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野菜

野菜栽培マニュアル

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インゲン

■菜園向けインゲン栽培カレンダー

栽培カレンダー

種類と作型

莢の種類は丸莢と丸平莢、平莢に区分され、莢の片側にスジのあるスジあり種とスジなし種(ストリングレス)があります。現在の品種は改良が進み、ほとんどスジなし種になっています。昔は調理の前にスジとりをしていましたが、現在はほとんどやる必要がありません。

平莢

丸平莢

丸莢

[インゲンと気温の関係]
■生育適温
15〜25℃

つるなし種は、高温時期に開花すると着莢が悪くなるので、夏場の高温時期に開花しないように播種期を選びます。収穫期間は2週間程度なので、播種期を10〜14日ずつずらしてまいておくと収穫が安定して行えます。つるあり種は高温に強いので、4月下旬から5月下旬までまくことができ、5月上旬まきなら、7月上旬から30日以上収穫を続けることができます。

発芽

■発芽適温
23〜25℃

インゲンのタネを水に浸すと、子葉と胚軸に割れ目が生じます。割れ目の発生率は、よく乾燥したタネほど高く、しかも、割れ目が大きいので発芽の妨げになります。長時間水に浸すことによって水中での酸素欠乏が起こり、発芽障害を引き起こすこともあるので、インゲンのタネを水に浸してからまくのは好ましくないでしょう。

[播種する時の注意]

覆土はタネの2〜3倍(約2cm)程度を目安にします。

幼根はへそ部近くから発芽するのでへそを下にしてまくとよいでしょう。

覆土が浅いと根の部分が浮き上がったり、種皮をかぶったまま発芽して子葉が開かなくなります。

ポット育苗

マメ類は播種から発芽までの間、鳥害が多いので育苗して定植するのもよいでしょう。育苗には温度を確保できる場所が必要です。最低気温が10℃以上になったころ根鉢をくずさないように定植します。

ポリ鉢に直接タネをまいて、そのまま育苗

発芽した状態

初生葉が展開したときに1〜2本にする

育苗日数約20日、本葉1〜2枚が定植適期です。

播種(直播)

播種の目安は、最低地温が15℃以上になったころです。一般地のマルチ栽培では5月上旬ごろになります。マルチは生育初期の地温を高め、水分と肥料分を保持する働きがあるのでぜひ利用するようにしましょう。特につるなし種でマルチの効果が高くなります。

[つるあり種]

[つるなし種]

欠株を防ぐため1穴に3〜4粒播種し、本葉が2枚くらいまでに1〜2本に間引きします。生育のよいものを残してそのほかの株は根元をハサミで切り取ります。

■施肥量
元肥は目安として10u当たり成分量で、つるあり種がチッソ120g、リン酸200g、カリ120g、つるなし種はチッソ150g、リン酸、カリ200gを施用します。マメ類の中では肥料は多めがよいが、特につるあり種は元肥が多すぎると葉が大きくなり、つるぼけして着莢が遅くなるので注意します。

つるありインゲンの生育

つるあり種は摘芯しなければ2〜3m伸長します。節間は長く、左巻きに支柱に巻きつく性質があります。

[1条植えの場合]

[2条植えの場合]

インゲンネット、キュウリネットなどを利用します。
つるあり種は、本葉5〜6枚になればつるが伸び始めますので、支柱やキュウリネットなどを用いて誘引します。種まきから55日程度で収穫できるようになります。追肥は、開花時期と収穫始めの2回行います。1回の追肥では、10u当たりチッソ成分30〜40gを施します。
開花・着莢時期に水分が不足すると、落花や曲がり莢が多くなります。
乾燥が続くようであれば、十分に潅水を行ってください。

生育途中

[インゲンの莢のつき方]

つるあり種の開花と結莢

インゲンの花

つるが支柱の肩部まで伸びたら摘芯して、側枝の発生を促すとともにバランスよくつるを誘引して採光をよくします。側枝が上に伸びてきたら主枝と同じように摘芯します。

つるなしインゲンの生育

つるなし種は支柱が不要で、栽培期間も短く基本的に追肥は行いません。収量はつるあり種に比べて少なくなります。1作が短いため、ほかの作物との輪作体系を組みやすい利点もあります。
つるなし種でも、過繁茂(肥料過多、高温、日照不足等)でつるが伸びる場合があります。長いつるが出るようなら早めに摘芯して、背丈が大きくならないようにします。

マルチをすると保温効果で発芽がよくなり、乾燥を防いで収量が増えます。特につるなし種を栽培する時には、雨による泥の跳ね上がりで発生しやすい莢の腐敗が防げます。
本葉展開時から殺菌剤を定期的に予防散布すると作物を保護し、さらに抵抗力を高めます。
アブラムシにはシルバーマルチなどを利用したり、ガの幼虫などは捕殺するなどして、発生初期に徹底防除することが減農薬栽培につながります。

つるなしモロッコのマルチ栽培

収穫

[つるあり種]

つるなし種よりも大莢で収穫することが多い。子実のふくらみが大きくなっても食味は落ちにくいが、とり遅れに注意する。

[つるなし種]

開花後10〜15日で子実のふくらみが目立つ前に収穫する。

とり遅れは莢の品質が低下するばかりでなく、草勢を低下させ、減収につながるのでこまめに収穫する。

収穫

連作障害

インゲンも含めマメ類は、連作を嫌うため3年以上あけて栽培するようにします。連作するといや地現象(植物自身が分泌する生育阻害物質の影響)が起こり、土壌病害やセンチュウなどが発生しやすく、生育が極端に悪くなる場合があります。

病害虫

[アブラムシによるウイルス病]

生育が進むと葉の縁が、急に巻いたように縮みはじめることがあります。
このような症状は、アブラムシの被害による場合が多く、葉を裏返してみると、すでにアブラムシが増えはじめています。
アブラムシはウイルス病を伝播するので、放っておくと、株全体が縮んでしまい、葉や株が奇形になります。

[ハダニの被害]

梅雨明けぐらいから葉裏にハダニが寄生して汁を吸い、葉緑素が抜けるのでその部分が白くなります。多発すると葉が黄色、後に褐色になって枯れてしまい、生育も遅れます。莢にも寄生し、汁を吸われた部分が褐色になってしまいます。ダニは世代の交代が早く、一回の薬剤散布では防ぎきれないので、3〜4日おきに、3〜4回続けて農薬を散布することが大切です。

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