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2009.06.10
大玉で収量が多く、高温期でも完熟出荷できるトマト『桃太郎グランデ』を新発売
タキイ種苗(株)は、2009年の新品種として抑制栽培※1用の大玉トマト『桃太郎グランデ』を発売します。

トマトの市場価格が1年中で最も高いのは、10〜11月出荷であり、生産者が高値を狙って収穫のピ−クを持っていくには、抑制栽培(5〜6月まき)は最適な作型※2といえます。しかし、トマトはもともと比較的冷涼な気候を好むため、定植した後、真夏の高温期から始まる抑制栽培は大変厳しい作型になります。また、葉かび病※3や青枯病※4などのトマトの重要病害が発生しやすい環境条件でもあります。さらに近年は温暖化の影響もあり、高温でうまく受粉しないことで発生する着果不良や、高温期から低温期に多発する果実の割れ(裂果)が大きな問題となっていました。

今回、新発売する『桃太郎グランデ』の「グランデ」はスペイン語で「大きい」という意味です。この名の通り、7月〜8月中旬定植の抑制栽培において、全ての花房で大玉がたくさん収穫でき、高温下での着果性に優れ、秋口にかけて多発する裂果の発生が少ない抑制栽培専用の品種です。また、トマトの重要病害である葉かび病に安定した耐病性(Cf9)を持っており、被害の大きい場所でも安定生産が可能になります。その他に、青枯病や根腐萎ちょう病※5など、抑制栽培で問題となるさまざまな病害に対して耐病性があり、減農薬栽培で安心安全なトマト作りにも貢献することができます。食味に関しては『桃太郎』シリーズの最大の特長である、味のよさを兼ね備えており、糖度と酸味のバランスが取れています。
『桃太郎グランデ』
品種導入が進んでいる千葉県のJA山武郡市では、3年前より品種の収量比較試験を行った結果、『桃太郎グランデ』が2年連続でNo.1の収量性を示したため、昨年から本格的に導入し、予想通りの成績を挙げました。その他、静岡・愛知・熊本県の抑制産地においても同様な好結果が出てきており、本年度も栽培面積の拡大が予定されています。今後、トマトの主力品種である『桃太郎』シリーズは、『桃太郎グランデ』に引き続き、葉かび抵抗性(Cf9)が付加している品種を発表していく予定です。
『桃太郎グランデ』の主な特長
果実は桃太郎系統の中でも1、2を争う硬さで、高温期の出荷でも市場評価が高く、抑制栽培での完熟出荷に適しています。また、空洞果の発生も比較的少ない品種です。
栽培はじめから果実の肥大性に優れ、平均果重は220g程度になります。果形は豊円で、高温期に問題となる裂果の発生も少ないため、秀品出荷率が高くなります。
5〜6月まきの抑制栽培の交配期である7〜9月の高温条件下でも着果性が安定しています。スタミナがあるため、栽培後半まで大玉収穫が期待できます。
葉かび病に安定した耐病性(Cf9)を持ち、青枯病にも『桃太郎ファイト』と同程度の耐病性を持ちます。
<作型表>


<価格>
品種名 量目 希望小売価格(税込み)
桃太郎グランデ 1000粒 22,050円


<注釈説明>
※1 抑制栽培…夏の終わりころから初冬にかけての時期に栽培すること。加温する場合 収穫時期が冬にわたる。
※2 作型…作物を作る時期や作り方を分類したもの。例えば、促成栽培、抑制栽培、冬どりなど。
※3 葉かび病…ハウスや温室栽培のトマトに多発する重要病害で、葉の裏面に灰白色粉状のかびを生じ次第に灰褐色のかびとなる。20℃以上で多湿のときに発生しやすく、近年多くの産地で多発して問題になっている。これまでの品種では抵抗性因子(Cf4)で、それを犯すレースが出現しているため現在は抵抗性因子(Cf9)をもつ品種が発表されている。
※4 青枯病…ナス科作物の重要病害で、土壌伝染性の細菌病。多くの作物を犯す多犯性の病原菌。導管部が侵されて先端からしおれ、ついには枯死する。病勢の進行が速く、茎葉は黄化することなく緑色を保って萎れるところから、「青枯病」の病名がついた。
※5 根腐萎ちょう病…土壌伝染性の病原菌で、糸状菌(かび)の一種でもあるフザリウム菌によって発病る。根は黒褐色の斑点ができて腐敗し、根や茎の維管束も黒褐色する。地上部は軽いしおれから段々全身に回り、最後には黄褐変して枯死にいたる。