インフォメーション

2013.10.29
安定して栽培でき、青果でも加工用でも利用できる淡緑首品種!
低温下でも根がよく伸び、尻詰まりがよく収穫しやすい春ダイコン
『初神楽(はつかぐら)』を新発売
タキイ種苗は、2013年度の新品種として、淡緑首で低温伸長性すぐれ、収穫しやすい春どりダイコン『初神楽』を発売します。

ダイコンは、日本各地で生産されており周年で供給されています。暖地から一般地において、年内(秋〜冬)にまき、春に収穫するダイコン(春ダイコン)は、低温下での栽培や抽苔※1の危険性もあって一番難しい作型といわれています。この年内まきの春どり栽培は、生育期に温度が低くトンネル、マルチなどの被覆資材を使ってもダイコンの根長が出にくいため、低温でも根がよく伸び(低温伸長性にすぐれ)、抽苔(とう立ち)しにくい性質をもつ品種がこれまで使われていました。しかし収穫時には根が深く地中に入ってしまうため、ほとんどが人の手によって行われる収穫作業において、抜きづらく生産者に負担がかかっていました。
また近年のダイコン生産の動向として、刺身のツマやおろし、漬物、おでんなどに利用される業務加工用が6割を占めており、青首系より白首の方が業者に好まれる傾向にあります。特に低温期は、首部の内部まで青くなる“青肉化”が多くなりやすく、加工において歩留まり※2が悪くなり問題になっています。

今回新発売するダイコン『初神楽』は、晩抽性※3を持ち低温伸長性にすぐれ短根になりにくく、安定して根長を確保することができます。低温伸長性にすぐれる従来品種では、収穫時に根が抜きづらく大変手間がかかっていましたが、『初神楽』は尻詰まり※4がよく容易に収穫することができます。首部は薄い青首で、低温期でも内部が青肉になりにくいため業務加工用としても最適です。葉の数が多く、比較的葉の耐寒性があり、肉質は緻密で青果にも向きます。

タキイ種苗では、安定して栽培でき業務加工用に向く淡緑首の連続出荷を可能にする『神楽』シリーズ※5を充実させることにより、市場のニーズに応えていきます。また春ダイコンではさらに抽苔を安定させ、播種期の幅を広くし栽培性の向上と、肉質や肌ツヤなど品質のさらなる向上を目指します。栽培性と品質をベースに首色の薄いダイコンとして青果のみならず加工・業務用などお客様のニーズに対応したダイコンの品種育成をこれからも進めてまいります。
低温でも根の伸長がよい『初神楽』 淡緑首で、内部も青肉になりにくく
青果でも業務加工用にも向く品種
◆『初神楽』の主な特長
尻詰まりがよく、収穫作業が容易
低温伸長性にすぐれる
根長が出にくい作型(年内まきトンネル栽培)においても安定した伸長性を発揮し、短根になりにくい。12月上旬まきの
トンネル栽培で、根長38cm、根径7.5cm程度によくそろう。

淡緑首で業務加工用にも適する
首部は淡緑首で、低温期に問題となる内部の青肉が出にくく、肉質は緻密なため青果だけでなく業務加工用に適する。

収穫、出荷作業が容易
尻詰まりが良好で収穫作業が容易。胴太りになりにくく、箱詰め作業もスムーズに行うことができる。
◆作型表 『初神楽』
作型表
◆価格
品種名 量目 希望小売価格(税込み)
初神楽 小袋(約190粒) 577円
2dl缶 15,435円
<注釈説明>
※1 抽苔 気温や日長などにより花茎(花をつけた茎)が伸び出すこと。「とう立ち」ともいう。
※2 歩留まり 生産物(食品など)の原型物に対する食用や利用可能な部分の割合。
※3 晩抽 抽苔の遅い性質のことで、品種差がある。ダイコンでは冬〜春まき栽培で特に問題となり、晩抽性をもつ品種が求められる。
※4 尻詰まり ダイコンなどで根の先端(お尻の部分)まで身が詰まっていること。特に春ダイコンでは低温のため根の先端が細くなりやすく尻詰まりが悪いことが多い。
※5 『神楽』シリーズ 首色が淡い緑色の“淡緑首”で、青果でも業務加工用にも向くダイコンのシリーズ。
これまで発売した『春神楽』『秋神楽』は、それぞれの特長を生かし産地に導入されている。
<参考資料>

1.春ダイコンの作付面積、収穫量
 及び出荷量の推移(農林水産省 統計)

2.加工・業務用野菜の推移



 

3.ダイコン作付面積の推移(年間)


資料 農林水産省「野菜生産出荷統計」より

4.ダイコン出荷量の推移(年間)

資料 農林水産省「野菜生産出荷統計」より