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2026.07.02

“悩み”に応える、タキイの品種開発力
Vol.1 カット加工の悩みに応える!メロン「レノン」シリーズ

Vol.1 カット加工の悩みに応える!メロン「レノン」シリーズの画像

昨今、猛暑などの気候変動や物流環境など農業を取り巻く環境は大きく変化しており、生産現場に影響を与えています。また、単身世帯・共働き世帯の増加などによるライフスタイルの変化は流通や消費者の購買行動にも影響を与えています。

タキイ種苗では、こうした時代の変化に対応するため、品種開発に取り組んでいます。本シリーズでは、「なぜその品種が生まれたのか」という開発背景に着目し、社会課題やニーズとの関わりとともにご紹介します。

■“販売形態”の変化 − “1玉まるごと”だけでなく“カット販売”も−

近年は単身世帯や共働き世帯の増加などを背景に、フルーツにおいても「食べ切れる量を手軽に購入したい」という“時短”や“利便性”のニーズが高まり、カットフルーツ市場が拡大しています。こうした“カットフルーツ時代”のニーズに対応するため、青果には「おいしさ」に加え、“加工適性”という新たな価値が求められるようになっています。メロンにおいても、従来の1玉まるごとの販売だけでなく、カット加工された商品の販売も行われるようになりました。

悩む店員の画像
“食べ方”の変化により“上乗せ”で求められ始めた
メロン品種の特長

このような消費者ニーズの変化における販売形態の変化によって、販売店で求められるメロン品種の特長が“上乗せ”されるようになりました。

従来の玉販売では、「おいしさ」はもちろんのこと、手に取りたくなる「外観のよさ(ネットのきれいさ)」が重要でした。そんな中、暑さなどの異常気象が栽培現場や流通時における品質低下に影響を及ぼしやすいことから、「食べ頃が長続きするたなもち性」も重要視されるようになりました。

さらに、近年のカット加工需要に応えるためには、「カット時のドリップ(果肉から出る水分)が少ない」「可食部が多く廃棄ロスが少ない」「カット後も果肉が崩れにくく見た目を保ちやすい」など、より多くの特長が求められるようになっています。

特に、メロンのカット販売においては、メロンはやわらかな果肉や果汁の多さが魅力である一方、ドリップが発生しやすいという課題があります。ドリップは、「カット時の作業性」と「カット後の鮮度」に影響を与えます。そのため従来は、スイカやパイナップルなどと比較すると、カット販売における扱いやすさの面で難しい青果の一つとされてきました。

メロン販売で求められる青果の特長の画像

消費者ニーズの変化に伴い、販売現場では従来の品種特長だけでは対応が難しい課題も増えています。そのため近年は、多様化する販売方法に適応できる品種そのものの重要性が高まっています。

解決した店員の画像
カット加工にも適した赤肉メロン品種「レノン」の開発

タキイ種苗では、このような背景から玉販売時に重要となる「店もちのよさ」「外観のよさ(ネットのきれいさ)」に加えて、カット販売時に重要となる「加工現場での扱いやすさ」や「加工後の品質維持」にも着目した赤肉メロン品種の「レノン」を開発しました。

開発ポイント① 果肉が崩れにくく、ドリップが比較的少ない

「レノン」は、やわらかい果肉をもちながらも果肉が崩れにくく、ドリップが比較的少ない品種シリーズのため、「カット加工時・加工後の課題の軽減」が期待されます。

カット加工時は作業台の上でカットしますが、その際に果実からのドリップの流出量が多いと作業性に影響を与えます。レノンは、果実をカットする際のドリップが比較的少ない品種のため、「カット加工時の作業性の向上」が見込まれます。

カット時の当社比較事例の画像
カット時の当社比較事例
【左画像】収穫8日後の果肉を同条件でカット 左:レノンスター 右:他品種
【右画像】左画像のドリップを15mlチューブに入れた状態  左:レノンスター 右:他品種

※当社撮影による比較例。ドリップ量の数値測定結果を示すものではありません。
※ドリップの状態は、果実の熟度、保存条件、カット方法、静置時間により異なります。

また、カット後にパックに入れて販売する際には、果肉の崩れやすさは「カット後の鮮度」に影響します。レノンは、カット加工後も比較的果肉が崩れにくいため、「カット後の鮮度維持」が見込まれます。

開発ポイント② 皮が薄く、果肉部分が多い

「レノン」は皮際まで赤く色づき、タネの入っている部分が少ないため、果肉部分を多く確保しやすい特長があり、加工時のロス軽減につながります。また、果肉内外の糖度差が少なく、どこを食べても安定した甘さを感じやすい点も特長です。カット販売では、一口サイズごとに味のばらつきが出にくいことも重要な要素となります。

「レノン」と他品種の断面の画像

断面 左:他品種 右:レノン
皮際まで赤く色づき、タネの部分が少ない

※断面写真は当社観察による一例です。
果実の形質は、栽培条件、収穫時期、熟度等により異なる場合があります。

〈ご参考〉
・レノンメロンブランドサイト

肉厚で市場性抜群。肥大よく、早まき可能な赤肉メロン「レノン」

安定的に生産可能な赤肉「レノン」メロン誕生ストーリー −メロンの消費拡大へ−|タネのタキイのストーリー|PR TIMES STORY

肉厚でおいしい!食べごろが長く続く 赤肉メロン「レノン」前線北上中!

■販売現場での「レノン」の評価

〈大手青果卸会社のご担当者〉

スーパーでは消費者の需要が高まる時期に合わせた販売を行いますが、計画調達が難しいこともあり、販売時期を調節しやすい「店もちのよさ」を重視しています。そのため、仕入れた時点でやわらかいなどの性質は、店もちが悪く敬遠される傾向が強くなります。そんな中、「レノン」シリーズの1つである「レノンスター」は「ネットの見た目」、「店もち」、「品質の安定性」がよいです。品種の変更は、「売り慣れていないもの」への変更となりリスクがありますが、先述のメリットから「レノン」を指定した販売にも取り組んでいます。

〈大手量販店の商品企画ご担当者〉

売れているフルーツの特徴は、「すぐ食べられる」「ゴミが出ない」「簡単に食べられる」要素がそろっており、一般消費者にとって「食べやすさ」は重要なキーワードになっています。メロンはスイカ等に比べるとカット販売の割合は少ないものの、ここ10年程で、「フラワーカット」と呼ばれる商品も増えてきました。
「レノン」は、「カット時に角が崩れにくく、カット後も果肉の形が保たれる」特長がありカット加工に適しています。
果物は嗜好品であるため、一度品質で評価を落としてしまうとリピーターがつかないという厳しさがあります。カットフルーツは、鮮度感と味のよさを大切にしているため、カット加工作業はできるだけ店内で行うことにこだわります。そのため、カット加工時の「ドリップ」は課題であり、「ドリップ」が少ないという特長も重要です。

■カット販売例

「レノン」カット販売例の画像

■“食べ方の変化”に応える品種開発へ

青果を取り巻く環境は大きく変化しています。気候変動への対応に加え、単身世帯や共働き世帯の増加、時短ニーズの高まりなどを背景に、消費者の「食べ方」や「購入の仕方」も変化しています。

こうした中で、品種開発にも新たな視点が求められています。従来の食味や収量、栽培性だけでなく、加工後の品質維持や売場での見栄え、流通現場での扱いやすさなど、栽培から消費までを見据えた価値が重要になっています。

赤肉メロン「レノン」も、こうした時代の変化を背景に生まれた品種の一つです。タキイ種苗では今後も気候変動への対応だけでなく、消費者や流通現場のニーズ変化にも対応した品種開発に取り組んでまいります。