
栽培ポイント

(1)伸長性にすぐれるので、早期の土寄せは伸びすぎる恐れあり。土寄せを遅らせる。あるいは1回とばす。寒くなってから肥大するので、早まきしすぎない。

(2)根が太く回復遅いので排水のよい畑を準備。肥料には鈍感

ホワイトソード