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病害情報

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キンセンカ 炭疽病(たんそびょう)

データ作成年月日:2006/04/01
文章執筆:米山伸吾

症状(診断)

 葉に不鮮明な水浸状病斑が現れ、次第に中央部が灰白色で周辺が茶褐色の明瞭な数mmの病斑となる。茎や花梗では縦長の楕円形または不整形な病斑を形成し、茎は病斑側へ著しく曲がる。風などで茎の病斑部から折れやすくなる。病斑にはしばしばサーモンピンクの分生子塊が観察される。
 多発すると最も防ぎにくいやっかいな病害で、9月下旬〜10月下旬に発生が多い。

発生のしくみ

 病原菌は2種類あり、①コレトトリクム カルサミ(Colletotrichum carthami)②コレトトリクム クリサンセミ(Colletotrichum chrysanthemi)で、分生子層に分生子を生じる。分生子は無色単胞、長楕円形、6〜15×3〜6nm、ベニバナやシュンギクにも病原性を有する。
 第一次伝染源は、土壌中の罹病残渣に生存していた病原菌で、雨滴により植物体に飛散して感染する。付近でキンセンカに本病が発生している場合、風雨などで飛散して圃場内へ侵入することも考えられる。その後は、病斑上に形成された分生子が雨滴の飛沫により飛散することによる。発病適温は25℃前後で、高温多湿が1日以上続くと発病が激しくなる。感染後、分生子を多量に形成する病斑となるまでの期間は、1週間以内と思われる。

防ぎ方

 耕種的防除法としては、長雨で多湿状態が続くと多発するため、排水をよくして過湿を避けることが大切である。雨滴による地表からのはね上がり感染を防ぐため、稲わらでマルチングする。できれば、多発時期には雨よけを行う。施設栽培の場合は、頭上潅水は控える。シュンギクやベニバナなど以外の作物と輪作する。
 登録防除薬剤はない。

ご注意

文中に記述のある農薬の登録内容は、すべて上記データ製作日時点のものです。ご使用に際しては、必ず登録の有無と使用方法(使用時期、使用回数、希釈倍数、処理量など)をご確認ください。

農薬登録のない薬剤を使用したり、登録条件以外の使用をすることは、農薬取締法で禁止されておりますので、生産物の商品性や産地としての信用を著しく損なう恐れがあります。また、生産者の健康被害に対する配慮も肝要です。

農薬の適用の対象や使用基準など、登録の内容は時期や地域によって異なります。間違った使用をされますと、効果がないばかりか作物に薬害を生じる恐れもあります。

本文の記述には万全を期しておりますが、使用農薬の選択および使用方法につきましては、お近くの種苗専門店や農協、公共の指導機関などにご確認の上、使用される農薬の注意書きをよく読んでお使いくださるようお願い申し上げます。

病害虫の診断は、判断が非常に難しい場合があります。詳しくは、農協または公共の指導機関にご相談ください。