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病害情報

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チューリップ 褐色腐敗病・黒腐病(かっしょくふはいびょう・くろぐされびょう)

データ作成年月日:2007/09/30
文章執筆:守川俊幸(富山県農業技術センター)写真提供:守川俊幸(TM)

  • 写真1(TM)
    上段は黒腐病、下段は褐色腐敗病

症状(診断)

 収穫した球根に発生し、鱗片上に黒褐色病斑が形成される。7月下旬から発病が顕著となり、このころになると病斑部は陥没して、外皮上から手で病斑の存在が確認できる。両病害とも球根のどの部位にも感染するが、傷がつきやすい裂皮した部分や外側球(オフセット)からの感染が多い。弱い品種では、ほとんどの球根が侵されて、壊滅的な被害を被ることがある。両病害の初期病斑は、互いに類似しているため見分けるのは難しいが、病斑の拡大が進行する7月下旬以降は、以下の点で病徴に差が認められる。すなわち、黒腐病の病斑周縁部が主に鱗片の表層部を進行するのに対し、褐色腐敗病は鱗片の中層部を進行する点で異なる。 

発生のしくみ

 病原細菌は、黒腐病がブルクホルデリア アンドロポゴニス(Burkhorderia andropogonis)、褐色腐敗病がブルクホルデリア グラディオリ(Burkhorderia gladioli)であり、両病害とも球根伝染し、収穫した球根を水洗いした際やその後表面が乾くまでの間に、主に傷口から感染する。傷口が侵入門戸であることから、球根を保護する外皮がやわらかい(傷がつきやすい)品種で発生が多く、外皮がかたい品種であっても裂皮すると発生しやすい。

防ぎ方

 必要がなければ球根の水洗いを行わないことが、最も効果的である。また、球根伝染することから、発病球根を種球根として用いないことが防除の基本となる。傷が重要な感染門戸であることから、収穫調整時は傷をつけないように注意する。水洗い後の球根は速やかに乾かし、涼しい所で貯蔵する。

ご注意

文中に記述のある農薬の登録内容は、すべて上記データ製作日時点のものです。ご使用に際しては、必ず登録の有無と使用方法(使用時期、使用回数、希釈倍数、処理量など)をご確認ください。

農薬登録のない薬剤を使用したり、登録条件以外の使用をすることは、農薬取締法で禁止されておりますので、生産物の商品性や産地としての信用を著しく損なう恐れがあります。また、生産者の健康被害に対する配慮も肝要です。

農薬の適用の対象や使用基準など、登録の内容は時期や地域によって異なります。間違った使用をされますと、効果がないばかりか作物に薬害を生じる恐れもあります。

本文の記述には万全を期しておりますが、使用農薬の選択および使用方法につきましては、お近くの種苗専門店や農協、公共の指導機関などにご確認の上、使用される農薬の注意書きをよく読んでお使いくださるようお願い申し上げます。

病害虫の診断は、判断が非常に難しい場合があります。詳しくは、農協または公共の指導機関にご相談ください。