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2015.11.9
ナスの受粉作業を省くことができる遺伝子を発見!
〜今後、トマト、ピーマンへの応用も〜
タキイ種苗株式会社と農研機構は、ナスの単為結果性(受粉しなくても果実が着果・肥大する性質)をもたらす新しい遺伝子を発見しました。
今回発見した遺伝子は、ナス以外にもトマト、ピーマンの品種開発にも利用でき、今後これらの野菜の生産性向上・栽培の省力化に大きく貢献することが期待されます。
農研機構との共同記者会見の様子
(2015.10.21 タキイ種苗関東支店にて)
■2007年夏の圃場で
2007年夏、滋賀県甲西のタキイの研究農場の圃場で“今までにないほど着果肥大が安定しているナスの系統”にブリーダーが気づきました。この“気づき”が、今回の遺伝子発見の発端となりました。
■ナスの生産・栽培の課題解決に向け、農研機構との共同研究へ
単為結果性を有するピーマン:受粉せず果実が肥大するためタネがありません
ナスのハウス栽培では果実の着果・肥大を促すために、ハチを用いての受粉促進や、着果促進剤を施用する必要があり、生産者には経費や労力面で大きな負担となっていました。単為結果性を有する品種が実用できれば、これらの課題が解決できると考え、農研機構との共同研究をスタートさせました。
その結果、今回ナスの単為結果性の原因となる遺伝子を特定することができ、さらには、同じナス科の野菜であるトマト、ピーマンにも同様の遺伝子があることも確認することができました。
■試作品種を今秋公開
単為結果性ナス(長ナスタイプ)
今回の共同研究を経て、タキイ種苗は「長卵形」と「長ナス」の2つのタイプのナスの育成を完了し、現在、産地で試作展開中です。
これらの試作品種は、2015年11月に研究農場(滋賀県湖南市)で開催される180周年研修会にて公開されます。
なぜ、受粉しなくても実が肥大するの?
花の雌しべの基部に子房という器官があり、ナスやトマトではこの子房が肥大成長して果実が形成されます。通常は、受粉により子房の成長を促すホルモン量が子房内で上昇するため肥大成長が始まります。
ところが今回育成したナスでは、受粉しない状態でも、子房内に通常の3〜5倍量のホルモンが含まれていることがわかりました。
このため、受粉しなくても子房が自然に肥大成長するものと考えられます。
「ナスの受粉作業を省くことができる新しい遺伝子を発見
〜ナス科野菜の省力・安定生産に貢献が期待〜」のプレスリリースはこちら