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2009.12.18
極晩抽性で生理障害の発生が少なく、葉質は柔らかで歯切れのよい
春どり専用ハクサイ
『春ひなた』を新発売
タキイ種苗は、2009年の新品種として、極晩抽性※1で生理障害の発生が少ない、春どり専用のハクサイ『春ひなた』を発売します。

ハクサイは一年を通して需要が高く、漬物や中華料理、鍋料理など様々な用途で使われています。周年栽培も可能で、なかでも春どり栽培は価格が安定しており、病害虫も少なく、台風などの自然災害による被害も少ない作型※2です。しかし、収穫時期となる3〜4月は急激に気温が上昇するため、抽苔※3や生理障害が発生しやすく、また、過熟老化による品質の低下などの問題も多いのが現状です。

今回新発売するハクサイ『春ひなた』は、春どり栽培で最も問題となる抽苔が極めて遅く安定しており、草勢旺盛で栽培しやすい極早生※4の品種です。生理障害においても、春の上昇気温下での乾燥条件や、多肥栽培※5で問題となりやすい石灰欠乏症(芯腐れ・縁腐れ)※6やゴマ症※7の発生が少ないので、安心して栽培ができます。また、尻張り・胴張りがよく、肥大性に優れ、ボリュ−ムのある砲弾形状になります。
さらに、球断面は鮮やかな黄色で、黄・緑・白色の色調バランスがよく、葉質はやわらかで歯切れがよいので、浅漬けをはじめ様々な用途に適しています。また、結球※8する葉の枚数が多く、頭部が抱合することで、上昇気温下でも比較的大きくなり過ぎず、在圃性※9に優れており収穫期の幅が広くなります。

今後、タキイ種苗では『春ひなた』が持つ晩抽性と耐生理障害を活かして、一般地〜暖地における4月どり、高冷地での5〜6月どりを中心に推進していきます。また、タキイ種苗のハクサイ品種の特長の一つである、べと病耐病性※10の付与も進めていきます。
極晩抽性で生理障害の発生が少ない、春どり専用のハクサイ『春ひなた』
◆『春ひなた』の主な特長
抽苔が極めて遅く安定し、草勢旺盛で栽培しやすい。
尻張り・胴張りがよく、肥大性に優れる砲弾形でボリュ−ムのある形状。葉質がやわらかく品質良好。
石灰欠乏症(縁腐れ・芯腐れ)やゴマ症の発生が少なく、安心して栽培できる。
結球葉数が多く、上昇気温下でも比較的過熟になりにくいため、在圃性がよく収穫期の幅が広い。
<作型表>
作型表


<価格>
品種名 量目 希望小売価格(税込み)
春ひなた L5千粒 13,755円


<注釈説明>
※1 晩抽性・・・とう立ち(抽苔)の遅い性質のことで品種差がある。
※2 作型・・・作物を作る時期や作り方を分類したもの。例)促成栽培、抑制栽培、春どりなど
※3 抽苔・・・気温や日長などにより花茎が伸びだすこと。とう立ちともいう。
※4 早生・・・相対的に播種(種まき)してから、収穫まで日数が早いこと。
※5 多肥栽培・・・肥料を多く施用して栽培すること。
※6 石灰欠乏症・・・石灰(カルシウム)の不足、乾燥や拮抗作用により石灰吸収が妨げられた時に生ずる。ハクサイでは芯腐れや縁腐れが代表的な症状。
※7 ゴマ症・・・ハクサイの葉の主脈(一般には‘肋’と呼ばれる白い軸の部分)に、多数の黒い斑点が発生する現象。
※8 結球・・・ハクサイやキャベツなど植物の葉が重なって球をつくること。
※9 在圃性・・・いつまで畑に置いていても問題のない性質。ハクサイでは生育が結球以降も止まらず、ゆっくり葉を締め続け、収穫期が長く続くこと。
※10 べと病・・・はじめに、葉に黄緑色の斑点ができ、次第に拡大して葉脈が淡褐色になる。
病斑の裏面には灰色で霜状のかびが作られる。また、黄芯系品種では、近年「茎べと」や「肋べと」と呼ばれる症状が問題となっている。