調べる

病害情報

戻る

スイセン モザイク病・ウイルス病(もざいくびょう・ういるすびょう)

データ作成年月日:2006/04/01
文章執筆:亀谷満朗・米山伸吾写真提供:亀谷満朗(MK) ・西村十郎(JN)

  • 写真1(JN)
  • 写真2(MK)

症状(診断)

 スイセンのウイルス病には以下の13種類のウイルスが関与すると考えられているが、ウイルス症状については不明な点が多い。ほとんどの場合、複合して症状を現す。

発生のしくみ

(1)アラビスモザイクウイルス(Arabis mosaic virus ArMV)
(2)ソラマメウイルトウイルス2(Broad bean wilt virus 2 BBWV-2)[Broad bean wilt virus#]
(3)キュウリモザイクウイルス(Cucumber mosaic virus CMV)
(4)ユリ潜在ウイルス(Lily symptomless virus LSV)
(5)スイセン退緑ウイルス(Narcissus degeneration virus NDV)
(6)スイセン潜在ウイルス(Narcissus latent virus NLV)
(7)スイセン晩期黄化ウイルス(Narcissus late season yellows virus NLSYV)
(8)スイセンモザイクウイルス(Narcissus mosaic virus NMV)
(9)スイセン黄色条斑ウイルス(Narcissus yellow stripe virus NYSV)
(10)タバコ茎えそウイルス(Tobacco rattle virus TRV)
(11)トマト黒色輪点ウイルス(Tomato black ring virus TBRV)
(12)トマト輪点ウイルス(Tomato ringspot virus ToRSV)
(13)Vallota speciosa virus (VSV)[キルタンサスエラツスウイルス(Cyrtanthus elatus virus A)]
 スイセンウイルス病の病原であるスイセン黄色条斑ウイルス(NYSV)はアブラムシにより非永続的に伝搬される。宿主範囲はきわめて狭く、スイセンとツルナだけである。切り花などの際、刃物から伝染する可能性がある。また、スイセンモザイク病の病原であるスイセンモザイクウイルス(NMV)は世界的に分布している。宿主範囲はやや広いが、全身感染する植物はスイセンのほかセンニチコウが挙げられる。自然状態ではスイセンにのみ発生し、切り花の際に用いる刃物で伝染する。また、両ウイルスともすでに発病した病株の保毒した球根から繁殖させると、次の世代にも本病が発生する。

防ぎ方

 耕種的防除法は、(1)健全な球根を用いる。(2)切り花収穫の折には健全な株から始めるか、刃物を熱湯消毒(75℃で10分間以上)する、もしくは洗剤で十分に洗う。
 農薬による防除法は、適用登録薬剤を用いてアブラムシを防除する。モザイク病に登録防除薬剤はない。

ご注意

文中に記述のある農薬の登録内容は、すべて上記データ製作日時点のものです。ご使用に際しては、必ず登録の有無と使用方法(使用時期、使用回数、希釈倍数、処理量など)をご確認ください。

農薬登録のない薬剤を使用したり、登録条件以外の使用をすることは、農薬取締法で禁止されておりますので、生産物の商品性や産地としての信用を著しく損なう恐れがあります。また、生産者の健康被害に対する配慮も肝要です。

農薬の適用の対象や使用基準など、登録の内容は時期や地域によって異なります。間違った使用をされますと、効果がないばかりか作物に薬害を生じる恐れもあります。

本文の記述には万全を期しておりますが、使用農薬の選択および使用方法につきましては、お近くの種苗専門店や農協、公共の指導機関などにご確認の上、使用される農薬の注意書きをよく読んでお使いくださるようお願い申し上げます。

病害虫の診断は、判断が非常に難しい場合があります。詳しくは、農協または公共の指導機関にご相談ください。