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2019.11.07
スポーツを支える 陰の立役者「芝」
冬でも茶色に変色せず、美しい緑を保つ芝の秘密。
スポーツ選手のケガのリスク軽減にも!
タキイ種苗は、ラグビーやサッカー、ゴルフなどの競技をする上で欠かせない「芝」についての知られざるひみつをご紹介します。
“スポーツの秋”真っ只中、日本では、野球やサッカーをはじめ、今年はラグビー人気も高まり、各地でスポーツが盛んになっています。そんなラグビーやサッカーをする上で欠かせない存在である「芝」。当たり前のように一年中美しい緑をキープして選手たちのプレーをサポートしていますが、決して当たり前ではありません。そこには、美しい緑をキープするための「知られざるひみつ」があったのです。
芝には大きく分けて「夏芝(暖地型)」と「冬芝(寒地型)」の2種類があります。「夏芝」は暑さに強く、損傷からの回復力も強いため、競技場や広場などでよく使われますが、冬期には休眠してしまうので地上部は茶色く変色してしまいます。一方で「冬芝」は常緑で、濃い緑色をしたきれいな芝ですが高温多湿に弱いため、スポーツターフとして年間を通してよい状態を保つには北海道や東北地方の一部に限られてしまいます。
そこで、年中緑の芝をキープするための方法が「オーバーシード」です。「オーバーシード」とは、冬期に地上部が休眠する夏芝の上に冬芝のタネをまき、冬期も緑の芝を保つことです。こうすることで、下で休眠している夏芝を保護し、春にベースの夏芝が育ち始める頃冬芝も衰退を始めます。また、夏芝と冬芝の二層構造によりクッション性が高まり、選手たちのケガのリスクが減るという大きなメリットもあるんです。

夏芝(暖地型) | 冬芝(寒地型) |
---|---|
暑さに強く、冬期には休眠して地上部が茶色くなる。 ティフトン、コウライシバ、ノシバなど |
常緑で、一年草から多年草までさまざま。高温多湿が苦手。 ペレニアルライグラス、ケンタッキーブルーグラス、フェスク類など |
●オーバーシードに適した冬芝の条件●
オーバーシードに使う冬芝の品種は、なんでもよいというわけではありません。オーバーシードに適した品種を使用しないと、一年中美しい緑をキープするのは困難です。以下の2つの条件を満たす品種が好適です。
- ①夏芝が冬に休眠している間はしっかり緑を保つが、休眠から覚めて元気に育ってくるころには衰退してくること。夏芝の生育を邪魔しない。
- ②低温で葉色が淡くなる真冬でも、比較的きれいな緑色を保つこと。
●タキイのお勧め品種●
インターメディエイトライグラス『サツキワセ』
<特徴>
- ・ペレニアルライグラスとイタリアンライグラスの交配種。
- ・葉色は比較的濃緑でキメが細かく、冬期も美しい緑をキープできる。
- ・従来品種より、夏芝への移行が極めてスムーズ。
- ・ティフトンや日本芝のオーバーシード専用品種。

ペレニアルライグラス『アスリート4X』
<特徴>
- ・4倍体品種。(基本数の4倍の染色体を有する個体。流通品種の多くは2倍)
- ・2倍体品種に比べて植物体が大きく、葉もやや太い。
- ・根が深く張るため、擦り切れや踏圧などの損傷に強い。
- ・生育が早く、冬期の葉色も濃い。

- ペレニアルライグラス・・・
- 冬芝の一種。発芽と初期生育が早く、葉色も美しい。
- イタリアンライグラス・・・・
- 冬芝の一種。別名アニュアルライグラス。初期生育が極めて早く、夏芝への移行もスムーズ。
- インターメディエイトライグラス・・・
- ペレニアルライグラスとイタリアンライグラスの交配種。
- ティフトン・・・
- 夏芝の一種。生育が盛んで踏圧、擦り切れに強く、損傷からの回復力に優れている。
栄養繁殖なので種子流通はない。
- 日本芝・・・・
- 夏芝の一種で主にノシバやコウライシバ。特にノシバは日本で自生している場所がある。高温多湿や乾燥にも強い。
コウライシバは栄養繁殖なので種子流通はなく、主に張芝で流通している。
競技場やゴルフ場、公園の一部では、一年中緑の芝生で利用者を楽しませてくれています。そこでは、「オーバーシード方式」が取り入れられているのかもしれません。