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2010.07.21
供給が不安定で量が不足する4月に、安定して収穫できる寒玉タイプキャベツ『夢ごろも』を新発売
タキイ種苗は、新品種として、加工・業務用で利用の多い寒玉※1タイプで、4月に安定して収穫できるキャベツ『夢ごろも』を発売します。

キャベツは加工・業務用における需要の割合は全体の48%(2005年)※2で、外食産業や学校給食などにおける消費が一定化している一方、天候不順などにより生産量が減ると価格が急騰しやすい野菜です。今年は、4月の青果価格において全国的に生育が遅れて高めに推移し、野菜全般に値段が高く話題になったことは記憶に新しい所です。
キャベツは周年を通して生産されますが、扁平で葉肉が硬く巻きのよい寒玉と呼ばれるタイプは11月から3月が主な収穫期で加工・業務用として多く利用されます。寒玉タイプは4〜5月どりの栽培が難しく、産地から出荷される量が減少し、この時期はやわらかくて水分含量が高いため加工・業務用に十分な適応性を持たない春系※3品種などが利用されています。寒玉の栽培が難しい要因として抽苔※4による結球の充実不良や不結球での収量低下、過熟による裂球や色あせによる品質低下が問題になっています。そのため生産者や加工業者などから、4〜5月に安定して収穫できる品種が強く求められていました。

今回新発売する『夢ごろも』は、芯の伸びの遅い性質(晩抽性※5)と裂球が遅い性質(圃場での貯蔵性)を持ち、中間地・暖地の安定した4月収穫を可能にしました。玉はアントシアン色素の発生(寒さで表面が紫色になること)が少なく、鮮やかな濃緑色が収穫期後半まで持続し、抽苔による食味の低下も少ないため、加工・業務用だけでなく、青果用としても満足できる品質を持っています。また根張りと草勢が安定し、低温肥大性に優れ、晩抽性をもっているため、4月どりでも球尻が尖りにくく、形状が安定しています。

タキイ種苗では、食に対する「安心・安全」の意識が高まる中、キャベツの重要病害である黒腐病※6耐病性品種の育成を進めています。寒玉と呼ばれるタイプについては、今回新発表する「夢ごろも」を皮切りに、黒腐病耐病性をよりレベルアップした「夢」シリーズを今後発表していく予定です。農薬の散布を減少させて農家が栽培し収穫することで、「安心・安全」なキャベツが消費者に届くよう新品種の開発を進めていきます。
肥大と揃いのよい寒玉キャベツ『夢ごろも』 アントシアン色素の発生が少なく、
青果用としても高品質
肥大と揃いのよい寒玉キャベツ『夢ごろも』 アントシアン色素の発生が少なく、青果用としても高品質
◆ 『夢ごろも』の主な特長
裂球が遅く、晩抽性があり、圃場貯蔵性にすぐれる。中間地・暖地では4月どりが可能。
外葉はやや大型、草姿は中立性で、玉肥大・揃い性に優れる。
形状は甲高扁円で安定し、球色は濃緑色で低温期に発生するアントシアン色素が少なく、球内の黄色みも強い。晩抽であるため、4月どりでも球尻が尖りにくく、形状が安定する。
萎黄病抵抗性を持ち、黒腐病に対しても特に強い耐病性を持つので、安心して栽培できる。
<作型表>
作型表


<価格>
品種名 量目 希望小売価格
(税込み)
夢ごろも 小袋(約200粒) 577円
20ml 5,985円
ペレット種子 L5千粒 14,385円


<注釈説明>
※1 寒玉…形は扁平で葉が比較的硬く、巻きがしっかりしているのが特徴。加熱しても煮くずれしにくく、甘みが増し風味が出るため、煮込み料理やお好み焼きに適する。また、お好み焼きの素材として関西の需給動向が全国の価格を左右しています。
※2 農林水産政策研究所調べ
※3 春系…一般的に秋まきで、春から初夏に収穫するので春系と呼ばれる。葉色が鮮やかで光沢があり葉の質がみずみずしくてやわらかく、生食に向いています。
※4 抽苔…気温や日長などにより花茎(花を付けた茎)が伸び出すこと。「とうだち」ともいう。
※5 晩抽性…抽苔の遅い性質のことで、品種差がある。葉根菜類の冬〜春どり栽培で特に問題となり、晩抽性の品種が求められる。
※6 黒腐病…特にアブラナ科野菜で被害の大きい細菌病(病原菌はザントモナス・キャンペストリス)。
葉縁の水孔や傷口から浸入し、葉にV字形の黄褐色の病斑を形成して拡大する。罹病すると急速に拡大するので早期の防除が必要。風雨の後に発生が増加するので、産地では銅剤等の予防散布が行なわれている。