社会への貢献
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- 「グリーン・ファーム・リハビリデーション®」2017〜2018年の軌跡
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医・食・農一体の取り組み
〜京都大原記念病院との連携が生んだグリーン・ファーム・リハビリデーション®〜
2017年度の栽培日記 農園管理のリーダー岡山渉氏(京都大原記念病院)の記録をベースに紹介いたします。
4月 〜まずは菜園周りの景観に花を植える〜
- 農園では隣接する散策路沿いに景観植栽として、春夏秋冬と四季の季節花を植えています。春から夏に咲く花としてマリーゴールドやサルビアを定植、さらに「F1サンリッチ」ひまわりのタネがまかれました。サルビアは10月ごろまで見事な赤色で咲き続けてくれ、ひまわりは元気な花姿から夏の歩行路を歩かれている方々の目を大いに楽しませてくれました。
5月 〜支柱の向きや植え付け位置を工夫、マメ類はリハビリ農園に向く〜
- 春の定植に向けて畝の準備。タキイと検討した「農作業リハビリテーション(以降農作業リハビリ)に特化した資材」として、屈んでの作業が出来ない方にも畑に入って作業いただくために、ビニールパイプを利用したタネまき器を作成しました。
- 17日、夏野菜の定植およびタネまき。リハビリ患者数名が参加。タキイ、病院スタッフ合同で定植作業を行いました。京都大原記念病院関係者の見学者も増え、特にスタッフ以外の方も参加を希望するなど、病院内の関心が一気に高まったことを実感できました。昨年から菜園の整備が進んだことが、病院関係者の関心を高めたのだと思われます。
- 新たな工夫としてトマトとキュウリの畝に、通常とは違った支柱の立て方を施しました。
1)トマト:通路に近い位置に苗植えと支柱を立てる。
2)キュウリ:支柱を通路側に向けて斜めに立てることで歩行路から収穫しやすくする。
- キュウリは車イスに乗ったままでも収穫作業を行え、斜めに育てたキュウリ畝と通路を挟んだインゲンマメの畝は、歩行路の緑のトンネルとなり、夏の日差し除けとして患者にも好評でした。これらの結果次年度(2018年)からトンネル支柱を購入し本格的なグリーントンネルに仕立てることと決まりました。
- 転倒防止のために視認性が高い白のアグリシートを提供し、一部通路を白い歩行路としました。日陰では土の色と区別がつきにくい黒のシートよりリハビリ菜園向きといえます。
- ※2018年秋以降は「緑内障」患者にとって白のシートの反射はよくないと木村医師の判断から黒のアグリシートで統一しています
- 前年秋に播種したエンドウマメ(仏国大莢・グルメ)ソラマメ(仁徳一寸)が収穫適期となり、2017年農作業リハビリはここからスタートしました。マメ類の生長は良好で毎日収穫できましたが、気候のいい5月は農作業リハビリへ出てくる患者が増え、全ての患者で実施できなかった点で課題を残しました。
6月 〜地元特産赤シソも農作業リハビリで活躍〜
- 夏野菜は日ごとに生長。収穫はなくとも花類への水やりや除草作業を行う患者も見受けられました。
- 地元赤シソ農家から間引きで余った苗を提供いただき定植。大原産の赤シソは有名で、当農園でも毎年育てられています。赤シソの定植・水やり・除草・収穫も患者のリハビリに活用。特に収穫作業は指先で摘まんでの作業となるため、高次脳障害から回復中の患者のリハビリに適しているようです。収穫物はゼリーとして、病院を含む老健などグループ3施設で食事のデザートとして提供されています。
- 15日ごろよりトマト・キュウリ・ピーマンの脇芽取りを、試しに患者に行ってもらったところ、やはり生長点を摘芯してしまうなど問題が生じたため、脇芽取り作業は農作業リハビリのメニューには難しいと判断できました。