2016/07/20掲載

[生理生態] ホウレンソウをよく知る

時期ごとの栽培管理を理解していただくために、最初にホウレンソウの生理生態を簡単にご説明します。

生育適温

ホウレンソウは中央アジア原産で冷涼な気候を好み、生育適温は15〜20℃です。耐寒性は非常に強く、-10℃でも耐えることができる一方、暑さには弱いことが特徴です。

発芽特性

発芽適温は15〜20℃で、高温では発芽率が低下します。
種子を覆っている皮は果被と呼ばれ、果肉に相当します。果被が種子内部への吸水を妨げるため、吸水に時間がかかり、コマツナやミズナよりも発芽に時間がかかります。

開花特性

ホウレンソウは低温で花芽形成するコマツナなどのアブラナ科と異なり、長日条件で抽苔開花します。従って、日長が長くなっていく春の栽培では抽苔に注意が必要です。

その他の特性

ホウレンソウの生育は栽植密度に大きく影響されます(図)。総じて、密植すると立性になり、生育は促進され、疎植になると開性になり、生育はじっくりになります。そのため、栽培時期に合わせて、株間を調整することが大切です。
また、乾燥条件にはよく耐えますが、過湿には弱く、大雨が降りやすい秋の栽培では注意が必要です。

図:栽植密度、密植と疎植

密植

株間を狭く密植にすると、草姿は開かず立性に生育し、収穫作業がしやすくなる。

疎植

株間を広げ疎植にすると、1 株のボリュームは増すが、草姿が開いて収穫作業はしにくくなる。

point1_image3 栽培初期の間引きで栽植密度を調整すると
収穫時の草姿が変わる。