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症状（診断）

　葉に赤褐色で円形ないし楕円形の小斑点を生じる。斑点の中心部はやや淡い褐色となり、くぼむ。病斑は、拡大するとともに多くの病斑が癒合して不整形の大型の斑点になり、葉は萎凋して後に枯死する。また発蕾せずに株が枯死することもある。蕾に発生すると開花しないか不完全開花でまったく採花できない。花弁にも葉と同様に褐色の斑点を生じ、花腐れを生じる。梅雨期や秋雨期など多湿時に発生する。ユリ栽培では普遍的に発生する重要病害である。

発生のしくみ

　病原菌は、ボトリチス エリプティカ（Botrytis elliptica）という不完全菌類に属する糸状菌（かび）の一種である。本菌は菌糸や菌核の形で被害葉とともに畑の土壌中に混入して越冬し、翌春これらから分生子が飛散して第一次伝染する。また、実生繁殖の場合は保菌種子が伝染源になることが多いため、発芽直後に苗腐敗を起こし、そこに生じた分生子が飛散して伝染する。本菌の生育温度は20℃前後が適温であるが、分生子の形成は16℃前後が好適で、この温度条件で発病が激しくなる。第二次伝染は病斑部に形成された分生子が飛散して周りの株に伝染する。露地では長雨が続くような湿潤な条件下で多発する。したがって、過湿環境になりやすいハウス栽培で特に発生が多い。

防ぎ方

　チッソ質肥料の多施用を避け、密植や過繁茂にならないように管理する。排水を良好にし、葉の上から潅水しない。被害葉や茎は摘徐して焼却する。