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アイスランドポピー、ヒナゲシ 萎黄病(いおうびょう)

データ作成年月日:2007/03/01
文章執筆:植松清次写真提供:西村十郎(JN)

  • 写真1(JN)

症状(診断)

 定植後1カ月あまりで発生する(10月下旬〜11月)。新葉は淡黄色で細くなって叢生し、成葉は黄褐色になる。そのため、圃場を眺めた時、発病株は株全体が黄色いのでそれと分かる。花は花弁が不完全となり、奇形になる。症状が進むと株は枯れる。

発生のしくみ

 発病株の篩(し)部を電子顕微鏡で観察すると、ファイトプラズマと呼ぶ特殊な細菌が認められる。
ヒメフタテンヨコバイという昆虫の媒介によって伝染する。発病株の汁液を健全株につけても変化はないが、接ぎ木を行う作物などでは、接ぎ木によっても伝染する。
媒介虫が発病株から吸汁して保毒すると、ファイトプラズマが虫の体内で増殖し、伝染力を有するようになるまで20〜30日かかるといわれる。成虫から卵へは伝染(経卵伝染)しない。媒介虫は4〜11月に数回発生を繰り返し、夏から秋に密度が高まる。
圃場周辺に生育するセリやカヤツリグサ、タネツケバナなどの雑草が伝染源である。媒介虫はこれらの植物やアイスランドポピーにも産卵し、幼虫は成育する。

防ぎ方

媒介虫の防除が重点となる。
(1)栽培圃場周辺の雑草を防除する。特に、発病株および伝染源となる前記の雑草は抜き取る。
(2)育苗期には施設を寒冷紗で被覆をし、媒介虫の侵入を防ぐ。
(3)栽培圃場周辺の雑草に寄生する媒介虫を、有機リン系の殺虫剤で防除する。
登録防除薬剤はない。

ご注意

文中に記述のある農薬の登録内容は、すべて上記データ製作日時点のものです。ご使用に際しては、必ず登録の有無と使用方法(使用時期、使用回数、希釈倍数、処理量など)をご確認ください。

農薬登録のない薬剤を使用したり、登録条件以外の使用をすることは、農薬取締法で禁止されておりますので、生産物の商品性や産地としての信用を著しく損なう恐れがあります。また、生産者の健康被害に対する配慮も肝要です。

農薬の適用の対象や使用基準など、登録の内容は時期や地域によって異なります。間違った使用をされますと、効果がないばかりか作物に薬害を生じる恐れもあります。

本文の記述には万全を期しておりますが、使用農薬の選択および使用方法につきましては、お近くの種苗専門店や農協、公共の指導機関などにご確認の上、使用される農薬の注意書きをよく読んでお使いくださるようお願い申し上げます。

病害虫の診断は、判断が非常に難しい場合があります。詳しくは、農協または公共の指導機関にご相談ください。