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シュンギク

菜園向けシュンギク栽培カレンダー

栽培カレンダー

品種と抽苔

[シュンギクの品種]

大葉種(お多福葉)
葉は大型で、葉緑の欠刻(切れ込み)が浅くて少ないタイプ。中葉種より抽苔が早い傾向。葉肉が厚く、葉色は鮮緑です。中葉種と比べて葉がやわらかく、苦みが少なくなります。鍋物だけではなく、レタスなどと組み合わせるとサラダとして生でもおいしく食べられます。関西から九州にかけて栽培が多くなります。

大葉種

中葉種
現在、最も広く栽培されているもので、大きく分けて二つのタイプがあります。側枝の分枝が多く、根元から株が張る株張り型の品種と節間が伸長しやすく主茎・分枝を継続的に摘みとっていく摘みとり型の品種があります。

中葉種(摘みとり種)

中葉種(株張り種)

小葉種
葉は小型で欠刻が深く、葉肉が薄くなります。生育はじっくりとしており、収量が低く、栽培は減少しています。

[シュンギクの花芽分化と抽苔]

品種によって差がありますが、長日条件で花芽分化が促進されます。また、本葉4枚ころからの低温でも分化が起こります。その後は高温・長日条件で抽苔・開花が助長されます。そのため低温・長日条件の早春まき栽培は、すぐに枝先に蕾ができてトウ立ちしてきます。トウ立ちしても食べられますが、茎が硬くなって苦くなります。

播種

■発芽適温
15〜20℃(比較的低めの温度を好み、35℃以上の高温、10℃以下の低温では発芽が著しく悪くなります)
[発芽のポイント]

乾燥しないよう、たっぷり潅水してからまくことが重要です。シュンギクの種子は硬く吸水しにくい性質をもっています。一昼夜水に浸すと水がまっ茶色になり、発芽抑制物質が除去され発芽がよくなります。種子の発芽はやや好光性であるので、播種後の覆土は薄めとします。乾燥防止に稲ワラやべたがけ資材などを被覆するとよいでしょう。また、高温期には地温の上昇を防ぎます。

シュンギクの種子

シュンギクの発芽


10℃ 15℃ 20℃ 25℃ 30℃ 35℃ 40℃
発芽率(%) 18 42 43 26 24 15 0
平均発芽日数 7.3 5.0 3.4 3.3 3.4 3.5

育苗 ※摘みとり種は、育苗して定植すると栽培管理しやすいでしょう。

[発芽をスムーズに]

シュンギクは他の野菜に比べて発芽率が低く、春まきはべたがけ資材を被覆して保温し、夏まきは遮光・遮熱資材を利用して高温と乾燥を防ぎ発芽を向上させるようにしましょう。また、播種後に強い雨にたたかれて表土が固くなると、酸素不足や光不足で、発芽率が非常に悪くなるので注意しましょう。

[条まき]

1cm間隔でタネをまき、種子が隠れるぐらいに薄く覆土し、軽く鎮圧するとよいでしょう。本葉1〜2枚のころ3cm間隔ぐらいに間引きし、本葉3〜4枚のころ最終間引きを行い株間を10〜15cm程度にします。
摘みとり種は点まきで3〜4粒を播種してもよいでしょう。

[箱育苗]

育苗箱に条まきして2〜3cmぐらいの間隔で間引きする。

[地床育苗]

苗床に条間10〜15cmに条まきし、本葉2〜3枚時までに3cm間隔で間引きをします。本葉4〜5枚のころ、定植します。

[定植]

本葉4〜5枚で定植

[セルトレイ育苗]

そのまま本葉4枚で定植してもよい。

[害虫を防ぐ]

播種直後に、害虫の被害を防止するために防虫ネットをトンネル全体に覆うとよいでしょう。

防虫ネットでの栽培

■施肥量
摘みとり種
元肥は10u当たり成分でチッソ150〜200g、リン酸150g、カリ150gが目安です。追肥は、側枝の発生や伸長を良好にするために、生育状況に合わせて適宜行っていきます。
株張り種
基本的には追肥は行わず、元肥主体で10u当たり成分でチッソ200g、リン酸150〜200g、カリ150〜200gを目安に施肥します。シュンギクは土壌が酸性になると生育が悪くなるので、苦土石灰を10u当たり1kg程度施用するようにしましょう。

生育

■生育適温
15〜20℃(冷涼な気候を好みます。25℃以上になると生育が悪くなります。本葉が展開していれば低温に対して強く、0℃以下になった場合でも枯死せず、比較的容易に越冬します)
[摘みとり種]

側枝の伸びをよくするために、最初の収穫後に株間に追肥、潅水します。追肥は10u当たりチッソ成分で30〜40gを目安にします。伸びている側枝を一度にすべて摘むと根が傷んで生育が衰えたり、伸びる側枝の数が多くなりすぎたりするので、常に2本くらいは摘まずに残しておきます。

[株張り種]

株張り種は生育期間が比較的短いので、一斉に発芽させることが大事です。
葉ぞろいのよい株張り種は適温下での生育日数は35日前後となりますが、収穫適期は3〜4日と短いので、計画的に播種します。冬季の栽培ではトンネルやベタがけで不織布の被覆資材を使用して寒害を防ぎ、生育促進を図ります。

間引き

株張り種は最終株間10cm程度、摘みとり種は最終株間15〜20cm程度に間引きします。丸葉系大葉シュンギク「菊之助」では、株間4〜5cm程度で密植し、草丈10〜12cm程度で収穫するベビーリーフ栽培もおすすめです。苦味が少なく、葉も肉厚なのでサラダやしゃぶしゃぶなどに利用できます。

間引き後の苗

1回目 本葉1〜2枚のとき
株間3cm程度に間引きする

2回目 本葉3〜4枚のとき
最終株間は株張り種で10cm程度
摘みとり種で15〜20cm程度

■芯腐れ症
芯葉から展開する2〜3葉にかけて、葉縁が茶褐色や黒色になる生理障害で、芯葉でのカルシウム不足が原因となります。カルシウムが高温・乾燥条件により蒸散量の多くなる外葉・中位葉に、主に水と一緒に移行するため、芯葉への移行が不足して起こります。また、土壌の肥料濃度が高まると発生しやすくなります。カルシウムエキスなどを定期的に葉面散布すると発生が予防できます。

病害

[べと病]

不整形の淡黄色の病斑を生じ、葉裏に白いカビが発生し、病気が進行すると病斑部分が褐色に枯れ上がります。10〜20℃の冷涼な気象条件で雨や夜露が多い時に多発します。密植を避け、排水・通風などの条件をよくして発生を防ぎ、予防散布もしくは発病した場合は初期より殺菌剤を定期的に散布しましょう。

[炭そ病]

糸状菌(カビ)の一種。高温多湿条件で、春・秋に発生しやすくなります。葉・葉柄・茎に発生し、はじめは淡褐色の小さな病斑ですが、どんどん病斑が大きくなると暗褐色の不整円形になります。空気伝染するので発生したらただちに農薬散布をし、早期防除に努めます。

[マメハモグリバエ]

ハエの仲間で幼虫・成虫が食害します。幼虫は葉に潜り込んで食べ進み、幅0.5〜2ミリの白い筋を描きます。また成虫が産卵や水分補給のために葉に産卵管を差し込んで、にじみ出た汁をなめますが、この傷は直径1ミリ以下の小さな円い白点になります。防虫ネットなどを利用するとよいでしょう。

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