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カーネーション・ナデシコ 黒さび病(くろさびびょう)

データ作成年月日:2006/04/01
文章執筆:植松清次写真提供:駒田旦(HK)

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症状(診断)

 主に葉に発生し、茎や花柄に発生することもある。下葉から発生が始まり、葉が込み合う開花期には上葉にも感染が広がる。
 初め直径1〜2mmの小黄斑を生じる。徐々に拡大して、直径0.5〜1cmの周縁がやや不明瞭な黄斑点となる。小さい病斑が葉の全面に広がることもある。病斑部の葉の表面はややくぼみ、裏面中央に黒褐色でビロード状の集塊が盛り上がり、拡大すると中央部は灰白色の粉状となる。病斑周辺組織は黄白色に変色する。この黒褐色の集塊は冬胞子堆である。冬胞子堆が後に灰白色に変わるのは、冬胞子の発芽により形成された担子器、および担子胞子に覆われるためである。

発生のしくみ

 カーネションには3種類のさび病が発生し、黒さび病はプクシニア アレナリエ(Puccinia arenariae)というさび病菌によって発病する。冬胞子は黄褐色を呈し、棍棒状または長楕円形で、2細胞、まれに1細胞で、柄を有し、大きさは35〜59×13〜21μmである。湿室に置くと発芽し、2細胞の担子器とその小柄上に長楕円形の担子胞子を形成する。さび胞子や夏胞子は形成されない。本菌は異種寄生は認められず、カーネーションだけで生活史をまっとうする。
 伝染方法は、空気伝染および雨滴伝染である。
 わが国では、ナデシコ(ダイアンサス)属の種間雑種で、ジプシー系というカーネーションの品種群にのみ発生が知られる。スタンダードやスプレー系のカーネーションでは発生が認められていない。いったん発生すると、ほとんど手の施しようもなくなる。
 本菌は、ナデシコ科の植物に寄生し、それらの寄主植物の葉上で越年、越夏して伝染を繰り返すと考えられる。 

防ぎ方

 発生圃場から穂木を採らない、発生に気づき次第、被害葉を除却する。発生前に定期的に予防剤を散布するなど、さび病と同様である。

ご注意

文中に記述のある農薬の登録内容は、すべて上記データ製作日時点のものです。ご使用に際しては、必ず登録の有無と使用方法(使用時期、使用回数、希釈倍数、処理量など)をご確認ください。

農薬登録のない薬剤を使用したり、登録条件以外の使用をすることは、農薬取締法で禁止されておりますので、生産物の商品性や産地としての信用を著しく損なう恐れがあります。また、生産者の健康被害に対する配慮も肝要です。

農薬の適用の対象や使用基準など、登録の内容は時期や地域によって異なります。間違った使用をされますと、効果がないばかりか作物に薬害を生じる恐れもあります。

本文の記述には万全を期しておりますが、使用農薬の選択および使用方法につきましては、お近くの種苗専門店や農協、公共の指導機関などにご確認の上、使用される農薬の注意書きをよく読んでお使いくださるようお願い申し上げます。

病害虫の診断は、判断が非常に難しい場合があります。詳しくは、農協または公共の指導機関にご相談ください。