インフォメーション

2012.03.19
タキイ種苗×お茶の水女子大学 共同研究成果
「ピーマンの苦味成分」を解明
「苦くない」と人気の『こどもピーマン』の分析により、ピーマンの苦味成分は、
ポリフェノールの一種である「クエルシトリン」+香り成分と解明
タキイ種苗は、国立大学法人お茶の水女子大学(以下:お茶の水女子大学)との共同研究※1で、苦味の少ないピーマン『こどもピーマン』を材料に従来の苦味のあるピーマンと果実成分を比較したところ、苦味に関与すると思われるポリフェノールの一種「クエルシトリン」※2が『こどもピーマン』では少ないことが明らかになりました。

ピーマンは子供が嫌いな野菜の代表とされることが多く、その主な原因はピーマンに特長的な「苦味」であると言われています。食品に含まれる苦味には様々なものがあり、例えばコーヒーに含まれる「カフェイン」やキュウリに含まれる「ククルビタシン」などはよく知られています。しかし、ピーマンの苦味成分については、これまで明らかにされておりませんでした。そこでタキイ種苗では、お茶の水女子大学の協力のもと、2010年に発売を開始した苦味の少ない『こどもピーマン』と、従来のピーマンとの成分を比較することにより、今回初めて苦味成分の解明を実現いたしました。

従来のピーマンと『こどもピーマン』の果実成分を比較したところ、従来品種に含まれる成分が『こどもピーマン』には含まれないことを発見し、この物質が「クエルシトリン」(quercitrin)であると特定しました。「クエルシトリン」は苦味ではなく“渋み”を感じることから、さらに食味評価を行った結果、この「クエルシトリン」にピーマンの香気成分※3が加わることでピーマンの苦味として感じられることがわかりました。
2010年11月にタキイ種苗が新発表した『こどもピーマン』は、子供に人気で、約80%の子供が「苦くない」とアンケート調査で答えています。アンケートには「普通のピーマンは食べられないが『こどもピーマン』は食べられると回答する例も多くありました。
店頭ではこのラベルが目印!!
ピーマンの苦味成分「クエルシトリン」が少ないことが解明された『こどもピーマン』
タキイ種苗では、本研究の成果をもとに「苦くないピーマン※4」=『こどもピーマン』として販売や栽培を広げるとともに、新しい料理や利用方法の開発、さらに次の新しいピーマン品種の育成を今後とも積極的に進めていきます。
なお、本研究内容は農芸化学会平成24年大会(2012年3月23日〜25日/於:京都女子大学)において発表いたします。
<注釈説明>
※1 研究方法 苦味を呈する『従来品種のピーマン』と、苦味のない『こどもピーマン』の種子とヘタを除いてミンチにし、ナイロン濾布で絞った。絞り汁を遠心分離し、液体クロマトグラフィーにて分析した。その結果、従来品種のピーマンにのみ存在する成分が数種類検出された。
これらの成分のうちの1つが苦味に関与する物質であると考察されたため、これを単離し分析を行ったところ、本物質がクエルシトリン(quercetin-3-rhamnoside)であることがわかった。このクエルシトリンは苦味ではなく渋みを呈したことから、さらに食味評価を実施した結果、ピーマンの苦味の正体がクエルシトリンの持つ渋味と、ピーマン特有の香気成分であるピラジン(2-isobutyl-3-methoxypyrazine)によることが明らかになった。
※2 クエルシトリン ドクダミに多く含まれるポリフェノールの一種で、脂肪細胞の脂肪蓄積を抑制する、高血圧抑制、抗うつ作用、血中中性脂肪の上昇抑制、血流改善、関節炎予防効果などの効果が発表されています。
※3 香気成分 ピーマンの香気成分は主に「2-isobutyl-3-methoxypyrazine」と呼ばれるピラジンの一種とされています。ピラジンには多くの種類が存在し、他の野菜にも含まれています。
※4 苦味の比較 一般的なピーマンに比べ、『こどもピーマン』の苦味は少ない(下図①参照)
※5 栄養価の比較 一般的なピーマンに比べ、『こどもピーマン』の栄養価は高い (下図②参照)
  
※「ふつうピーマン」は一般的なピーマンのこと
『こどもピーマン』参考資料
野菜に関するアンケートでは、常に子供の嫌いな野菜の上位に位置する“ピーマン”。その独特のピーマン臭や苦味は、子供たちだけでなく、大人にとっても苦手な方が多く、敬遠されがちな野菜です。しかし、緑黄色野菜として栄養価が高いため、細かく刻むなど、調理に工夫をして子供たちに食べさせる家庭が多いのが現状です。
そのような中、『こどもピーマン』は、「ピーマン嫌いの子供たちをなくしたい」という育成者の思いから約10年の歳月をかけ、品種改良されました。『こどもピーマン』は、子供の発育に必要なカロテン、ビタミンCを従来のピーマンよりも豊富に含んでおり※5食味もよい新しいタイプのピーマンに仕上がりました。
◆『こどもピーマン』の主な特長
苦味が少なく、ピーマン臭がない
肉厚でジューシー、食べ応えがある
ビタミンC・カロテンが豊富
キュートな果形
食べごろサイン お弁当の具材にもぴったりなサイズの『こどもピーマン』
食べごろサイン お弁当の具材にもぴったりな
サイズの『こどもピーマン』
◆『こどもピーマン』の栽培特性
一般的なピーマンと同じ栽培
定期的に追肥を行う
潅水はやや多め
果面のひびが食べごろサイン
◆作型表
作型表 肉厚でジューシーな果実
  肉厚でジューシーな果実
◆価格
品種名 量目 希望小売価格(税込み)
こどもピーマン『ピー太郎』
小袋(約30粒) 577円
500粒 5,985円