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2009.08.27 |
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タキイ種苗は、2009年の新品種として、形状の異なる加工・業務用ダイコン2品種 『健白(けんぱく)』 『白槍(しろやり)』 を発売します。 近年、野菜の消費形態は食生活の多様化により変化しています。特に家庭での消費が減少し、食品加工の原材料としての流通が増えております。ダイコンについても青果での流通は日本の生産量のうち4割ほどで、残りの約6割は業務・加工用として取り扱われています。刺身のツマや漬物、コンビニのおでんなどに利用されるダイコンは青首※1の部分が不要な場合が多く、加工業者から首色の薄い品種の要望が強まっていました。また、食品加工の原材料としてのダイコンは、一時期海外で生産されることが多かったのですが、国内産が見直される中、加工業者にとって原材料の安定的な確保が重要な課題となっています。 今回、新発売する『健白』は総太り型の加工用ダイコンで、首色が特に薄く、刺身のツマやおでん、漬物に最適です。これまで、総太り型は青果用の青首ダイコン品種を利用していたため、加工の際に色の濃い部分を使用できず無駄が出ていました。栽培においても、『健白』は中程度の晩抽性※2を持っており、これまでにないタイプの白首総太り型ダイコンで、加工業者が待ち望んでいた、一本まるごと無駄なく使いきることができる品種です。 また、『白槍』は練馬型※3のダイコンで漬物専用の品種です。漬物専用のタイプの中でも「生漬け」タイプで、通常販売されている総太り型の青首ダイコンより5〜10cmほど長く、首部から尻部まで同じ太さをしています。 従来の品種が長年にわたり使用されておりましたが、近年の温暖化の影響で栽培環境が変化し、品質の安定が 困難になっていました。『白槍』は21年ぶりに新発表となる生漬専用の品種で、温暖化に対応した作りやすさを 備えているため、安定した生産が可能となっています。 今後、タキイ種苗では白首総太り型ダイコンのラインナップを増やし、加工・業務用市場に提案します。また、直売所や家庭菜園にこだわる方に向けて、漬物用の美味しいダイコンとして『白槍』をはじめ、漬物専用品種を推進していきます。 |
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『健白(けんぱく)』 | 『白槍(しろやり)』 |
◆『健白』の特長 | ||||||||
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◆『健白』の栽培ポイント | ||||||||||
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<作型表> |

◆『白槍』の特長 | ||||||
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◆『白槍』の栽培ポイント | ||||||||
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<作型表> |

<標準小売価格(税込み)> |
小袋 | 2dL缶 | |
健白 |
577円(約250粒) | 10,500円 |
白槍 | 577円(約600粒) | 6,405円 |
<注釈説明> |
※1 | 青首…円筒形で根の上部が緑色。水分が多く、甘みがつよい。青首宮重群から育成し『耐病総太り』が普及し、全国に青首ダイコンが広がった。 |
※2 | 晩抽性…とう立ちの遅い性質のことで品種差がある。ダイコンでは春まき栽培で特に問題となる。 |
※3 | 練馬型…元禄時代前後に東京都練馬区で栽培された練馬大根を中心とした関東最大の品種群。 「秋づまり」「大蔵」「三浦」「理想」「練馬尻細」「練馬尻丸」などがある。 |
※4 | ス入り…ダイコンやカブなどの根の中に起きる異常の一種で、内部の細胞が劣化し、スポンジ状の空洞ができること。収穫が遅れた場合や、何らかの障害で肥大が止まった場合に起こりやすい。 |
※5 | 萎黄病…土壌病害の一種で、葉の緑色が黄色に変わり、根の葉が黄化、萎凋し、主根の維菅束が黒褐変して生育が止まり枯死する。対策としては耐病性品種を使い、連作地では土壌消毒を行う。 |
※6 | 黒芯症…生理障害の1つで、ダイコン内部が黒く変色する。ダイコンの場合、根部が十分に生育できる土壌が必要なため、産地が固定化されやすく、連作や輪作になりがちで障害が多発しやすい。 |
資料1 野菜の業務・加工用需要等の推移 |
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資料:農林水産政策研究所 (昭和40〜60年は生産流通振興課推計) |
資料2 主要野菜の加工・業務用需要割合の動向 |
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資料:農林水産政策研究所 |
資料3 ダイコン都道府県別出荷量 | ||||||||||||||||||||||||||||
(単位:t)
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資料:農林水産省 「平成19年産野菜生産出荷統計」 |