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カブ

菜園向けカブ栽培カレンダー

栽培カレンダー

発芽と抽苔

■発芽適温
20〜25℃(最低温度4〜8℃で発芽します。発芽は30℃以上の高温では著しく悪くなります)
[カブの花芽分化]

種子が吸水し、発芽したころから低温感応しますが、幼苗期よりも、ある程度生育が進んだ大苗のほうが感応しやすくなります。 一般には2〜13℃で感応し、敏感なのは5〜7℃前後とされています。 また感応期間が長いほど、花芽分化とその後の抽苔は早くなります。 抽苔は13〜18℃で促進され、「聖護院」のような大カブ種は抽苔が早く、「金町小蕪」のような小カブ種は抽苔が遅い傾向にあります。

[カブの脱春化作用(ディバーナリゼーション)]

夜間、低温に遭遇して低温感応しても、日中の高温によって低温の作用が打ち消されます。 9℃の連続低温処理を24℃か30℃の高温で、4時間または8時間中断すると、4時間で低温処理効果の1/2、8時間で3/4が消去されます。 低温期のハウス栽培やトンネル栽培はこの特性を利用してトウ立ちを回避しています。

播種

[発芽のポイント]

適度な土壌水分の状態で播種し、覆土とまき溝の厚さを一定にして一斉に発芽させることが大切です。小〜中カブは、条まきか点まきするとよいでしょう。覆土後、軽い土では板などでよく鎮圧して、土壌水分が逃げないようにします。播種直後に、害虫の被害を防止するために被覆資材(防虫ネットや寒冷紗など)をトンネル全体に覆うとよいでしょう。土壌水分が不足すると発芽が遅れたり、発芽ムラが生じるので、こまめに潅水しましょう。 ベタがけ資材を利用するのも効果的です。

播種する時の注意

覆土は1cm程度を目安にします (重めの土では、覆土を薄めにする)。

[畑の準備]

堆肥を施す場合は、播種の1カ月前までに行い、化成肥料などの元肥も少なくとも播種の1週間前には施用し、土とよくなじませておきます。 連作すると根こぶ病などが発生しやすくなるので、輪作をして完熟堆肥や緑肥作物などによる土づくりを行いましょう。 有機質に富む畑では、肌が美しく肉質のやわらかい品質のよいカブが収穫できます。

[小〜中カブ]

カブのトンネル栽培

[大カブ]

■施肥量
1回の栽培に必要な施肥量(全体)は、小〜中カブの場合、10u当たり成分量でチッソ150〜180g、リン酸150〜200g、カリ110〜150gが目安になります。 大カブは、チッソ、リン酸、カリとも300gを目安に施用します。 小〜中カブでは、比較的栽培期間が短いので全量、元肥にすることが多く、大カブでは元肥2/3、追肥1/3で割合で3回程度追肥するようにします。

生育

■生育適温
15〜20℃(冷涼な気候を好みます。耐暑性は弱く、25℃以上の高温では根の肥大悪く、病気も多発します。耐寒性は比較的強く、−3℃くらいまで耐えられます)
[秋まき小カブ(適期)]

[カブの裂根の原因]

根の周皮(師部)の肥大が木部の肥大に伴わないときや、根の肥大の局部的な不均衡から起こります。 生育後期に発生しやすく、栽培日数が長くなり、収穫が遅れると多くなります。 生育初期に土壌水分や肥料が不足すると周皮が老化し、生育後期に降雨により土壌水分が多くなって急激に肥大が進むと裂根が多発します。 裂根を防止するには、生育前期は乾燥を防ぎ、肥料や土壌水分が不足しないようにして生育を順調に進め、生育後期には土壌が多湿にならないよう畑の排水性を良好にしておくことが大切です。

小〜中カブの間引きと生育

[間引き]

間引きは早めに
間引きが遅れると茎葉の生育が優先して玉の肥大が遅れ、低収量・低品質になってしまいます。 生育の後半には肥大が急速に進むため、間引きによってやや広めの株間を早く確保しましょう。

間引きは子葉のころと、2回目本葉1〜2枚ころと、3回目本葉3〜4枚のころに行います。間引きした葉は、やわらかくておいしいので汁の実やおひたしなどに利用するとよいでしょう。

@子葉の形が正ハート形のものを残し、丸形、長形のものを抜く。

A2回目は本葉1〜2枚のとき

B3回目は本葉3〜4枚のとき生育のよいものを残す。 小カブは最終株間10〜12cmにする。

[生育と肥大]

発芽
ダイコンと同じく、タネをまくと2〜3日で発芽し、5日ぐらいで子葉が展開します。

本葉3〜4枚(最終間引き)
根の肥大が開始され、初生皮層(根の外側の皮)に縦の亀裂が入り、皮は剥けていきます。 その後、地上部に出ていた下胚軸が地下に沈み始めます。

本葉3〜4枚

本葉4〜5枚
タネまき後、15〜20日には下胚軸が地中にもぐり、株元はしっかりしてきます。

本葉4〜5枚

本葉6枚以降
初生皮層がはく脱して根の肥大が始まる6葉期以降、根部が肥大して収穫するまでが生育後期です。 葉数の増加にともない葉長と葉重が増加した後に、葉重の増加を上回って根部が本格的に肥大します。

生育後期

収穫
小カブであれば直径5cm以上、中カブでは8cm以上になれば収穫。裂根に注意します。

大カブの間引きと追肥

大カブは小・中カブより生育期間は長いですが、肉質は緻密でス入りは遅くなります。 適期であれば、播種後70〜80日で収穫できます。 6cmポットで本葉4〜5枚まで育苗し、定植しても栽培できます。 大きく根部を肥大させるには、肥効が切れないようタイミングのよい追肥が大事になります。

大カブはポットで育苗して定植も可能 (本葉4〜5枚)

[間引き]

 1回目
本葉2〜3枚時、病害虫に侵されているものを優先して間引き、葉が触れ合わない程度にします。 そのとき、株が倒れないように株元に土寄せを行うとよいでしょう。
2回目
本葉4〜5枚時(播種後3週間程度)に、生育が中位のものを揃えて残し、1本立てとします。

[追肥]

1回につきチッソ成分で30g/10uを目安に施用します。

1回目
播種後15日ごろ、うねの中央部に追肥し、除草をかねて中耕して浅く溝をつけます。 生育の遅れている部分や葉色の淡い箇所には追肥をやや多めにし、生育を揃えます。
2回目
最終間引きの時(1本立て)に、うねの両肩上部に施し、中耕して培土・土寄せします。
3回目
播種後40〜45日ごろ、うねの両肩の下部に施します。 この時期になると葉が茂ってきているため、葉折れなど傷をつけないように注意しましょう。

収穫と根こぶ病

[収穫の目安]

■カブの根こぶ病
アブラナ科作物に寄生する根こぶ病菌は、糸状菌(カビ)の一種で、土壌中に休眠胞子の形で5〜10年間も生存するといわれてます。 特にカブの場合は、根に直接発病するため被害の大きい病害です。 対策として播種前に畑に根こぶ病の薬剤を混和し防除するか、根こぶ病抵抗性品種が開発されていますので、品種名などにCR(Clubroot Resistance)の文字の付いた品種を利用するようにしましょう。
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