インフォメーション

2009.07.06
葉かび病の耐病性を備え、さらに進化した桃太郎トマト

『CF桃太郎』シリーズ3品種の『CF桃太郎はるか』『CF桃太郎ヨーク』『CF桃太郎ファイト』を新発売
タキイ種苗は、2009年の新品種として葉かび病※1に強い大玉トマト『CF桃太郎』シリーズ3品種、『CF桃太郎はるか』『CF桃太郎ヨーク』『CF桃太郎ファイト』を発売します。

トマトに発生する葉かび病は、生産地で多発しており生産者を苦しめている重要病害の一つです。この病気は、耐病性を打ち破る新しいレース※2が出やすい病原菌で、従来の抵抗性品種※3が侵されることが原因となっています。これまでにタイプの異なるさまざまな耐病性品種が育成され、近年まではCf4型が主力で使われていました。しかし2000年ごろよりCf4型品種を打破するレースが広まってきたことから、Cf9型耐病性の品種をタキイ種苗では開発してきました。

今回、新発売する大玉トマト『CF桃太郎』シリーズ3品種、『CF桃太郎はるか』『CF桃太郎ヨーク』『CF桃太郎ファイト』は、すでに産地へ導入されている主力品種に葉かび抵抗性(Cf9)をもたせました。従来、新品種の導入には試験栽培を含め2〜3年の期間が必要で、肥培管理※4などその品種に応じた対応をなければなりませんでした。この『CF桃太郎』シリーズを導入することにより、生産者は今まで栽培を行っている品種に葉かび抵抗性があるもの使うことで、新品種を導入するリスクを軽減することができます。また、桃太郎がもつトマトのおいしさと栽培のしやすさ、何よりも消費者におけるネームバリューが魅力の一つになっています。
『CF桃太郎はるか』 『CF桃太郎ヨーク』 『CF桃太郎ファイト』
葉かび病は温暖化の影響とされる梅雨明け後の異常な高温や秋口の気温の上昇で、草勢の維持が困難になり発生を助長していると考えられます。発病初期では農薬散布による防除効果は高いものの、ハウス内全体に広がると、完全に抑えることは難しくなり被害が大きくなります。生産地では、葉かび病抵抗性品種へ切り替えることで安定生産を図っており栽培しやすく、病気に強い品種が求められていました。

タキイ種苗では、今後も葉かび病などに耐病性をもつトマトを次々と出す予定です。生産者が農薬の使用量を極力少なくして安定して栽培でき、消費者が安心して食べてもらえるよう品種の開発を進めていきます。
『CF桃太郎はるか』『CF桃太郎ヨーク』『CF桃太郎ファイト』の主な特長
今回新発売3品種は、いずれも主力品種に葉かび病耐病性因子のCf9を付与した品種です。
◆「CF桃太郎はるか」
低温・少日照下でも果実がよく肥大し、長期の栽培にも適しています。
果実は豊円に近く、肥大力にすぐれ220g程度の大玉になります。従来の「桃太郎はるか」と同じ栽培管理をおこないます。
<作型表>
◆「CF桃太郎ヨーク」
節間(葉と葉の間の茎の長さ)が短く、背丈が低く栽培管理が容易です。
果実は肥大力にすぐれており、大玉収穫(220〜230g)が可能になります。
「桃太郎ヨーク」に比べて栽培期間を通して草勢はおとなしいので、早めのタイミングで追肥を心がけ、水やりの量も1割増を目安とします。
<作型表>
◆「CF桃太郎ファイト」
果実の形がきれいでスムーズ、果重は210g程度の大玉で秀品率にすぐれています。
糖度が高く、とても食味のよい果実になります。果色は濃桃色で、色ムラの発生がすくないのが特長です。
根張りがよく、栽培後半までスタミナが持続します。水やりの量は「桃太郎ファイト」より1割多目にやり、追肥は早めのタイミングでおこないます。
<作型表>


<価格>
品種名 量目 希望小売価格(税込み)
CF桃太郎はるか
CF桃太郎ヨーク
CF桃太郎ファイト
1000粒 22,050円


<注釈説明>
※1 葉かび病…ウスや温室栽培のトマトに多発する重要病害で、葉の裏面に灰白色粉状のかびを生じ次第に灰褐色のかびとなる。20℃以上で多湿のときに発生しやすく、近年多くの産地で多発して問題になっている。これまでの品種では抵抗性因子(Cf4)で、それを侵すレースが出現しているため現在は抵抗性因子(Cf9)をもつ品種が発表されている。
葉かび病の症状
※2 レース…病原菌そのもの形態に差異はないが、これまでと異なる菌系統が出現すること。例えば今まである病原菌に抵抗性をもち、病気にかからなかった品種が、新しく発生した菌系統(レース)に侵され発病してしまうこと。
※3 抵抗性品種…ある病原菌に抵抗性をもつ遺伝子をもち、病気にかからない品種のこと。
※4 肥培管理…肥料や水などを施用して栽培管理すること。