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野菜栽培マニュアル

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ニンジン

菜園向けニンジン栽培カレンダー

栽培カレンダー

発芽と種子

■発芽適温
15〜25℃

春まき栽培でニンジンが発芽しにくい原因の一つは、発芽の際の低温(地温)です。 発芽温度は8〜30℃と幅広いのですが、最適温度は15〜25℃です。 発芽に要する日数は温度の影響を強く受け、15〜20℃では8〜10日で発芽するのに対し、10℃では14日、5℃では30日以上かかるばかりか、発芽率も発芽揃いも悪くなります。 また、35℃以上になるとほとんど発芽しません。

[ニンジンの発芽]

[ペレット種子]

播種作業の省力化(機械まき)などの目的で、一定規格の丸粒状に加工した種子を、ペレット種子と呼んでいます。 現在、野菜種子のうち「ニンジン」「ハクサイ」「レタス」などで「ペレット加工」しています。 ペレット種子は播種後しっかりと水をかけるようにします。 一度吸水した後に、乾燥するとペレットが硬くなり発芽できなくなるので、水分が切れないよう注意が必要です。 裸種子より水分を多く必要とします。

ペレット種子

花芽分化と抽苔

[緑植物感応型(グリーンプラントバーナリゼーション)]

ニンジンはある程度の大きさに達した株が、10℃以下の低温に一定期間あうことによって花芽を分化し(茎の先端にある成長点が発育して、将来花芽となる新しい組織を作ること)、その後の高温長日で抽苔します。 低温感応性は品種によって異なり、一般的に東洋系は敏感で欧州系は鈍感です。 東洋系の「金時」は最も抽苔しやすく、西洋ニンジンのうちでも、暖地に順化した「黒田五寸」などは比較的抽苔しやすい品種です。

[脱春化作用]

高温で脱春化され、その下限温度は20℃程度で高温ほどその効果は高くなります。 そのため、日中の脱春化が期待できない春まきの露地栽培では、トンネル栽培より抽苔株が多くなります。

播種

[発芽が大事]

ニンジンの栽培で失敗しやすい1番の原因に発芽不良があげられます。 順調に発芽すれば、栽培の半分は成功したといわれています。 早く一斉に発芽させることが上作の基本です。 発芽するまで土壌が乾燥すると、極端に発芽率が低下します。 ニンジンのタネは発芽する際に必要な水分を吸収する力が弱いため、晴天が続き土壌水分が少ない時は、潅水が必要になります。 特に夏まきでは、播種してから発芽までに8〜10日ほどかかるので、この間の乾燥を避けるようにしましょう。

[播種の目安]


その土地の平均気温が18℃〜20℃になる時期よりさかのぼって、50日前ころ。関東では関西より早まきとなる。
早まき、遅まき→肥大悪く、色淡い
(理由)→播種後50日ころで本葉7枚程度となりニンジンは肥大期となる。肥大適温は18〜21℃であるため。

露地では、その土地の平均気温が10℃になったころ
(理由)→ニンジンの発芽温度は8℃以上で、生育を揃えるには、2週間以内に発芽させることが大切であるため。

[条まき]

5〜10mmの一定の深さのまき溝を切って、タネを1〜2cm間隔くらいにまき、軽い土では、1p程度に覆土をし鎮圧します。 重めの土では、種子が隠れる程度に覆土します。 その後、乾燥防止のため、モミガラ、ワラなどを上にふるか、「芽出たいシート」や寒冷紗などをかけるようにしましょう。

[春まき(トンネルを利用)]

穴あきポリマルチを利用するとよい。
穴径60mm程度。(株間12〜15cm)1穴に3〜4粒播種します。

■施肥量
1回の栽培に必要な施肥量(全体)は、目安として10u当たり成分量で秋まきチッソ100〜150g、リン酸150〜200g、カリ100〜150gを施用します。 元肥を7割、追肥を3割程度として、追肥は最終間引き後に1回施用します。 生育後半まで肥料分が多く残ると、裂根が多くなるので必要以上に多く施肥しないよう注意が必要です。 ニンジンは土づくりが重要なので、うねを立てる前、完熟堆肥とともに「バイオダルマ」などの菌体肥料を施用すると品質が向上します。

生育

[夏まきニンジンの生育]
■生育適温
18〜21℃

間引き

発芽後50日間(本葉7枚程度)くらいで、根長がほぼ決定される。 この時期は特に乾燥と肥料不足に注意して、適時間引きを行い、スムーズに生育させることが大切。 本葉4〜6枚ごろ→太り始める前、一生の内で一番重要な時期。

間引き(適確に行う→スムーズな生育→栽培のポイント)

時期:@本葉2〜3枚ごろ A本葉5〜6枚までに1本立ちとする

株間:@2〜3cm A6〜10cm(株間広いほど早く太る)

■間引き菜

ニンジンの葉にはビタミンやカルシウムが豊富です。間引きした葉は若くてやわらかいので捨てずに利用するとよいでしょう。 油炒めやおひたしなどに料理しましょう。

追肥と土寄せ

@追肥(無〜1回)
最終間引き後(本葉5〜6枚)、速効性肥料を10u当たりチッソ成分で30〜40g施用
A中耕・土寄せ
中耕
雑草防除、土壌の通気性、透水性(本葉7枚以降は中耕しない)
土寄せ
根の主部の緑変(青首)を防ぐ

間引きした後で、速効性肥料を施しうねの表面を軽く中耕します。
同時に株元へ土寄せして青首にならないようにします。

収穫

■着色適温
16〜20℃(13℃以下では着色阻害)
■肥大適温
18〜21℃(3℃以下では肥大しない)

間引き以降は特に難しい栽培管理はありませんが、ニンジンは収穫までの生育後半にはあまり水分や肥料を必要としません。 ニンジンが十分に太ってからの余分な追肥は厳禁です。 また、雨の多い年には過湿になりすぎて根割れを生じたりしますので、畑の排水には十分注意し、適湿を保つように心掛けます。

ニンジンの生理障害

原因
芯部(木部)の肥大に肉部(師部)の肥大が追いつかないために生じます。 根の初期生育が不良で組織が老化した場合、収穫前の急激に肥大する環境下で発生します。

対策
保水と排水のよい畑を選び、有機質を多く施して、土壌の物理性を改善します。 追肥は早めに行い、生育後半の急激な肥効は避けます。

原因
主根の直下に土塊や多量の未熟有機質、化学肥料が残っていると発生します。 ネコブセンチュウ、ネグサレセンチュウが主根を侵したり、ガス害なども原因となります。

対策
土づくりと深耕。堆肥などの有機質の施用は、播種の1〜2カ月前に行い、よく分解しておきます。 土づくりに緑肥作物の輪作をするとよいでしょう。

原因
抽根(根の部分が地上部に出ること)して、肩部に光が当たると葉緑素が生成されて緑色になります。

対策
根部の肥大が活発になる最終間引きの時期に、土寄せを行います。

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