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野菜栽培マニュアル

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ジャガイモ

■菜園向けジャガイモ栽培カレンダー

栽培カレンダー

生育と花

■生育開始温度(地温)
10℃(平均気温が10℃の時期が植え付け適期)
■萌芽期の生育適温
15〜20℃
■茎葉の生育適温
15〜20℃(高温では茎が多くなり徒長する)
■イモの肥大適温
15〜18℃(昼夜の気温差が大きいほうが収量多い)

生育全般に冷涼な気候を好みます。植え付け時の地温が比較的高く、生育期間中の平均気温が15〜20℃で、生育前半の日長が多く、しかも開花期以降の気温差が大きくて雨量の少ない地域での栽培に適します。

[ジャガイモの花]

ナス科であるため、ナスに似た花が咲きます。開花数は生育期間の長さと温度の影響を受け、生育中の高温は開花数が減少し、早生種よりも晩生種において多い傾向があります。長日条件下では花数も果実数も多くなり、日長時間は16〜18時間、強光下で花数が増します。北海道の夏期は冷涼長日の条件をほぼみたすので、ジャガイモの畑が花に覆われる光景を見ることができます。

ジャガイモの出芽

ジャガイモの花
(ベニアカリ)

種イモとイモ切り

一般的に種イモは大きいほど初期生育がよく、茎数が増え、イモ数が多くなります。種イモの重量が60g以上になるとイモの収穫量に差異はなく、1片の大きさは40〜60gで十分です。Sサイズ(40〜60g)は全粒で使用します。秋作ではSサイズを切らずに植えた方が腐敗が少なくなります。
イモの頂部(ストロンの反対側)の芽は優勢(頂芽優勢)であり、目(目の中に数芽ある)の数は頂部に多く、基部(ストロンの付け根)に少ないので、各切片に頂部の優勢な目が必ず入るように、頂部から基部にかけて切ります。切り分けたイモは2〜3日風通しのよい日陰で乾かすか、草木灰などを切り口につけて、植え付け後の腐敗を予防します。

[浴光催芽(育芽処理)]

種イモに6〜20℃で、20〜30日程度日光あるいは散光を当てて、3〜5o程度のかたくて丈夫な芽を育てる作業です。ハウス内や戸外に新聞紙や段ボール、シートなどを広げて行います。芽が整一に催芽され、濃緑で強剛な芽になるように行います。催芽むらをなくすため、処理期間中は2、3回種イモの位置を変えます。処理中は昼間の温度を20℃以上に上げないように注意しましょう。

  • ●芽の出方が悪い種イモを選別できる。
  • ●植え付け後の生育が促進される。萌芽が7〜10日早まり、収量の増加とイモの肥大が期待できる。
  • ●茎は太く丈夫に生育し、徒長が少なくなる。

種イモの植え付け

[植え付けのポイント]

冷涼な気候を好むため、春作では晩霜害の恐れのない限り、できるだけ早く植えます。浅植えの方が地温上昇の影響が大きく出芽も早いですが、乾燥畑では逆効果となります。一方深すぎると出芽の遅延を招きます。覆土は5〜6pで、覆土後のうねは少し盛り上がる程度に、マルチ栽培では8〜10p(土寄せができないため、厚く覆土して高うねにする)。約30pまでの幅にイモの着生分布を示すので25p以下の密植にすると、多収になっても小粒化して歩どまりが下がり、種イモの使用量も増えます。また、35p以上の粗植では極大粒イモ、変形イモ、中心空洞、でん粉価の低下などが多くなります。

種イモが腐るのを防ぐため切り口を下にする。

■施肥量
1回の栽培に必要な施肥量(全体)は、10u当たり成分量でチッソ70〜100g、リン酸100〜120g、カリ90〜120gを目安にします。完熟堆肥20kgが施用できれば、化成肥料は約20%減らすことができます。アルカリ性土壌の場合、イモの表面にかさぶた状の病斑ができる「そうか病」にかかりやすくなるので、石灰を多く施用しないようにしましょう。

生育

[春作ジャガイモ]
■萌芽期の生育適温
15〜20℃
■生育適温
15〜20℃(冷涼な気候を好む)

[ジャガイモの生育日数]

芽かきと土寄せ

[芽かき]

植え付け後、芽が出てきたら「芽かき」を行います。大きめの芽を2〜3本程度残して、ほかの芽は根元からかき取ります。種イモの上に茎が伸び、その少し上からストロン(ほふく枝)が出て、その先に新しいイモができます。したがって土寄せをしないとイモが大きくならないばかりか、直接日光に当たってしまい緑色のイモになってしまいます。芽かき時に5cm程度、地上部が30cmぐらいの大きさになった時に、さらに10〜15cm程度の土寄せを行なうようにしましょう。

[中耕]

植え付けから培土を行う間に雑草が生えてくるので、除草を兼ねて中耕を行います。中耕は早めがよく、土壌を膨軟にし、土壌水分を適度に保ち、空気流通をよくして、肥料の分解を助け、根の発達の促進などの効果があります。

[土寄せ(培土)]

芽かき後の土寄せは出芽後20日ぐらいで、肥大が開始し始めた株が大半になった時期に行います。この時期を逸するとストロン(ほふく枝)を傷つけ、茎葉を損傷して軟腐病や疫病を伝播させる恐れがあります。土寄せすると根圏が拡大し、雑草を減らし、倒伏を少なくします。また、内部の生理障害、緑化イモ、収穫作業時の傷を減らし、歩どまりを高めます。

うねの形は断面がカマボコ型になるよう土寄せを行います。山と谷の差が大きいほどイモの着生がよく、少なくともイモができる10cm以上の高さまで土をかぶせ、山と谷の差が20〜25cm程度になるようにします。

収穫と貯蔵

[収穫]

茎葉が半分以上枯れたころ、イモの表面が固くなってから土壌が乾燥している晴天の日に収穫します。土壌水分が多いと腐りやすいので注意します。掘り起こし後は、半日程度天日で乾かしてから拾い集めます。イモの表面を乾かすことは、付着している菌を殺菌、防除するためにも有効です。

[貯蔵法]

風通しのよい日陰(暗所)で、5℃前後で貯蔵すると萌芽が少なくなります。イモを重ねて保存したり、袋などに入れて密封状態にすると酸欠状態になり、腐敗する原因となるので注意しましょう。

ジャガイモの生理障害と病害虫

[生理障害]

中心空洞

急速に肥大するときに、中心部が引き裂かれて発生します。
2Lサイズ以上の大粒になるほど発生率が高くなります。
高水分、多肥、高いpH、広い株間、欠株などが原因となります。

黒色心腐れ

イモの中心部が呼吸困難になり壊死したもので、過度な土寄せ、深植え、多湿・高温などが原因で、貯蔵中の換気不足でも発生します。

褐色心腐れ

高温条件で水分不定になると多発し、多肥でも発生が多くなります。
乾燥した時に潅水を行うと発生を軽減できます。

[病害虫]

疫病
葉には油がしみこんだような褐色の病斑ができ、葉の裏には白い霜状のかび(菌糸)が見られます。イモには表皮の一部に褐色〜暗褐色のやや凹んだ不規則な斑紋を生じます。低温で多湿な時や、多肥で軟弱に育った場合も発生が多くなります。

そうか病
イモの表面に赤褐色のはれもの状の斑点が生じ、拡大とともに淡褐色〜暗褐色に変じて周縁が盛り上がります。中央部は凹陥して、あばた状で円形の乾いたコルク質状の病斑となります。高温乾燥や乾燥しやすい土質、土壌pHが5.6以上だと発生しやすくなります。

ニジュウヤホシテントウムシ(テントウムシダマシ)
背中の星の数が多いテントウムシで、幼虫も成虫も葉をひどく食害し、放置するとほとんど葉がなくなります。早めに殺虫剤で防除します。

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