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病害情報

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文章執筆:守川俊幸(富山県農業技術センター) 写真提供:守川俊幸(TM)



 初めは根の先端が侵される場合が多く、その後根の各部が淡黄色に腐敗する。生育初期には一見健全に見えても、生育にともなって健全株との間に草丈の差が生じ、初めて発病に気づくことも多い。発病の程度は、感染時期や生育環境によって異なり、葉が展開する前に生育を停止して腐敗枯死するものから、外見正常に生育するものまでさまざまである。一般に露地よりも促成栽培で症状は激しく、軽症株であっても草丈は低くなり、草姿が乱れて商品性を低下させる。発病株は根が腐敗しているため、容易に引き抜くことができる。通常は根のみ侵されるが、P. ultimum が関与する場合は、球根全体が軟化腐敗することがある。




 病原菌はピシウム ウルティマム(Pythium ultimum)、ピシウム イレグラレ(P. irregulare)、ピシウム スピノサム(P. spinosum)などの糸状菌(かび)で、患部に形成された卵胞子が土壌中に残り、翌年の伝染源になる。また、病原菌はいずれも多犯性であることから、チューリップ以外の作物でも、増殖して土壌中の伝染源密度は高まる。球根を植え付けると、卵胞子が直接発芽するか遊走子を形成して根に感染する。土壌水分が高いと遊走子は広範囲に遊泳し、菌糸は隣接する根から根へと寄生範囲を広げる。なお、3種の病原菌のうちP. ultimumの病原性が最も強く被害が大きい。土壌の多湿が発生を助長する。





 発生してからでは防除が難しいことから、発生そのものを防ぐ必要がある。施設ではくん蒸剤による土壌消毒を行う。多湿条件が発病を助長することから、圃場の排水に努める。他の作物も含めて、前作で発生が認められた圃場での作付けは避ける。箱栽培する場合は、無病の床土を用い、遮根シートの上に並べて、直接地面と接しないように工夫する。


データ作成年月日:2007/09/30

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写真1(TM)


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