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2015.12.11
創業180周年記念農場研修会にて「2015年新品種」を新発表!

先月、滋賀県研究農場と茨城県茨城研究農場にて「創業180周年記念農場研修会」を開催しました。『よりよい種子の創造と安定供給により、健康と豊かな暮らしに貢献する企業を目指す』をコンセプトに掲げ、新発表品種や推奨品種などを展示しました。
農場研修会にて新発表しました「2015年新品種」の一部を紹介します。


太りよし、そろいよし、肌ツヤよしの夏まき年内どり種!ニンジン『翔馬』
 
近年、ニンジンの夏まき栽培は、地球温暖化による猛暑や豪雨、少雨といった気象変動の影響により、作柄が不安定になっています。一方で、生産者の栽培は機械化による省力化、大規模化が進み、品種に求められる特性も今まで以上に高いレベルが要求されています。
そのようなニーズに応えるべく、「安定した生産性とそろいがよく作業効率の高い良質の夏まき年内どりニンジン」を目標に品種育成を行ってきました。
そして「TCH-750」として数年間にわたり関東や九州の主要な産地で試験栽培を行った結果、期待した育種目標を達成し有望と認められたためタキイ交配「翔馬」と命名し、本年新発表することとなりました。
 
ニンジン『翔馬』 「翔馬」の適作型
◆品種特性
①尻しり詰まりのよい早生種
「翔馬」は尻詰まりが早く、肥大の安定した早生種です。形状の乱れが少なく、適期収穫でM/L規格によくそろい、秀品率が高い品種です。
 
②初期生育が旺盛で作りやすい
夏まき栽培の播種時期は、生育環境が厳しいため発芽不良や立ち枯れが発生しやすくなり、収量や秀品率に大きく影響します。「翔馬」は高温条件下において発芽ぞろいがよく、初期生育が旺盛で欠株になりにくく栽培安定性にすぐれます。また、肩部の高温障害(エクボ症、肩こけ)に比較的強く、夏まき年内どり栽培に最適な品種です。
 
③草姿立性で機械収穫に適す
「翔馬」の草姿は立性で葉が伸び過ぎず、葉軸はしっかりしています。そのため、中耕や土寄せ、薬剤散布など栽培管理が行いやすく、ニンジン収穫機を用いた機械収穫に適しています。
 
④根色濃く肌がなめらかで食味良好
根形はやや肩張りの五寸形状で、根色は表皮から芯まで鮮やかな赤みのある鮮紅色です。肌がなめらかでツヤがあり、洗浄後の荷姿が美しい商品性の高い品種です。また、みずみずしい食感で臭みが少ないため、食味にすぐれます。適作型では播種後95〜100日で根長18〜20cm程度、根重180〜200g程度によくそろいます。
◆価格
品種名 規格 希望小売価格(税込み)
翔馬 ペレット種子 1万粒 6,372円

カロテン豊富で甘くておいしい冬どりニンジン!ニンジン「オランジェ」
 
バランスのよい食生活は健康的な生活に不可欠です。しかし、日本人の野菜消費量は年々減少傾向にあります。タキイでは、野菜のもっている力、すなわち機能性成分を引き出し、おいしさにもこだわった「ファイトリッチ」シリーズを開発し、野菜の消費拡大、健康で豊かな食生活を目指しています。
ニンジンはカロテンを豊富に含んでいます。カロテンは、体内で作り出すことのできないビタミンAに変化し、生活習慣病の原因とされる活性酵素に対してすぐれた抗酸化性を発揮するといわれています。
今回新発表する「オランジェ」は、フランス語で「オレンジ」を意味するように、とても鮮やかな濃いオレンジの根色をもち、カロテンを従来品種より50%も多く含むことから、「ファイトリッチ」シリーズに仲間入りしました。肉質はかたく甘みがあり、加工業務に適した品質も併せもっているので、家庭菜園から加工業務まで幅広く使えます。
 
ニンジン『オランジェ』 「オランジェ」適作表
◆品種特性
①カロテン含量が従来品種の50%アップ
「オランジェ」は根の表皮から芯まで濃いオレンジ色で、機能性成分であるカロテンを従来品種より50%程度も多く含んだ、夏まき専用の品種です。適作型は、中間・暖地では1〜2月に収穫する冬どりになります。適期播種では播種後120日で根長18〜20pの尻詰まりがよい五寸ニンジンに仕上がります。
また、完熟するとニンジン臭が少なくなり、寒さにあたることで糖度が増して甘みものってくるのでジュースに最適です。
 
②葉の耐寒性にすぐれ根部は割れにくい
葉は濃緑で耐寒性にすぐれており、葉軸もしっかりしているので年明けの機械収穫や手で抜くのにも適しています。また、肉質はかたく緻密で割れにくいため、安心して収穫、選別作業ができます。
 
③在圃性・貯蔵性にすぐれる
年明けの収穫において圃場での割れが少なく、二次根の発生が遅いため、品質劣化が少なく在圃性にすぐれます。また、降雪地域で最近多く見受けられる雪下貯蔵においても腐れなどが少ないため、歩どまりが高く貯蔵性にすぐれた品種です。
 
④加工業務に適した品質
前述した通り、カロテン含量・根色・食味などの品質が高く、在圃性・収量性にすぐれることから、カットやジュースなどの幅広い加工業務用途に適します。
◆価格
品種名 規格 希望小売価格(税込み)
オランジェ ペレット種子 500粒 702円
ペレット種子 1万粒 6,372円

機能成分ケルセチンを多く含み長期貯蔵が可能!タマネギ『ケルたま』
 
ケルセチン含量の比較タマネギは昔から健康野菜の代表として知られています。例えば、古代エジプトでは、ピラミッドの建設に従事する労働者の栄養源として使用されるなどしていました。
タキイではこのタマネギのすぐれた能力、中でもタマネギに多く含まれるケルセチンに注目し、従来の秋まき品種の約2倍の含有量を目標に育成に取り組んできました。数年間の試作において目標通りの特性を確認できたため、このたびファイトリッチシリーズの一つ、「ケルたま」として新発表することになりました。
健康志向の家庭菜園からプロの生産者まで、幅広い用途で使っていただけます。
 
タマネギ『ケルたま』 「ケルたま」の適作型
◆品種特性
①機能性にすぐれる
「ケルたま」はケルセチンを従来の秋まき品種の約2倍含む、高い機能性をもつ品種です。そのため、肉色は従来品種よりもやや黄色を呈しています。
 
②晩生の高貯蔵種
熟期は晩生で玉のしまりがよく、貯蔵中の萌芽や尻部の動きが遅いため、長期貯蔵に向きます。
 
③美しい外観品質
皮は密着性にすぐれ、貯蔵中の離脱が少なく、濃赤褐色でテリ・ツヤがあり、美しく仕上がります。そのため、店頭でひときわ目を引くことでしょう。
 
④草姿立性で作りやすい
草姿は立性で、育苗中も葉が暴れにくいため、しっかりとした苗が立ちます。そのため、中耕や土入れなどの育苗管理を容易に行うことができます。
本圃でも立性で首じまりがよく、葉折れしにくいため、除草や農薬散布といった管理作業が容易です。
また、晩生品種のため収穫が梅雨時期となりますが、草姿がよいため、比較的高い耐雨性をもっています。
併せて晩抽性も高く、安心して栽培いただけます。
 
⑤加熱調理に最適
晩抽・高貯蔵でかたくしまりますが、生で食すると辛みがあります。しかし、糖度は加熱調理することで本来の甘みが引き立ちます。
また、タマネギに含まれるケルセチンは水溶性で、加熱にも安定しているので、煮たり炒めたりしても機能性はほとんど変化しないといわれています。そのため、スープや味噌汁などの煮物料理で食べることで、より吸収されやすく、よりおいしくいただくことができます。
◆価格
品種名 規格 希望小売価格(税込み)
ケルたま 小袋(約500粒) 626円
20ml 1,836円
2DL缶 16,200円

ビッグベイン耐病性で玉肥大がよく秀品率の高い冬どりサリナスタイプ!レタス『ビックガイ』
 
国内の冬どりレタスではビニールなどの被覆資材を利用した栽培が行われていますが、安定した環境の確保は難しく玉肥大が不足しやすい作型です。
また、ビッグベイン病が発生している産地では、生育抑制や結球不良、収穫期の遅延などさらに収量低下が問題となっています。このような状況から冬どりレタスは慢性的に収量不足の状況が続いています。
タキイでは冬どりレタスの生産安定や収量性向上を目標に品種開発を行っており、ビッグベイン耐病性品種を中心に育成を進めてきました。年内〜冬どりの作型で「シスコビバ」「ウィンレー」を発売していますが、この度、より収量性が求められる冬〜厳寒期どりの作型で、玉肥大がよく秀品率の高いビッグベイン耐病性品種「ビックガイ」を新発表いたします。
品種特性と適作型および栽培のポイントや品種の使い分けについて解説しますので、品種導入の参考にしてください。
 
レタス『ビックガイ』 「ビックガイ」の適作型
◆品種特性
①ビッグベイン病に強く玉肥大のよい冬〜厳寒期どり種
育は旺盛で、低温期の玉肥大と球尻形状が安定した品種です。ビッグベイン病にも強いので、発生産地の冬〜厳寒期どりで耐病性と収量性と秀品率の向上を望む栽培に適します。
 
②低温期の結球性良好
トンネル栽培はトンネル内の場所によって収穫期の差が出やすいですが、「ビックガイ」は低温結球性にすぐれ、場所による生育の差が出にくいので、効率よく安定的な収穫が可能です。
 
③ボリュームのある豊円球で栽培安定
結球葉の被りが深く球尻まとまりのよい豊円球で、ボリューム感にすぐれています。また、重なりが順序よくきれいで適度な空間があるので、業務・加工需要では作業性にすぐれます。
外葉の大きさは適度で株元の風通しがよいので、菌核病や灰色かび病の発生が比較的少ない品種です。
◆価格
品種名 規格 希望小売価格(税込み)
ビックガイ ペレット種子 5000粒 9,180円

根腐病レース1・2耐病性で肥大と形状のよい早生種!レタス『パスポート』
 
産地で問題となっているレタス根腐病は、フザリウム菌による土壌病害で、気温の高い時期ほど発生しやすくなります。最近は菌密度の増加にともなって、春などの比較的涼しい時期にも発病が多く見られるようになり、より幅広い作型の耐病性品種が求められています。また、春どりは気温や乾湿の変化が大きいので、環境変化に対応できる特性も求められます。
タキイではこれまでに、根腐病レース1耐病種「スターレイ」を発売し、各地で高く評価いただいています。しかし、春どりでも根腐病レース1・2両レースの発生が深刻になってきて、より安心して栽培できる品種の育成が要望されています。
このような状況から、根腐病レース1・2複合耐病性で生育が安定する春どり品種を目標に育成を進め、このたび「パスポート」として新発表することになりました。
「パスポート」は根腐病の耐病性だけでなく、玉ぞろいや秀品率が安定するのも特長なので、多くの生産者におすすめしたい品種です。
 
レタス『パスポート』 「パスポート」の適作型
◆品種特性
①根腐病複合耐病性
冷涼地の春どり、中間・暖地の春・初冬どり栽培に適します。レタス根腐病レース1とレース2に耐病性を示し、両レースが混合・近接して発生する産地でも安心して栽培できます。
 
②肥大と結球のバランスがよい
同時期に栽培される品種の中では草勢がややおとなしく、肥大性と結球性のバランスがよい品種です。春どりや晩秋〜初冬どりの作型は乾湿の差が激しく、結球が不安定になりがちですが、「パスポート」は結球性が安定して玉ぞろいがよいので、収穫作業を効率よく行うことができます。
 
③玉は扁円球で形状が安定
玉は鮮緑の扁円球で安定し、タコ足球やタケノコ球などの変形球の発生が少なく、秀品率が高い品種です。
◆価格
品種名 規格 希望小売価格(税込み)
パスポート ペレット種子 5000粒 11,880円

極晩抽で高温期の栽培に適し、食味がすぐれるロメインレタス ロメインレタス『晩抽ロマリア』
 
ロメインレタスは玉レタスに比べて、「シャキシャキとした食感で食味がよい」、「肉厚で店もちがよい」、「紡錘形でカットしやすい」などのメリットが多く、外食・中食産業などを中心として使用される場面が増えてきています。今後も需要は一層高まるものと考えられます。
需要の増加にともなって生産地には安定供給が求められていますが、先に発表した「ロマリア」によって適温期を中心とした幅広い作型での栽培が安定してきました。しかし、冷涼地の夏どりや中間地の秋どりなどでは、晩抽性や結球性がより安定する品種の開発が望まれています。
このような状況から、高温期の作柄が一層安定し、「ロマリア」と同じく食味がすぐれる品種の育成を進め、根腐れ病レー1・2に複合耐病性をもつ「晩抽ロマリア」を新発表することになりました。ここに品種特性と適作型および栽培のポイントや品種の使い分けについて記しますので、品種導入の参考にしていただきたいと思います。
 
ロメインレタス『晩抽ロマリア』 「晩抽ロマリア」の適作型
◆品種特性
①高温期の作型に適する極晩抽種
「ロマリア」などの従来品種よりも晩抽性がすぐれ結球性が安定するので、冷涼地の夏〜秋どり、中間地や暖地の秋どりなど、これまでロメインレタスの栽培が難しかった高温期の作型に適します。
 
②形状が安定し、食味良好
玉の肥大は中〜やや小で、高温や多雨の環境でも過剰生育しにくく、玉の形状が安定します。草姿は立性で外葉がややコンパクトなので、風通しがよく比較的病害が発生しにくい品種です。
結球性がよく球内部が軟白されるので、苦みが少なく食味がすぐれます。
また、結球葉数が多く収量性にすぐれるので、青果出荷としてだけではなく業務加工向け出荷にも適します。
 
③レタス根腐れ病複合耐病性
高温期を中心に発生するレタス根腐れ病レース1およびレース2に耐病性を示し、近年増加している両レースが混合・近接して発生する産地においても安心して栽培できます。
◆価格
品種名 規格 希望小売価格(税込み)
晩抽ロマリア ペレット100粒 346円
ペレット種子 5000粒 11,880円

根こぶ病に強くなった
食べきりサイズの極早生ミニハクサイ ハクサイ『CRお黄にいり』
 
主婦の有業率の高まりや、1世帯当たりの人数の減少が進み、家庭における調理時間の短縮や調理の簡便化が進んでいます。この動きに対し、タキイでは利便性とおいしさ、品質を兼ね備えた「お黄にいり」を2005年に発表いたしました。今回、「お黄にいり」に根こぶ病の耐病性を付与し、より作りやすくなった「CRお黄にいり」としてバージョンアップいたします。
 
ハクサイ『CRお黄にいり』 「CRお黄にいり」の適作型
◆品種特性
①利便性にすぐれる
1玉の大きさが通常店頭に並ぶ1/4カット(600〜800g)に相当し、1回の料理にうってつけのサイズになります。従来の大玉ハクサイの1/4カットに比べ葉の1枚1枚が均一で調理しやすく、調理時に出るごみが少ないことも特長です。加えて、冷蔵庫の野菜室にぴったりと収まるため、使い勝手が極めて良好です。
 
②食味と品質にすぐれる
「CRお黄にいり」は生育期間の短縮により葉肉はやわらかく、薄い肉質を有しており、短い調理時間でも火が通りやすく、やわらかでおいしく仕上げることができます。また、サラダや浅漬けでは「やわらかさ」と「歯切れのよさ」が楽しめます。 品質の面では、葉の1枚1枚を調理 に使うミニハクサイは、1/4カットに比べて、新鮮さが長もちします。
 
③根こぶ病とべと病に耐病性
ハクサイの重要病害である根こぶ病とべと病に対して、耐病性をもっています。
※根こぶ病耐病性レベルはCR-1で「黄ごころ」シリーズと同レベルです。
◆生かし方
<営利産地向けに>
3,500〜4,000株/10aを栽培する従来の大玉ハクサイとは異なり、「CRお黄にいり」は1万株/10aの超密植栽培が目安となります。また、生育期間も定植後40日で収穫となるため、これまでハクサイを栽培している生産者だけでなく、軟弱野菜の生産者にも取り組んでいただきたい品種です。露地のトンネル栽培やハウスの利用によって10月〜2月と長期間の出荷が可能です。
うまく経営に取り入れて契約出荷を行うと有利販売につながります。
 
<直売所出荷向けに>
密植による不ぞろいやべと病の発生を恐れて、中途半端な栽植密度で栽培すると1sを超える大きさになってしまいます。特に直売所で通常の大玉ハクサイと並べて販売する際、1sを超えるサイズになると貧弱な大玉ハクサイのようにとられてしまい、消費者の手が伸びにくい場合があります。600〜800gを狙って思い切った密植を行いましょう。
 
<プランター栽培も>
大玉ハクサイ4株のスペースに10株程度の栽培ができます。面積の限られる家庭菜園だけでなく、大きくて深めのプランター(72×40×深さ26cm)を利用した栽培もおすすめです。支柱を立てたプランターに虫よけの「サンサンネット」を被せることで、無農薬栽培が比較的簡単に行えます。
◆価格
品種名 規格 希望小売価格(税込み)
CRお黄にいり ペレット100粒 400円
小袋(約270粒) 626円
20ml 4,212円
ペレット種子 5000粒 7,560円

べと病レース1〜10抵抗性、葉柄が太く、株張りがよい年内〜冬どり種 ホウレンソウ『牛若丸』
 
荷調製作業に時間がかかるホウレンソウでは、時間当たりにどれだけの束数ができるかが、出荷量を決める重要な要因となります。そのため、品種には収量性はもちろんのこと、収穫作業性についても一層のレベルアップが求められます。
一方産地では、パートの雇用などによる栽培面積拡大にともない、大面積の栽培に適した在圃性の高い品種を望む声も聞かれます。これらを踏まえて、タキイ種苗では、在圃性と、作業性を兼ね備えた多収型品種の育成に取り組み、重要病害であるべと病には、より上位の抵抗性品種の育成を進めてきました。主力産地で試作の結果、収量性、収穫・調製作業性が目標に達していることが確認できたため、 「牛若丸」として新発表する運びとなりました。
 
ホウレンソウ『牛若丸』 「牛若丸」の適作型
◆品種特性
①べと病に強く、栽培容易な秋冬どり種
べと病レース1〜10に抵抗性をもち、草勢は比較的強く、作りやすい品種です。中間地や暖地の年内〜春どり、暖地の年内〜早春どり、冷涼地の秋、春どりの栽培に適します。
 
②株張りがよく、収量性がすぐれる
葉柄は太く、株張りがすぐれていることが特長です。葉は肉厚で、やや丸みを帯びた形状でボリュームがあり、収量性の高い品種です。
 
③在圃性があり、収穫適期が長い
比較的葉柄が短いため、葉身と葉柄のバランスがよく、がっちりした株に仕上がります。草丈が急に長くなりにくく、在圃性があり、収穫適期幅が広いことも特長です。
 
④柄は折れにくく、調製作業も容易
葉柄はしなやかで折れにくく、収穫・調製作業が容易です。そのうえ、株張りがよく、少ない株数で1束ができるため、束ね作業がはかどります。
◆価格
品種名 規格 希望小売価格(税込み)
牛若丸 小袋(約780粒) 346円
M3万粒 5,184円

黄化葉巻病Ty-2型、葉かび病Cf9型に加え、斑点病に耐病性のミニトマト! トマト『千果99』
 
ミニトマトは食味がよく、手ごろなサイズ感から利便性があり、消費者からの需要が高くなっています。また、周年で市場に供給されるため、さまざまな作型で栽培され、全国での栽培も年々増加しています。しかし、近年では高温期に黄化葉巻病の被害が多く、栽培・収量に大きな影響が生じています。このため、安定的に栽培できるように、ミニトマトに黄化葉巻病の耐病性を付与する品種改良を行ってきました。
西日本を中心に発生している黄化葉巻病イスラエル系統に耐病性(Ty-2)をもつミニトマト「千果99」を開発しました。2008年から試作を開始し、黄化葉巻病の被害が大きい熊本県や愛知県などの抑制栽培の産地で、2010年より本格的な導入が進んでいます。ミニトマトに求められる食味のよさと、長期栽培でも安定的に栽培でき、高い収量性をもつ品種となっています。
 
トマト『千果99』 「千果99」の適作型
◆品種特性
①トマト黄化葉巻病に耐病性
西日本を中心に発生している黄化葉巻病イスラエル系統に、安定した耐病性(Ty-2)を示します。ただし、マイルド系に対する耐病性はありませんので、従来通りの防除が必要となってきます。
その他の耐病性として、国内で発生している葉かび病のレースに安定した耐病性(Cf9)を示すほか、斑点病(LS)にも中程度の耐病性を示します。また、萎凋病(F1)、サツマイモネコブ線虫(N)、トマトモザイクウイルス(Tm-2a)に耐病虫性をもちます。
 
②食味・果色にすぐれた果実
食味の評価が高い「CF千果」の味を引き継ぎ、収穫初期から安定して糖度が高く、緻密な肉質となります。果形は、きれいな球形で、果重は15〜20gとなり果房内での果ぞろいがよくなります。
 
③極早生で収量性にすぐれる
「CF千果」同様に極早生となり、抑制長期作でミニトマトの市場価格が高くなる年内の収量が上がります。花数は「CF千果」に比べやや少なくなりますが、収量の波が小さくなるため、栽培を通して一定の収量が見込めます。
 
④オールシーズン栽培可能
オールシーズン栽培可能ですが、最適作型は黄化葉巻病の被害が多くなるハウス抑制栽培・促成栽培で、播種期は7〜8月となります。
◆価格
品種名 規格 希望小売価格(税込み)
千果99 小袋(約14粒) 626円
1000粒 23,220円

緑茎台木第3弾! 複合耐病性の強勢台木・スタミナ抜群で長期栽培に最適! 台木用トマト『グリーンフォース』
 
今、異常気象は毎年発生するようになり、栽培期間中はこのような天候と上手に向き合わなくてはなりません。生産資材などを有効活用する一方で、育種側からは、トマトが有する適応力をさらにもたせる品種開発を積み重ねてきました。
開発の過程で、土中に根が深く入り、発根力のすぐれる強勢台木を用いた栽培が、栽培安定に大きく寄与できると判断しました。そこで、深根性や多根量といった強勢に必要な形質を取り入れることで育成したのが、今回新発表する「グリーンフォース」です。“フォース”は、“力”を意味し、台木特性が連想しやすいネーミングです。
「グリーンフォース」は「TTMー081」として産地において3年間の試作を行ってきました。その結果、草勢が強く安定することによる長期栽培適性や、栽培期間中の異常気象条件下や酷暑・厳寒期での安定した栽培性を確認することができました。すでに、全国の主要産地で主力品種からの切り替えが進んでおり、期待度の高い品種となっています。
台木用トマト『グリーンフォース』
◆品種特性
①発根旺盛で土質を選ばずバランスの取れた根圏を形成
やや太めの主根が多く発生し、まっすぐ深く下方向に挿すので、土質を選ばず深い根圏を形成します。さらに、主根からは安定して細根が発生するので、栽培中の草勢も強く安定します。
一方で、地際部の細根(吸肥根)の発生も活発なので定植後の活着が早いのも特長です。 このようにバランスの取れた根圏を形成することから、環境変化に対する安定感と力強さが付与され、すぐれた長期栽培適性を発揮します。
 
②主要土壌病害に複合耐病性
青枯病(B)とコルキールート(褐色根腐病:K)に対して安定した耐病性を発揮します。そのほか、半身萎凋病(V)、萎凋病レース1(F1)・レース2(F2)・レース3(F3)、根腐萎凋病(J3)、サツマイモネコブ線虫(N)、トマトモザイクウイルス(ToMV)Tm?2a型に複合耐病性です。
青枯病の耐病性は、強耐病性品種群に属する品種より1ランク劣ります(11頁台木特性一覧表参照)。 よって、強耐病性品種を栽培していても発病がみられる圃場では、本品種を推奨できません。
青枯病以外の、コルキールートや萎凋病レース3など、主要病害の耐病性は「グリーンガード」「グリーンセーブ」と同じレベルであり、これまで通りトップクラスの複合耐病性を継承しています。
 
③胚軸の色が緑色で接ぎ木間違いを軽減できる>
これまでのグリーンシリーズ同様、幼苗期から胚軸の色が緑色になるため、紫軸の穂木品種との識別が容易で、接ぎ木間違いの軽減が期待できます。
◆価格
品種名 規格 希望小売価格(税込み)
グリーンフォース 1000粒(エクセルプライミング処理) 14,256円