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2011.02.01
「野菜の消費拡大」 「健康で豊かな食生活」に貢献し日本の農業と食を支える
5つの色素成分に着目し開発!機能性成分が豊富に含まれる、現在販売中の7品種を
『ファイトリッチシリーズ』として本格展開!!
『ファイトリッチシリーズ』のロゴマーク「野菜の消費拡大」 「健康で豊かな食生活」を目指し、野菜の5つの色素成分に着目して機能性の研究・品種開発を行い、従来品種よりも機能性成分が豊富に含まれる、現在販売中の7品種を『ファイトリッチシリーズ』として本格展開します。

平成20年国民栄養調査結果によると、日本人の1日の野菜消費量※1は年々減少し、平均282.8gとなっています。また、1人あたりの年間野菜消費量の推移を見ましても、ピーク時の昭和62年に比べ、平成20年では約16%減少して94.2kgとなっています。共働きの家庭の増加にともない、野菜の消費量の多い煮物などは、時間がかかるため食卓に上る機会が減り、サラダなど手間はかからないが、摂取量の少ない料理が増えていることも原因の1つと言われています。アメリカでは『5ADAY運動』※2という健康推進運動が1991年に開始され、その結果、野菜や果物の摂取量が増加傾向になり、平成10年にはアメリカ人1人あたりの年間の野菜摂取量は日本人よりも多くなりました。※3

今回発表する『ファイトリッチシリーズ』の研究は1997年から開始しました。年々減少している1人あたりの野菜消費量を向上させるためには、従来から取り組んでいた「野菜のおいしさ」の改良に加えて、「野菜摂取による健康維持の効果」をアピールすることが必要だと考えました。そこで、健康によいとされる野菜の成分に着目した品種の育成を開始しました。

野菜には多くの色素成分が含まれ、大きく5つのグループに分かれます。『ファイトリッチシリーズ』も5つの色素成分(1)レッド(リコピン)、(2)オレンジ(シスリコピン・カロテン)、(3)イエロー(ケルセチン)、(4)パープル(アントシアン)、(5)ホワイト(スルフォラファン・GABA)にカテゴリを分けております。今回『ファイトリッチシリーズ』として本格展開する、現在販売中のミニトマト『千果』、中玉トマト『フルティカ』はレッド、大玉トマト『桃太郎ゴールド』、調理用トマト『クックゴールド』、ハクサイ『オレンジクイン』、こどもピーマン『ピー太郎』はオレンジ、タマネギ『Dr.ケルシー』はイエローに分類しました。また、現在開発中の赤カラシナなどの品種はパープル、ブロッコリーなどの品種はホワイトに加わる予定です。また、『ファイトリッチシリーズ』は機能性成分含量がただ高いだけでなく、おいしさも追求して育成したものです。これらの品種を使った調理レシピや加工方法などの提案を同時に行い、消費者の“野菜に対する関心”を高めたいと考えています。特に若年層が食生活に野菜を意識的に入れることや、多くの量を食べることができない高齢者や病気療養中の方に喜んでいただけると考えています。

今後、『ファイトリッチシリーズ』の種子から青果物まで一貫したブランド化を進め、生産者、流通業者から消費者まで広く認知度を高めて販売していく予定です。そのほか、道の駅や直売所による地産地消の野菜として、また、機能性やおいしさをアピールした6次産業の加工品に利用していただくことで、地域の活性化にもつなげたいと思います。
『ファイトリッチシリーズ』のロゴマーク シスリコピンを含む『桃太郎ゴールド』
『ファイトリッチシリーズ』のロゴマーク シスリコピンを含む『桃太郎ゴールド』
◆『ファイトリッチシリーズ』とは
(1)「ファイト」 : 植物(=phyto)、おいしい野菜で食を応援する。
(2)「リッチ」 : 従来品種より機能性成分が豊富(=rich)に含まれる。
(1) + (2)=健康で豊かな食生活を目指すという願いを込めた造語です。
◆『ファイトリッチシリーズ』の開発について
ファイトリッチをシリーズ化する目的の1つとして、機能性成分が高いからといって「単一の野菜や食材」を食べ続けるのでは、食生活が豊かにはならないと考えています。複数の野菜品目、品種を利用するのであれば、食味や料理方法も多彩になります。この点がサプリメント類や野菜ジュース、スプラウトなどとは大きく異なる点です。今後とも機能性の開発を通じて、野菜消費の向上により人々の健康に役立ちたい、それにともなって農業の活性化、応援ができればと考えています。
◆『ファイトリッチシリーズ』の品種
シリーズ品種は、特定の機能性成分が従来品種の1.5〜2.0倍以上、もしくは、従来品種にはほとんど含まれていない機能性成分が含まれていること、更においしさを判断基準にしています。
野菜には多くの色素成分が含まれ、大きく5つのグループに分かれます。『ファイトリッチシリーズ』も5つの色素成分にカテゴリを分けております。

ミニトマト『千果』 中玉トマト『フルティカ』
写真1
ミニトマト『千果』
写真2
中玉トマト『フルティカ』
レッド <リコピン>
ミニトマト『千果』 (写真1)
中玉トマト『フルティカ』 (写真2)

オレンジ <シスリコピン・カロテン>
大玉トマト『桃太郎ゴールド』 (写真3)
調理用トマト『クックゴールド』 (写真4)
ハクサイ『オレンジクイン』 (写真5)
こどもピーマン『ピー太郎』 (写真6)

大玉トマト『桃太郎ゴールド』 調理用トマト『クックゴールド』
写真3
大玉トマト
『桃太郎ゴールド』
写真4
調理用トマト
『クックゴールド』
イエロー <ケルセチン>
タマネギ『Dr.ケルシー』 (写真7)
タマネギ『TTA-735』
※シリーズに追加予定品種

パープル <アントシアニン>
赤カラシナなど※開発中

ハクサイ『オレンジクイン』 こどもピーマン『ピー太郎』 タマネギ『Dr.ケルシー』
写真5
ハクサイ
『オレンジクイン』
写真6
こどもピーマン
『ピー太郎』
写真7
タマネギ
『Dr.ケルシー』
ホワイト <スルフォラファン・GABA>
ブロッコリーなど※開発中


<注釈説明>
※1 日本人の野菜消費量
年間1人あたりの野菜消費量の推移
年間1人あたりの野菜消費量の推移
出典元:農林水産省「食料需給表」
1人1日あたり・年代別の野菜摂取量
1人1日あたり・年代別の野菜摂取量
出典元:厚生労働省「平成20年国民栄養調査結果の概要」
※2 『5ADAY運動』
1991年にアメリカのPBH(農産物健康推進基金)とNCI(米国国立がん研究所)が協力して始めた健康推進運動が『5ADAY運動』です。がんを予防するためには野菜と果物を多く取り入れた食生活が欠かせないと掲げられた「1日に5サービング(1皿=70g)以上の野菜と果物を食べよう」というシンプルなスローガンのもと、青果業界、食品業界が情報発信や啓発活動をくり広げ、全米1800組織以上、スーパーマーケット35000店以上が参画する国民運動にまで成長しました。その結果、米国内では野菜や果物の摂取量が増加傾向に、また生活習慣病での死亡率が減少傾向になるなど、大きな成果となっています。
※3 日米の野菜消費量の比較
年間1人あたりの野菜消費量の日米比較
年間1人あたりの野菜消費量の日米比較
出典元:農林水産省「食料需給表」、FAO「Food Balance Sheet」
<色素成分の性質、効能>
成分 性質、食べ方 期待される効能
レッド リコピン 脂溶性のため油料理で、または オイルドレッシングと一緒に食べると吸収がよい。 抗酸化性、免疫強化、動脈硬化 予防、美白効果など。
オレンジ シスリコピン リコピンよりも体内へ吸収されやすい。脂溶性のため油料理で、または オイルドレッシングと一緒に食べるとさらに吸収がよい。 抗酸化性、免疫強化、動脈硬化 予防、美白効果など。
カロテン 体内で必要に応じてビタミンAに 変換される物質。脂溶性のため油料理で、またはオイルドレッシングと一緒に食べると吸収がよい。 抗酸化性、目・気管・皮膚の粘膜の正常化。LDL-コレステロール低下など。
イエロー ケルセチン ゆでる場合はスープや味噌汁で食べるのがおすすめ。 抗酸化性、血小板凝集の抑制効果(いわゆる血液サラサラ)、動脈 硬化予防、糖尿病予防など。
パープル アントシアニン 紫だけでなく、赤、青とさまざまな 色合いと示す。水溶性のため生で 食べるか、ゆでる場合はスープや 味噌汁で食べるのがおすすめ。 動脈硬化予防、炎症を抑える、 肝機能障害の軽減作用、目の健康維持など。
ホワイト スルフォラファン ゆでる場合はスープや味噌汁で食べるのがおすすめ。 発がん抑制酵素の誘導、ピロリ菌(胃炎や胃がんの原因)の減少など。
GABA 水溶性のため生で食べるか、ゆでる場合はスープや味噌汁で食べるのがおすすめ。 精神安定作用、血圧低下作用など。
 (監修:お茶の水女子大学准教授 森光康次郎氏)