タキイ種苗は、2011年の新品種として、トウ立ちが遅く太りがよく、肉質緻密で肌のテリが美しい春ダイコン『春神楽(はるかぐら)』を発売します。
春ダイコンの作付け面積※1は、平成22年産で4,930haで前年産に比べ70ha減少し、出荷量は5%減少しています。年間のダイコン栽培の中で、春ダイコンはトンネル、マルチなど資材を必要としコストがかかるうえ、抽苔※2(ちゅうだい)の危険性もあり一番難しい作型です。このため、生産現場ではこれまで品質よりも確実に収穫できるかどうかが品種を選ぶポイントとされてきました。しかし、肉質や形状などの品質のすぐれた品種が求められています。また、食生活やライフスタイルの変化により、ダイコンの消費形態は家庭での煮物、漬物での利用が減り、刺身のツマや漬物、コンビニのおでんなどの業務・加工向けが増加し、これらの用途では「煮崩れしにくい、硬くて緻密な肉質」や、青首の薄い品種が求められるようになっております。
今回新発売する春ダイコン『春神楽』は、晩抽※3で低温下での根の伸び、肥大に優れ、先端の尻づまりが良好で、根の姿、肌が美しい品種です。暖地の年内〜1月まきトンネル・マルチ栽培で品種特性を発揮します。胴が太り過ぎず、1月まきのトンネル栽培では根長38cm、根径8cm程度でよくそろいます。首色は薄く、肉質は緻密でス入り※4が遅く、ツヤのある上質な肌なので、青果・加工兼用として市場性も高い品種です。
タキイ種苗では、春ダイコンを「風」シリーズから「神楽」シリーズにシフトすることで、さらに抽苔を安定させ、播種期の幅を広くし栽培性の向上と、肉質や肌ツヤなど品質のさらなる向上を目指します。栽培性と品質をベースに首色の薄いダイコンとして青果のみならず加工・業務用などお客様のニーズに対応したダイコンの品種育成をこれからも進めてまいります。
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